新電元工業がV2Xシステム実証機で機械式立体駐車場の災害時稼働に成功、EVの新たな活用可能性を示す

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

新電元工業がEV放電による機械式立駐の稼働実証に成功
10kW出力V2Xシステム実証機で三相電力供給を実現
災害時のモビリティ復旧に向けた画期的な取り組み

新電元工業のV2Xシステム実証機による機械式立体駐車場の災害時稼働に成功

新電元工業株式会社は、東京電力グループと協力し、電気自動車（EV）の放電機能を活用した機械式立体駐車場の稼働実証試験を2024年9月4日に成功裏に完了したことを発表した。この実証試験では、新電元工業が開発した10kW出力V2Xシステム実証機を用いて、EVから機械式立体駐車場への三相電力供給を実現し、停電時でも駐車場の稼働と車両の出庫が可能であることを実証している。^[1]

V2X（Vehicle-to-everything）技術を活用したこのシステムは、EVの搭載電池から電力を取り出し、公共産業機器を駆動する機能を有している。実証試験では、三相動力の機械式立体駐車場およびEV車両とV2Xシステム実証機を接続連携し、最大負荷時においても約3kVAもの大電力をEV電池から供給することに成功した。この成果は、他方式の機械式立体駐車場でも十分に駆動可能な見込みを示している。

さらに、災害時の柔軟な運用に備えて2方式の「ブラックスタート機能」を搭載し、それぞれの稼働実証を行った。一方は充放電コネクタから起動用電源を取得する方法で、もう一方はEVのシガーソケットから起動用の制御電力を取得する回路機能を搭載している。これにより、様々なEV車種に対応可能な柔軟なシステム起動を実現している。

V2Xシステム実証機の特徴まとめ

	V2Xシステム実証機	従来のV2Hシステム
出力	三相交流10kWクラス	単相交流6kWクラス
主な用途	機械式立体駐車場、高層施設の設備稼働	住宅電力の平準化、停電時の電力供給
ブラックスタート機能	2方式（コネクタ、シガーソケット）	記載なし
特徴	産業用設備向け、高出力	家庭用向け

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V2Xについて

V2Xとは、Vehicle-to-everythingの略称で、車両と様々な機器とがデータ通信や電力充放電によって連携する技術のことを指している。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

車両の電力を外部機器に供給可能
双方向の通信と電力のやりとりが可能
災害時や停電時の非常用電源として活用可能

V2X技術は、EVの普及に伴いその重要性が増している。新電元工業のV2Xシステム実証機は、従来の家庭用V2Hシステムと比較して高出力であり、産業用設備の駆動にも適している。この技術により、災害時のモビリティ運用を迅速に復旧させる可能性が広がっている。

V2Xシステム実証機に関する考察

新電元工業のV2Xシステム実証機の成功は、災害時の都市インフラ復旧に大きな可能性をもたらしている。特に、機械式立体駐車場の稼働が可能になることで、都市部での人々の移動手段の確保に大きく貢献するだろう。一方で、EVの普及率や充電インフラの整備状況によっては、十分な電力供給が困難になる可能性も考えられる。

今後の課題として、V2Xシステムの標準化や、より多くのEV車種への対応が挙げられる。また、災害時のEV電力の効率的な分配システムの構築も重要となるだろう。これらの課題に対しては、自動車メーカーや電力会社、地方自治体との連携強化が解決策となり得る。さらに、V2Xシステムの小型化や低コスト化も進めることで、より広範囲での導入が期待できる。

将来的には、V2Xシステムを活用したスマートシティの実現や、再生可能エネルギーとの連携による持続可能な都市づくりへの貢献が期待される。新電元工業には、この技術をさらに発展させ、災害に強い社会インフラの構築に向けて、継続的な研究開発と実証実験を進めていってほしい。V2X技術は、単なる非常用電源としてだけでなく、エネルギーの地産地消や電力網の安定化にも寄与する可能性を秘めている。

参考サイト

^ PR TIMES. 「EV放電で機械式立駐を駆動！V2Xシステム災害利用を東京電力グループと新電元が実証、三相電源による施設の機能維持へ一歩前進 | 新電元工業株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000079.000063577.html, (参照 24-09-05).

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