世界最速スーパーコンピュータの座をAMD搭載El Capitanが獲得、1.742EFLOPSの驚異的な演算性能を実現

text: XEXEQ編集部
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記事の要約

世界のスパコンランキングTOP500で米国El Capitanが首位獲得
AMD製CPUとAPUを搭載し1.742EFLOPSの性能を実現
11,039,616個のコアとCray Slingshot 11ネットワークを採用

スーパーコンピュータEl Capitanが世界最速を記録

第64回となる世界のスーパーコンピュータ性能ランキング「TOP500」が2024年11月18日に発表され、米国カリフォルニア州ローレンス・リバモア国立研究所に設置されたEl Capitanが首位に輝いた。El CapitanはAMD製の第4世代EPYCプロセッサとInstinct MI300A APUを搭載しており、HPL性能で1.742EFLOPSを達成している。^[1]

El CapitanはHPE Cray EX255aシステムをベースに構築され、CPUとGPUのコア数合計は1,103万9,616基に達している。Cray Slingshot 11ネットワークによるデータ転送と58.89GFLOPS/Wのエネルギー効率を実現し、GREEN500リストでも18位にランクインする高い省電力性能を示している。

El Capitanは米国の核兵器科学や科学的発見のための重要な演算リソースとして機密扱いとなっているが、同じアーキテクチャで構築された非機密の姉妹システムTuolumneも10位にランクインしている。Tuolumneは気候変動影響のモデリングや地震モデリングなどのオープンサイエンスを推進する役割を担っている。

世界のスーパーコンピュータランキング最新動向

順位	システム名	設置場所	HPL性能	主要コンポーネント
1位	El Capitan	米国LLNL	1.742EFLOPS	AMD EPYC + MI300A
2位	Frontier	米国ORNL	1.353EFLOPS	AMD EPYC + MI250X
3位	Aurora	米国Argonne	1.012EFLOPS	Intel Xeon + Max GPU

EFLOPSについて

EFLOPSとは、Exa Floating-point Operations Per Secondの略で、1秒間に行える浮動小数点演算回数を表す性能指標である。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

1EFLOPSは1秒間に100京回の演算が可能
気候変動や核融合などの複雑なシミュレーションに必要
次世代AIや量子コンピュータ研究の基盤技術

El CapitanのHPL性能1.742EFLOPSは、従来のスーパーコンピュータSierraの20倍以上の演算能力を実現している。コンピューティングノードは11,000を超え、5.4375PBのメモリを搭載することで、大規模な科学計算や機械学習タスクを効率的に処理することが可能だ。

El Capitanのスーパーコンピュータ開発に関する考察

El CapitanのAMD製プロセッサとAPUの採用は、高性能コンピューティング分野におけるAMDの技術力の高さを示す重要な指標となっている。特にInstinct MI300A APUは、CPUとGPUを1パッケージに統合することで従来のアーキテクチャよりも高い演算効率と省電力性を実現しており、次世代スーパーコンピュータの方向性を示唆している。

今後はさらなる電力効率の向上と冷却技術の革新が課題となるだろう。エクサスケールコンピューティングの実用化に伴い、電力消費と熱問題は深刻化する可能性があり、量子コンピューティングなど新たな計算パラダイムとの統合も検討が必要だ。

また、オープンサイエンスと機密研究のバランスも重要な課題となっている。El CapitanとTuolumneの二面展開は、機密性の高い研究と公共の科学発展を両立させる新しいモデルとなり得るが、技術の民生利用促進と安全保障のバランスが鍵となるだろう。