ファンケルが生細胞タンパク質解析AI技術を開発、従来の免疫染色法の制限を突破し研究効率化に貢献

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

株式会社ファンケルは、サイトロニクス株式会社と共同で、生きた細胞内の複数種のタンパク質発現量を推定できるAI技術を開発し、2024年10月24日に発表した。この技術は培養した細胞の画像撮影だけで解析が可能であり、学術雑誌Bioengineeringの特集号に掲載されることになったのである。^[1]

新しいAI技術は、細胞にダメージを与えない位相差法による細胞画像と免疫染色法によるタンパク質可視化画像を機械学習させることで、位相差像から免疫染色像を推定することを実現している。従来の手法では同時観察可能なタンパク質が2～4種類に限定されていた一方で、新技術では複数種の同時観察が可能となった。

ヒト表皮細胞による分化、炎症、老化、抗酸化に関わる細胞内タンパク質の発現量について検討を行い、AIによる推定値と実際の免疫染色像から得られる発現量との間に高い相関関係が確認された。生きた状態での細胞内タンパク質の経時変化をタイムラプス画像として観察することにも成功している。

項目	詳細
開発技術	細胞内タンパク質発現量推定AI
主な特徴	生きた細胞での観察が可能、複数種のタンパク質を同時観察
解析対象	分化、炎症、老化、抗酸化関連タンパク質
応用分野	老化メカニズム解明、皮膚科学理論構築、素材成分の有効性試験
掲載誌	Bioengineering（Machine Learning and Artificial Intelligence特集号）

免疫染色法とは細胞内の特定のタンパク質を抗原抗体反応により染色して可視化する技術のことを指している。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

従来の免疫染色法では同時に観察可能なタンパク質の種類が2～4種類に限定されており、細胞を固定する必要があるため生きた状態での観察が困難であった。新たに開発されたAI技術により、生細胞での複数タンパク質の同時観察が可能となり、細胞研究における新たな可能性が広がることが期待されている。

AI技術による生きた細胞内のタンパク質発現量推定は、細胞研究における画期的な進歩となるだろう。従来の免疫染色法では細胞を固定する必要があり生きた状態での観察が不可能であったが、新技術により細胞の動的な変化をリアルタイムで追跡できるようになったのである。

今後の課題として、AI推定の精度向上やより多くの種類のタンパク質への対応が挙げられる。タンパク質の種類や細胞の状態によって推定精度が変化する可能性があり、様々な条件下でのデータ蓄積と機械学習モデルの改良が必要となるだろう。

将来的には他の細胞種への応用や創薬研究への展開も期待できる。生細胞でのタンパク質発現観察は、薬剤の作用メカニズム解明や副作用評価にも有用であり、医薬品開発の効率化にも貢献する可能性を秘めているのだ。

^ PR TIMES. 「【ファンケル】生きた細胞内のタンパク質発現量を推定するAI技術を開発 | 株式会社ファンケルのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001288.000017666.html, (参照 24-10-25).
Intel. https://www.intel.co.jp/content/www/jp/ja/homepage.html

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