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公開：2024-08-01

メタリアル社と国立がん研究センターが生成AIを用いた治験文書自動化ツールの開発に着手、新薬開発の効率化に期待

text: XEXEQ編集部

記事の要約

• メタリアル社が国立がん研究センターと共同研究契約を締結
• 生成AIを用いた治験関連文書の自動作成ツールを開発
• 治験プロセスの効率化とコスト削減を目指す

生成AIを活用した治験関連文書作成の自動化プロジェクト

株式会社メタリアルのグループ企業である株式会社ロゼッタは、国立研究開発法人国立がん研究センターとCSR（総括報告書）をはじめとする治験関連文書作成の自動化に関する生成AIの開発に取り組む共同研究契約を締結した。この取り組みは、治験業務における膨大な文書作成作業の効率化と、高精度な文書生成を目指すものである。^[1]

ロゼッタは、製薬業種向け文書処理AIモデルのプラットフォーム「Metareal AI LLM2」を活用し、AIオーケストレーションのアーキテクチャを採用することで、単体のモデルでは困難であった高精細で最適な結果を出力するシステムの構築を目指している。この技術は、AI翻訳の長年の提供実績と製薬業種における技術的側面および現場業務への適合力を活かしたものだ。

国立がん研究センター中央病院の中村健一国際開発部門長を中心に進められるこのプロジェクトは、治験プロセス全体の効率化を図り、より迅速に新薬を患者に届けることを目標としている。生成AIの活用により、治験関連文書の作成とチェックにかかるコストとリソースの大幅な削減が期待されており、日本の新薬開発競争力の向上にも寄与する可能性がある。

CSR（総括報告書）について

CSRとは、Clinical Study Reportの略称で、治験の総括報告書のことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

• 治験の結果と分析を包括的にまとめた文書
• 規制当局への申請に必要不可欠な資料
• 治験の目的、方法、結果、考察を詳細に記載

CSRは治験の全過程を通じて得られたデータと知見を系統的にまとめた重要文書である。この報告書は、新薬の有効性と安全性を評価するための主要な資料として、規制当局による審査の中核を成すものだ。CSRの作成には高度な専門知識と膨大な時間が必要とされ、生成AIによる自動化が期待されている分野の一つである。

生成AIを用いた治験関連文書作成の自動化に関する考察

生成AIを用いた治験関連文書作成の自動化は、効率性向上の一方で、データの正確性と信頼性の確保が最大の課題となるだろう。AIが生成した文書の品質管理と人間による最終チェックのバランスを取ることが重要であり、規制当局との協議を通じて、AIが生成した文書の法的有効性を確立する必要がある。さらに、個人情報保護やデータセキュリティの観点から、AIシステムのセキュリティ対策も不可欠だ。

今後、AIシステムに期待される新機能としては、多言語対応や国際共同治験への適用が挙げられる。グローバルな治験の増加に伴い、言語の壁を越えた効率的な文書作成と管理が求められており、AIによる翻訳と文書生成の統合が望まれる。また、規制要件の自動チェック機能や、過去の類似治験データとの自動比較分析機能なども、治験プロセスの更なる効率化につながるだろう。

生成AIを用いた治験関連文書作成の自動化は、新薬開発のスピードアップと費用削減に大きく貢献する可能性を秘めている。今後は、AIと人間の専門家が協調して働くハイブリッドな業務モデルの確立が期待される。さらに、この技術の発展により、治験データのリアルタイム解析や、患者個別化医療への応用など、医療の質的向上にも寄与することが期待されるのである。

参考サイト

1. ^ PR TIMES. 「国立がん研究センターと共同研究契約を締結。生成AIを用いた治験関連文書の自動作成ツールの開発を始動メタリアル・グループ | 株式会社ロゼッタのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000615.000006279.html, (参照 24-08-01).
2. Meta. https://about.meta.com/ja/

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