Radeonとは？意味をわかりやすく簡単に解説

text: XEXEQ編集部

Radeonとは
RadeonのGPUアーキテクチャ
RadeonのGCNアーキテクチャ
Radeonの新世代アーキテクチャ「RDNA」
Radeonのインフィニティファブリック
Radeonのゲーミング向け機能
Radeon Anti-Lag
Radeon Boost
Radeon Image Sharpening
RadeonのGPUを使用したレイトレーシング
RadeonとDirectX Raytracing(DXR)
Radeonのレイトレーシング性能
Radeonとゲームでのレイトレーシング
参考サイト

Radeonとは

Radeonとは、Advanced Micro Devices(AMD)社が開発・販売しているGPU(Graphics Processing Unit)の製品ブランド名です。AMD社は、CPUとGPUの両方を手がける世界的な半導体メーカーとして知られています。

Radeonは、ゲーミング用途だけでなく、3DCGレンダリングやVR(仮想現実)などのプロフェッショナル向けの用途にも広く使われています。特に、DirectX 12やVulkanなどの最新のグラフィックスAPIに対応し、高いパフォーマンスを発揮します。

また、Radeonは、AMDの独自技術である「FreeSync」をサポートしているのが特徴です。FreeSyncは、ディスプレイのリフレッシュレートとGPUの描画レートを同期させることで、ティアリングやスタッタリングを防ぐ技術です。

現在、RadeonブランドのGPUは、デスクトップ向けの「Radeon RX」シリーズと、ノートPC向けの「Radeon Mobile」シリーズがラインナップされています。各シリーズには、エントリーモデルからハイエンドモデルまで、幅広い製品が揃えられています。

Radeonは、NVIDIAのGeForceと並ぶ、ゲーミングPCやワークステーションに欠かせないGPUブランドの一つと言えるでしょう。AMD社は、Radeonの開発を通じて、PCのグラフィックス性能の向上とゲーム体験の進化に貢献し続けています。

RadeonのGPUアーキテクチャ

「RadeonのGPUアーキテクチャ」に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

RadeonのGCNアーキテクチャ
Radeonの新世代アーキテクチャ「RDNA」
Radeonのインフィニティファブリック

RadeonのGCNアーキテクチャ

Radeonは、第1世代から第5世代までGCN(Graphics Core Next)アーキテクチャを採用していました。GCNは、GPUの並列処理能力を大幅に向上させ、電力効率を高めたアーキテクチャです。

GCNアーキテクチャでは、コンピュートユニット(CU)と呼ばれる演算ユニットを複数搭載し、大規模な並列処理を可能にしました。また、メモリ帯域幅の拡大やキャッシュの最適化により、データ転送の効率化も図られています。

GCNアーキテクチャは、Radeon HD 7000シリーズから、Radeon RX Vegaシリーズまで長きにわたって採用され、Radeonの性能向上に大きく貢献しました。特に、DirectX 12やVulkanなどの低レベルAPIとの親和性が高く、これらのAPIを活用したゲームで高いパフォーマンスを発揮しました。

Radeonの新世代アーキテクチャ「RDNA」

2019年、AMDは新世代のGPUアーキテクチャである「RDNA(Radeon DNA)」を発表しました。RDNAは、7nmプロセスの採用により、大幅な性能向上と電力効率の改善を実現したアーキテクチャです。

RDNAアーキテクチャでは、CUに代わり、新たに「Compute Unit」と呼ばれる演算ユニットが採用されました。Compute Unitは、従来のCUと比べて2倍の命令発行能力を持ち、より高い演算性能を発揮します。

また、RDNAアーキテクチャでは、メモリ階層の最適化や、可変レートシェーディング(VRS)などの新機能も導入されました。これらの改良により、RDNAベースのRadeonは、ゲーミングだけでなく、レイトレーシングなどの高度なグラフィックス処理でも優れたパフォーマンスを示しています。

Radeonのインフィニティファブリック

インフィニティファブリック(Infinity Fabric)は、AMDが開発した高速な相互接続技術です。元々はCPU向けに開発された技術でしたが、Radeonでも採用されています。

Radeonでは、インフィニティファブリックを用いて、GPUチップ内の各部をつなぐことで、データ転送の効率化と遅延の低減を図っています。これにより、GPUの各部が高速かつ効率的に連携し、全体のパフォーマンスが向上します。

