三井化学とSustechが太陽光パネルリユースで協業、2030年代の大量廃棄に向け循環型システムの構築へ

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

三井化学とSustechが太陽光パネルのリユース実証で合意
FIT発電所の大量廃棄に向けた循環システムの構築へ
分散型電力運用プラットフォームELICを活用した新スキーム

太陽光パネルの循環型システム構築への取り組み

三井化学株式会社とSustechは2024年11月6日、中古太陽光パネルのリユースを通じた新たな再エネ導入スキーム実証の取組みで合意した。2012年のFIT制度開始以降に導入された事業用FIT発電所は累計50GW以上に達しており、2030年代半ばから大量廃棄が予測されている状況を受けての取り組みである。^[1]

三井化学グループは40年以上にわたる太陽光パネル封止材の製造販売経験と6GWを超える太陽光発電所の診断実績を持ち、廃棄物削減に向けた取り組みを強化してきた。一方Sustechは独自開発の分散型電力運用プラットフォームELICを活用した再生可能エネルギーの運用ノウハウを蓄積している。

2022年より両社は太陽光発電関連事業での協業を進めており、技術とノウハウを組み合わせることで循環型システムの構築を目指している。FIT発電所のリパワリング過程で発生する中古パネルの調達から設置、運用、保守までを一貫して実施する体制を整える。

太陽光パネルリユーススキームの概要

項目	詳細
実施企業	三井化学株式会社、株式会社Sustech
三井化学の役割	中古太陽光パネルの調達、診断・評価
Sustechの役割	設置、ELIC運用、保守管理
予測される廃棄量	2030年代半ばに年間最大50万トン
三井化学の実績	太陽光診断3,500箇所以上（累計6GW超）

FIT制度について

FIT制度とは再生可能エネルギーの固定価格買取制度のことを指し、再生可能エネルギーの普及促進を目的とした制度である。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

再生可能エネルギーの買取価格を法律で定める
電力会社による買取を義務付けている
買取費用を電気料金に上乗せして回収する

2012年のFIT制度開始以降、太陽光発電を中心に再エネ導入が加速し、事業用FIT発電所は累計50GW以上に達している。2023年7月からは廃棄費用積立制度も義務化されており、発電事業者による適切な設備の廃棄処理を促進する仕組みが整備されつつある。

太陽光パネルリユース事業に関する考察

三井化学とSustechの連携による太陽光パネルリユース事業は、廃棄物削減と再エネ普及の両立という観点で非常に重要な取り組みである。両社の技術力と運用ノウハウを組み合わせることで、中古パネルの性能評価から運用までを一貫して実施できる体制が構築されることは大きな強みとなるだろう。

今後の課題として、中古パネルの品質保証や性能劣化への対応、リユース後の保守体制の確立などが挙げられる。これらの課題に対しては、三井化学の診断技術とSustechのELICプラットフォームを活用した総合的なモニタリングシステムの構築が有効な解決策となり得るだろう。

将来的には、AIを活用した劣化予測や最適な運用制御など、より高度な技術の導入も期待される。リユース市場の拡大に伴い、パネルの品質基準の標準化や取引市場の整備なども重要な検討課題となってくるはずだ。

参考サイト

^ PR TIMES. 「太陽光パネルのリユースを通じた低環境負荷を実現する新たな再エネ導入スキーム実証の取組みに合意 | 株式会社Sustechのプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000059.000092942.html, (参照 24-11-07).

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