Unity TechnologiesがRuntime Feeを撤回、サブスクリプションモデルに回帰しゲーム開発者との信頼関係を修復へ

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

Unity Technologiesがゲーム向けRuntime Feeを撤回
従来のシートベースサブスクリプションモデルに戻す
Unity Personal、Pro、Enterpriseの価格改定を発表

Unity TechnologiesがゲームRuntime Feeを撤回、従来のサブスクリプションモデルに戻す

Unity TechnologiesのMatt Bromberg CEOは2024年9月12日、ゲーム領域向けRuntime Feeを撤回し従来のシートベースのサブスクリプションモデルに戻すと発表した。この決定は開発者コミュニティとの数か月にわたる協議の結果であり、発表をもって即時適用される。Unity社は適正な価格と正しい方法で価値を提供することで、長期的なビジネス構築をサポートする姿勢を示している。^[1]

Unity Personalは引き続き無料で利用可能であり、総収益および調達金額の上限が10万米ドルから20万米ドルに引き上げられる。また、Unity 6のリリースに伴い、Unity Personalで開発されたゲームでの「Made with Unity」スプラッシュスクリーンの使用が任意となる。これにより、より多くの開発者がUnityを無料で利用できるようになり、開発の自由度が高まることが期待される。

Unity ProおよびUnity Enterpriseについては、2025年1月1日より価格改定が行われる。Unity Proは8%の価格引き上げでシートあたり年間2,200米ドルとなり、Unity Enterpriseは25%の価格引き上げが適用される。また、年間の総収益および調達金額に応じて、各ライセンスの利用が必須となる閾値が設定される。Unity社は今後、より慣習的なサイクルで年に一度の価格改定を検討していく方針を示している。

Unity料金体系の変更点まとめ

	Unity Personal	Unity Pro	Unity Enterprise
価格	無料	年間2,200米ドル（8%増）	25%価格引き上げ
収益/調達金額上限	20万米ドル	20万米ドル超	2,500万米ドル超
スプラッシュスクリーン	任意（Unity 6以降）	情報なし	情報なし
適用開始日	即時	2025年1月1日	2025年1月1日

Runtime Feeについて

Runtime Feeとは、ゲームエンジンやソフトウェア開発キットの使用に対して課される実行時の料金のことを指す。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

ゲームの売上や利用状況に応じて課金される
開発者の収益に直接影響を与える可能性がある
エンジン提供者にとっては継続的な収入源となる

Unity TechnologiesはRuntime Feeの導入を検討していたが、開発者コミュニティからの強い反発を受けて撤回を決定した。この決定により、Unity社は従来のサブスクリプションモデルを維持しつつ、価格改定を行うことで収益性と開発者支援のバランスを取ろうとしている。Runtime Feeの撤回は、開発者とプラットフォーム提供者の間の信頼関係維持の重要性を示す事例となった。

Unity Runtime Fee撤回に関する考察

Unity TechnologiesがRuntime Feeを撤回したことは、開発者コミュニティの声を尊重した決断として評価できる。この判断により、開発者との信頼関係を維持し、Unity platformの競争力を保つことが可能となった。一方で、Unityの収益モデルの見直しが必要となり、価格改定という形で対応を行ったことで、一部の開発者にとっては負担増となる可能性がある。

今後の課題としては、開発者コミュニティとの継続的なコミュニケーションと、透明性の高い価格設定プロセスの確立が挙げられる。急激な変更を避け、段階的な価格改定や新機能の追加によって価値を高めていくアプローチが重要になるだろう。また、Unity Personal tier の拡大は新規開発者の参入障壁を下げる一方で、有料プランへの移行を促す戦略も必要となる。

将来的には、クラウドサービスとの連携強化やAI機能の統合など、付加価値の高い機能の提供が期待される。これらの新機能によって、開発者の生産性向上や新しい表現の可能性を広げることができれば、価格改定に対する理解も得やすくなるはずだ。Unity社には、開発者エコシステムの健全な発展と自社の収益性のバランスを取りながら、ゲーム開発の民主化という理念を実現していくことが求められる。