SassorがFIP電源向け蓄電池制御ロジックを開発、収益最大化と再エネ普及促進に貢献

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

Sassorが蓄電池を用いたFIP電源最適運用制御ロジックを開発
下限価格コマの発電を供給シフトし収益増を実現
シミュレーションサービスも同時提供開始

SassorがFIP電源向け蓄電池制御ロジックを開発

株式会社Sassorは、FIP制度を利用する太陽光発電に蓄電池を併設し、出力制御を受けるコマでの発電分を供給シフトさせる制御ロジックを2024年9月10日に開発した。この制御ロジックは、JEPXスポット市場の下限価格コマにおける発電を供給シフトすることで収益増を実現するものである。^[1]

FIP制度では、下限価格となるコマでの電力販売にはプレミアムが付与されず、他のコマに割り付けられるというルールが存在する。Sassorの新制御ロジックは、JEPXのスポット市場価格を予測し、下限価格となるコマでの発電分を蓄電池に充電、高値になるコマで販売を行うことで、この問題を解決する。

同社は制御ロジックの提供開始と同時に、太陽光発電への蓄電池併設を検討する事業者の意思決定をサポートするためのシミュレーションサービスも開始した。このサービスは、過去の一定期間のデータを用い、新制御ロジックで運用した場合の収益試算と蓄電池の挙動をシミュレーションすることが可能である。

Sassorの新制御ロジックの特徴

	制御ロジック	シミュレーションサービス
主な機能	下限価格コマの発電を供給シフト	収益試算と蓄電池挙動のシミュレーション
対象	FIP制度利用の太陽光発電	蓄電池併設検討事業者
メリット	収益増の実現	意思決定サポート
特徴	JEPXスポット市場価格予測機能	過去データを用いた試算機能

FIP制度について

FIP（Feed in premium）制度とは、再生可能エネルギー電源に対して、その電源が発電した電力に一定の補助額（プレミアム）を付与する制度である。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

事業者の投資インセンティブを促進
再生可能エネルギーの普及を促進
発電した電力を電力市場で販売

Sassorが開発した新制御ロジックは、このFIP制度下での収益最大化を目指している。特に、出力制御指令の発令などにより市場価格が下限価格（0.01円）となるコマでの課題に対応しており、プレミアムが付与されないコマでの発電を、プレミアムが付与される他のコマにシフトさせることで、FIP制度の恩恵を最大限に活用することが可能となる。

蓄電池併設型FIP電源制御に関する考察

Sassorが開発した蓄電池併設型FIP電源の制御ロジックは、再生可能エネルギーの普及促進と収益性向上の両立という点で画期的である。特に、下限価格コマでの発電を高値コマにシフトする機能は、FIP制度下での収益最大化に大きく貢献するだろう。一方で、蓄電池の導入コストや維持管理費用が収益性に与える影響についても慎重に検討する必要がある。

今後、気象条件の変動や電力需要の変化に対応できるよう、AIを活用したより精緻な市場価格予測機能の開発が期待される。また、蓄電池の劣化を最小限に抑えつつ、長期的な収益を最大化するための充放電制御アルゴリズムの改良も重要な課題となるだろう。さらに、複数の再生可能エネルギー源を組み合わせた統合的な制御システムの開発も、将来的な展望として考えられる。

Sassorの取り組みは、再生可能エネルギーの普及と電力系統の安定化という社会的課題の解決に寄与する可能性を秘めている。今後は、このような技術革新を通じて、より多くの事業者がFIP制度を活用し、再生可能エネルギーの導入を加速させることが期待される。同時に、電力市場の健全な発展と、持続可能なエネルギー社会の実現に向けた取り組みが一層重要になるだろう。