WebGPUがChrome 128で新機能「サブグループ」を追加、SIMDレベルの並列処理が可能に

text: XEXEQ編集部
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)


記事の要約

  • WebGPUがChrome 128で新機能を追加
  • サブグループ機能によりSIMDレベルの並列処理が可能に
  • オリジントライアルでサブグループ機能のテストが可能

WebGPUの新機能がChrome 128で利用可能に

Google ChromeのWebGPU実装において、サブグループ機能が新たに追加された。この機能は、Chrome 128のリリースに合わせて2024年5月3日から利用可能となっている。サブグループ機能により、SIMD(Single Instruction Multiple Data)レベルの並列処理が可能となり、グループ内のスレッド間での通信や集団的な数学演算の実行が効率化された。[1]

新機能の試用には、「安全でないWebGPUのサポート」フラグを有効にする必要がある。このフラグは chrome://flags/#enable-unsafe-webgpu で設定可能だ。より実践的なテストを行いたい開発者向けに、オリジントライアルへの登録オプションも用意されている。オリジントライアルは Chrome 128 から 131 までの期間で実施され、2025年2月19日に終了する予定となっている。

WebGPUのサブグループ機能を利用するには、GPUAdapterで "subgroups" 機能が利用可能であることを確認し、GPUDeviceのリクエスト時にこの機能を指定する必要がある。さらに、WGSLコード内で enable subgroups; を使用して明示的に有効化する必要がある。有効化後は、サブグループ内のスレッドインデックスやサイズへのアクセス、ブロードキャスト操作などの新たな機能が利用可能となる。

WebGPUのサブグループ機能まとめ

機能 利用方法 効果
サブグループ機能 SIMDレベルの並列処理 GPUDeviceで "subgroups" を指定 スレッド間通信の効率化
WGSLでの有効化 enable subgroups; の使用 WGSLコード内で記述 サブグループ関連機能の利用
新規組み込み値 subgroup_invocation_id, subgroup_size WGSLコード内で参照 サブグループ情報へのアクセス
新規組み込み関数 subgroupBallot, subgroupBroadcast WGSLコード内で呼び出し サブグループ内での演算効率化
WebGPUの安全でないサポートの有効化はこちら

サブグループについて

サブグループとは、WebGPUにおけるスレッドの集合を指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

  • SIMDレベルの並列処理を実現する単位
  • グループ内のスレッド間で効率的な通信が可能
  • 集団的な数学演算を高速に実行できる

WebGPUのサブグループ機能は、GPUの処理能力をより効率的に活用するために導入された。この機能により、開発者はグラフィックス処理やコンピュート処理において、よりきめ細かな制御と最適化が可能になる。サブグループを利用することで、特に大規模なデータ処理や複雑な計算を要するアプリケーションにおいて、パフォーマンスの大幅な向上が期待できる。

WebGPUのサブグループ機能に関する考察

WebGPUにサブグループ機能が追加されたことは、ウェブベースの高性能コンピューティングにとって大きな進歩だ。この機能により、機械学習アルゴリズムの実装や複雑な物理シミュレーションなど、従来はネイティブアプリケーションの領域とされてきた処理をウェブ上で効率的に実行できるようになる可能性がある。ただし、この新機能の効果的な活用には、開発者がGPUアーキテクチャとサブグループの動作原理を深く理解する必要があるだろう。

今後の課題として、サブグループ機能のクロスブラウザサポートが挙げられる。現状ではChromeのみでの実装となっているが、他のメジャーブラウザでも同様の機能が実装されることで、WebGPUの真価が発揮されることになる。また、サブグループ機能を効果的に活用するためのベストプラクティスやデザインパターンの確立も重要だ。これらが整備されることで、より多くの開発者がこの強力な機能を活用できるようになるだろう。

将来的には、サブグループ機能を活用した新しいウェブアプリケーションの登場が期待される。例えば、ブラウザ上で動作する高度な画像処理ツールや、リアルタイムの3Dレンダリングエンジンなどが実現可能になるかもしれない。さらに、この技術の進化により、ウェブとネイティブアプリケーションの境界がさらに曖昧になり、ウェブプラットフォームの可能性が大きく広がる可能性がある。

参考サイト

  1. ^ Chrome for Developers. 「WebGPU の新機能(Chrome 128) | Blog | Chrome for Developers」. https://developer.chrome.com/blog/new-in-webgpu-128?hl=ja, (参照 24-08-22).
  2. Google. https://blog.google/intl/ja-jp/

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