損保ジャパンら3社がドローンを活用した森林調査実証実験を開始、森林経営の効率化とカーボンニュートラルへの貢献を目指す

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

損保ジャパンらが森林調査にドローンを活用した実証実験を開始
山林70haの樹種や本数などのデータを取得し解析予定
J-クレジット制度への活用を目指した森林施業の効率化を支援

ドローンを活用した森林調査実証実験の開始

損害保険ジャパン株式会社とSOMPOリスクマネジメント株式会社、藤川山林株式会社は、2024年11月22日に森林経営の効率化対策として森林調査にドローンを活用した実証実験を開始することで合意を発表した。この実験では、藤川山林が管理する約70haの山林に対してドローンによる調査を実施し、樹種や本数、樹高、樹冠面積といった森林管理に必要な重要データの取得を目指している。^[1]

最適な森林保全を進める上で必要不可欠な山林調査において、現状では急斜面での転落事故などの危険性が高く、航空機を用いたリモートセンシング調査も多額のコストがかかるという課題が存在している。SOMPOグループは約10年に渡るドローンの活用実績を活かし、実運航からデータ解析までを含めた包括的な実証実験を行うことで、これらの課題解決を目指すだろう。

さらに藤川山林で実施する地上からのLidarを用いた調査データとドローンによる空撮データのマッチングにおいて、より詳細な山林データの解析が可能か検証を行う予定である。森林保全技術の最適化に向けた取り組みは、カーボンニュートラル社会の実現にも大きく貢献することが期待されている。

森林調査実証実験の詳細まとめ

項目	詳細
実施期間	2024年11月25日～26日
実施場所	藤川山林株式会社（鹿児島県薩摩川内市東郷町）
対象範囲	約70haの山林
調査内容	樹種、本数、樹高、樹冠面積の解析
実施主体	SOMPOリスクマネジメント株式会社

リモートセンシングについて

リモートセンシングとは、遠隔地からセンサーを使って対象物の形状や性質を測定することを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

非接触で広範囲の情報を収集可能
危険な場所や立ち入り困難な場所のデータ取得が可能
定期的な観測による経時変化の把握が容易

森林調査における従来のリモートセンシングは主に航空機を用いて行われてきたが、高額な運用コストが課題となっていた。ドローンを活用することで、より低コストで効率的な森林調査が可能となり、森林管理や保全活動の新たな手法として期待が高まっている。

森林調査へのドローン活用に関する考察

ドローンを活用した森林調査は、従来の人力による調査や航空機を用いたリモートセンシングと比較して、コスト面と安全性の両面で大きな優位性を持っている。特に急斜面での作業員の安全確保という課題に対して、ドローンによる調査は有効な解決策となり得るだろう。

一方で、天候や風の影響を受けやすいドローンの特性上、安定したデータ収集が困難になる可能性も考えられる。また、樹冠が密集している場所では下層植生の観測が難しく、より詳細なデータ収集のためには地上からのLidar計測との組み合わせが重要となってくるだろう。

森林管理のデジタル化とカーボンニュートラルへの貢献という観点から、ドローン技術の更なる進化と活用範囲の拡大が期待される。J-クレジット制度への活用を視野に入れた取り組みは、環境保全と経済活動の両立という新たな可能性を示している。

参考サイト

^ PR TIMES. 「森林施業適期判断とカーボンニュートラルに向けドローンを活用した実証実験の開始 | 損害保険ジャパン株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000448.000078307.html, (参照 24-11-24).

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