また、マルチGPU環境においても、インフィニティファブリックを用いることで、GPU間の通信を高速化できます。これは、例えばRadeonをクロスファイア構成で使用する際に、スケーラビリティの向上に役立ちます。

Radeonのゲーミング向け機能

「Radeonのゲーミング向け機能」に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

Radeon Anti-Lag
Radeon Boost
Radeon Image Sharpening

Radeon Anti-Lag

Radeon Anti-Lagは、ゲーム内の入力遅延を低減する機能です。GPUがフレームの描画を完了するのを待つ代わりに、ゲームエンジンからの最新の入力情報を基に描画を開始することで、入力から画面表示までの遅延を短縮します。

この機能は、特にFPSなどの反応速度が重要なゲームで効果を発揮します。Radeon Anti-Lagを有効にすることで、プレイヤーの操作に対するゲームの反応が素早くなり、よりスムーズなゲームプレイが可能になります。

Radeon Anti-Lagは、Radeonドライバから簡単に有効化できる機能で、対応ゲームであれば、特別な設定をすることなく利用できます。競技シーンでも注目される、Radeonの重要なゲーミング機能の一つと言えるでしょう。

Radeon Boost

Radeon Boostは、ゲーム中の操作に合わせて、動的に解像度を変更することでフレームレートを向上させる機能です。例えば、プレイヤーが素早くマウスを動かした時などに、一時的に解像度を下げることで、描画負荷を減らしフレームレートを上げます。

この機能により、解像度の低下を最小限に抑えつつ、よりスムーズなゲーム体験が得られます。特に、高解像度でプレイ時にGPUの負荷が高くなりがちな場面で、Radeon Boostが効果を発揮します。

Radeon Boostは、AMDのソフトウェア「Radeon Settings」から設定可能で、各ゲームごとに有効/無効を切り替えられます。快適なゲームプレイのために、Radeonユーザーに広く活用されている機能です。

Radeon Image Sharpening

Radeon Image Sharpening(RIS)は、ゲーム画質を向上させるための機能です。RISは、コントラストの適応的調整により、ゲーム内の画像をシャープにし、ディテールを強調します。

RISは、アンチエイリアシングによるぼやけを抑えつつ、エッジの輪郭を鮮明にする効果があります。この機能を使うことで、より精細で美しいゲーム画質を得ることができます。

また、RISは、アップスケーリングされた画像に対しても効果を発揮します。例えば、1080pの解像度でレンダリングした画像を、RISを用いて4Kにアップスケーリングすることで、ネイティブ4Kに近い画質を得られます。この手法により、GPUへの負荷を抑えつつ、高画質なゲームプレイが可能になります。

RadeonのGPUを使用したレイトレーシング

「RadeonのGPUを使用したレイトレーシング」に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

RadeonとDirectX Raytracing(DXR)
Radeonのレイトレーシング性能
Radeonとゲームでのレイトレーシング

RadeonとDirectX Raytracing(DXR)

DirectX Raytracing(DXR)は、Microsoftが提供するリアルタイムレイトレーシングのためのAPI(Application Programming Interface)です。DXRは、DirectX 12の拡張機能として提供され、GPUを使ってレイトレーシングを高速に実行できます。

Radeonは、RDNAアーキテクチャの採用により、DXRをハードウェアレベルでサポートしています。つまり、RadeonのGPUには、レイトレーシングの演算を高速化するための専用ユニットが搭載されているのです。

これにより、RadeonのGPUは、レイトレーシングを効率的に処理できます。ゲームなどのリアルタイムグラフィックスにおいて、より現実に近い光の表現や、リアルな影、反射、屈折などの表現が可能になります。

Radeonのレイトレーシング性能

Radeonは、RDNAアーキテクチャの採用により、レイトレーシングの性能が大幅に向上しました。特に、第2世代のRDNAアーキテクチャを採用したRadeon RX 6000シリーズは、優れたレイトレーシング性能を示しています。

実際のゲームにおいても、Radeon RX 6000シリーズは、高解像度かつ高フレームレートでのレイトレーシング描画を実現しています。これは、RDNAアーキテクチャの効率的なレイトレーシング処理と、大容量のInfinity Cacheによるデータ供給の最適化が功を奏している結果と言えます。

また、AMDは、レイトレーシングのパフォーマンスを向上させるための独自技術「FidelityFX Super Resolution(FSR)」も提供しています。FSRは、レイトレーシングによる描画負荷を軽減しつつ、高画質を維持する技術で、Radeonのレイトレーシング性能をさらに引き上げる役割を果たしています。