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公開：2024-10-25

サイトロニクスとファンケルが細胞内タンパク質発現量推定AI技術を開発、生細胞での複数タンパク質同時観察を実現

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

• 細胞内のタンパク質発現量を推定するAI技術を開発
• 生きた細胞の状態で複数のタンパク質を同時に観察可能に
• タンパク質発現の経時変化をリアルタイムで解析

サイトロニクスとファンケルが共同開発したAI技術によるタンパク質解析

サイトロニクス株式会社とファンケルは、生きた細胞内の複数種のタンパク質発現量を推定できるAI技術を2024年10月24日に発表した。このAI技術は学術雑誌Bioengineeringに掲載され、細胞を生きたままの状態で複数のタンパク質を観察することが可能になっている。^[1]

従来の免疫染色法では同時に観察可能なタンパク質が2から4種類に限定され、細胞を固定する必要があったことから、生きた状態での観察は不可能であった。新たに開発されたAI技術は、位相差法による細胞画像と免疫染色法による画像を機械学習させることで、生きた状態でのタンパク質発現量の推定を実現している。

ヒト表皮細胞による分化や炎症、老化、抗酸化に関わる細胞内タンパク質の検討により、免疫染色像から得られる発現量とAIが推定した発現量との間に相関関係が確認された。細胞内のタンパク質発現の経時変化をタイムラプス画像として解析することに成功している。

タンパク質発現量推定AIの特徴まとめ

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免疫染色法について

免疫染色法とは、細胞内の特定のタンパク質を可視化するための技術であり、抗原抗体反応を利用して対象のタンパク質を染色する手法である。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

• 抗原抗体反応による特異的なタンパク質の検出
• 細胞の固定が必要で生きた状態での観察は不可能
• 同時観察可能なタンパク質は2から4種類に限定

細胞内のタンパク質発現を観察する従来手法として広く用いられてきた免疫染色法では、細胞を固定する必要があるため生きた状態での観察が困難であった。新たに開発されたAI技術により、位相差法を用いた生細胞観察と免疫染色法による定量的な解析の両立が可能になっている。

タンパク質発現量推定AIに関する考察

生きた細胞でのタンパク質発現量推定を実現したAI技術は、細胞研究における新たな可能性を切り開くものである。従来の免疫染色法では不可能だった生細胞での複数タンパク質の同時観察が可能になり、細胞の状態変化をリアルタイムで追跡できるようになったことは画期的な進歩だろう。

今後の課題として、AIモデルの精度向上や対象タンパク質の拡大が挙げられる。また、細胞種による違いや実験条件の変化がAIの推定精度に与える影響についても、さらなる検証が必要になってくるだろう。位相差像からの推定精度を高めるためには、より多くの学習データの蓄積が重要である。

将来的には、このAI技術を活用した創薬研究や再生医療への応用が期待される。特に、薬剤の作用機序解明や細胞の分化過程の解析など、生きた細胞での経時的な観察が求められる研究分野での活用が見込まれる。医療や創薬の発展に大きく貢献する可能性を秘めている。

参考サイト

1. ^ PR TIMES. 「生きた細胞内のタンパク質発現量を推定するＡＩ技術を開発 | サイトロニクス株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000081877.html, (参照 24-10-25).

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