大和ハウス工業とキヤノンMJが物流効率化システムを開発、DPL平塚で実証実験開始、2024年問題解決へ

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

大和ハウス工業とキヤノンMJが荷待ち・荷役時間可視化システムを開発
2024年11月1日からDPL平塚で実証実験を開始
物流の「2024年問題」の課題解決を目指す

大和ハウス工業とキヤノンMJによる物流効率化システムの開発

大和ハウス工業とキヤノンマーケティングジャパン株式会社は、物流施設におけるトラックドライバーの荷待ち・荷役時間を可視化し改善を支援するシステムを開発した。このシステムは2024年11月1日より、大和ハウス工業が開発したマルチテナント型物流施設「DPL平塚」において実証実験が開始される。2025年4月以降には大和ハウス工業が展開する物流施設「DPL」への本格導入を目指している。^[1]

このシステム開発の背景には、2023年6月に経済産業省、農林水産省、および国土交通省が公開した物流の「2024年問題」に対応するためのガイドラインがある。このガイドラインでは、荷主事業者がトラックドライバーの荷待ち・荷役時間を2時間以内（努力目標1時間以内）にすることなどが必要な事項として定められている。大和ハウス工業は、このガイドラインに沿った物流効率化を支援するシステムの開発に取り組んだのだ。

大和ハウス工業は全国各地で物流施設の開発を手掛けており、これまでに332棟、総延床面積約12,950,000㎡の物流施設を開発してきた実績がある。2018年からは、同社が開発する物流施設において「トラックの入場予約システム・オンラインチェックインシステム」の利用環境を整備し、荷主事業者とテナント企業に対して物流の効率化・自動化に向けた支援を行っている。

荷待ち・荷役時間可視化システムの機能まとめ

機能	詳細
トラックの自動検知	カメラ映像から物流事業者ごとにトラックを自動で検知
作業時間の記録	物流施設入場からバースへの移動、荷役作業、退場までを自動記録
AI分析	キヤノンMJグループ独自の作業解析技術を用いてドライバーの行動を分析
課題把握	時間を要した点について動作分析により課題を特定
改善支援	分析データに基づき、物流効率化に向けた改善を支援

マルチテナント型物流施設について

マルチテナント型物流施設とは、複数の企業テナントが入居できる物流施設のことを指す。この形態の物流施設には、以下のような特徴がある。

複数の企業が共同で利用することによるコスト削減効果
需要に応じて柔軟に利用スペースを調整可能
最新の物流設備や技術を共有できる環境

大和ハウス工業が開発した「DPL平塚」はこのマルチテナント型物流施設の一つである。今回開発されたシステムは、このような共同利用型の施設において、複数の企業の物流効率化を同時に支援することが可能となる。物流の「2024年問題」に対応するためには、このような共同利用型の施設でも効率的な運用が求められている。

物流の「2024年問題」に関する考察

大和ハウス工業とキヤノンMJが開発した荷待ち・荷役時間可視化システムは、物流の「2024年問題」に対する具体的な解決策として評価できる。特に、AIを活用した作業分析により、これまで人手で行っていた時間計測や課題抽出を自動化できる点は、物流現場の生産性向上に大きく寄与するだろう。一方で、システム導入に伴うコストや、データ管理におけるプライバシー保護の問題など、新たな課題も生じる可能性がある。

今後、このシステムの実証実験を通じて、さまざまな物流パターンや季節変動などに対する適応性が検証されることが期待される。特に、マルチテナント型物流施設特有の複雑な動線管理や、テナント間の公平性確保などの課題に対して、どのようなソリューションが提示されるかが注目される。システムの改良点として、天候や交通状況などの外部要因を考慮した予測機能の追加や、他の物流システムとの連携強化などが考えられるだろう。

物流の「2024年問題」は、単に一企業や一施設の問題ではなく、日本の産業全体に関わる重要な課題である。大和ハウス工業とキヤノンMJの取り組みが成功すれば、他の物流施設や物流事業者にも波及し、業界全体の効率化につながる可能性がある。今後は、このようなシステムの標準化や、業界を超えた連携も視野に入れた展開が期待される。

参考サイト

^ PR TIMES. 「映像とAIを活用した荷待ち・荷役時間を可視化するシステムの実証実験を大和ハウス工業の物流施設「DPL平塚」で開始　～物流の「2024年問題」の課題解決へ～ | キヤノンマーケティングジャパン株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001159.000013943.html, (参照 24-09-10).
経済産業省. https://www.meti.go.jp/index.html

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