EGP(Exterior Gateway Protocol)とは?意味をわかりやすく簡単に解説
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EGP(Exterior Gateway Protocol)とは
EGP(Exterior Gateway Protocol)はインターネットの初期に使用されていた外部ゲートウェイプロトコルです。異なる自律システム(AS)間でルーティング情報を交換するために設計されたプロトコルになります。
EGPはインターネットの黎明期に使用されていましたが、現在はBGP(Border Gateway Protocol)に置き換えられています。BGPはEGPよりも柔軟性が高く、拡張性に優れているためです。
EGPはツリー型のトポロジーを前提としており、階層型のネットワーク構造に適しています。しかし、現在のインターネットは複雑に相互接続されているため、EGPでは対応が困難になっています。
EGPはルーティング情報の交換に距離ベクトル型アルゴリズムを使用します。各ルーターは隣接するルーターとルーティング情報を交換し、最適なパスを計算するというものです。
EGPは現在はBGPに置き換えられていますが、インターネットの歴史において重要な役割を果たしたプロトコルです。インターネットの初期段階における異なるAS間でのルーティング情報の交換を可能にしました。
EGPの仕組みと動作原理
EGPの仕組みと動作原理に関して、以下3つを簡単に解説していきます。
- EGPにおけるルーティング情報の交換方法
- EGPが採用する距離ベクトル型アルゴリズムの特徴
- EGPのツリー型トポロジーとその制約
EGPにおけるルーティング情報の交換方法
EGPでは隣接するゲートウェイ間でルーティング情報を交換します。各ゲートウェイは自身が知っているネットワークの情報を隣接するゲートウェイに伝達するのです。
ゲートウェイは受け取ったルーティング情報を基に、最適なパスを計算します。この計算には距離ベクトル型アルゴリズムが使用されます。
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EGPが採用する距離ベクトル型アルゴリズムの特徴
EGPが採用する距離ベクトル型アルゴリズムは各ゲートウェイが宛先ネットワークまでの距離と次ホップのゲートウェイの情報を保持します。距離は通過するゲートウェイの数で表現されます。
距離ベクトル型アルゴリズムは単純で実装が容易である一方、収束が遅いという欠点があります。ネットワークトポロジーの変更が発生した場合、ルーティング情報が全てのゲートウェイに伝播するまでに時間がかかるのです。
EGPのツリー型トポロジーとその制約
EGPはツリー型のネットワークトポロジーを前提としています。つまり、各AS間の接続関係が階層構造になっている必要があります。
ツリー型トポロジーでは上位のASから下位のASへとルーティング情報が伝播されます。しかし、現在のインターネットは複雑に相互接続されており、ツリー型トポロジーでは表現できない構造になっています。
そのため、EGPはインターネットの発展に伴う要求に対応できなくなり、BGPに置き換えられることになったのです。BGPはより柔軟なトポロジーに対応可能で、ポリシーベースのルーティングが実現できます。
EGPとBGPの比較
EGPとBGPの比較に関して、以下3つを簡単に解説していきます。
- ルーティング情報の交換方式の違い
- 対応可能なネットワークトポロジーの差異
- ポリシーベースルーティングの有無
ルーティング情報の交換方式の違い
EGPは距離ベクトル型のルーティングプロトコルであり、隣接するゲートウェイ間で距離情報を交換します。一方、BGPはパスベクトル型のプロトコルで、到達可能なネットワークへのパス情報を交換するのです。
BGPではパス情報に各ASの番号が含まれており、ループの検出が容易になります。また、パス情報を基にポリシーベースのルーティングが可能になっています。
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対応可能なネットワークトポロジーの差異
EGPはツリー型のネットワークトポロジーを前提としており、階層型の構造に適しています。しかし、現在のインターネットは複雑に相互接続されているため、EGPでは対応が困難です。
BGPはより柔軟なトポロジーに対応可能で、複雑に相互接続されたネットワークにも適用できます。BGPでは各AS間の接続関係に制限がないため、現在のインターネットの構造に適しているのです。
ポリシーベースルーティングの有無
EGPにはポリシーベースルーティングの機能はありません。EGPは単純に距離情報を基に最適なパスを選択するだけです。
一方、BGPではポリシーベースルーティングが可能です。各ASは自身のポリシーに基づいてルーティングを制御できます。例えば、特定のASを経由しないようにルートを設定したり、複数のパスから優先度に基づいて選択したりできるのです。
このポリシーベースルーティングの機能により、BGPは現在のインターネットにおける経路制御の主要なプロトコルになっています。各組織は自身の要件に合わせてルーティングを最適化できるようになったのです。
EGPの課題と限界
EGPの課題と限界に関して、以下3つを簡単に解説していきます。
- ツリー型トポロジーに起因する制約
- ルーティング情報の収束速度の問題
- ポリシーベースルーティングの欠如による柔軟性の欠如
ツリー型トポロジーに起因する制約
EGPがツリー型のネットワークトポロジーを前提としていることは現在のインターネットにおける大きな制約となっています。インターネットは複雑に相互接続された構造になっており、ツリー型では表現できません。
ツリー型トポロジーでは上位のASから下位のASへと一方向にルーティング情報が伝播されます。このため、下位のAS間の通信は上位のASを経由する必要があり、非効率的になってしまうのです。
ルーティング情報の収束速度の問題
EGPが採用している距離ベクトル型アルゴリズムはルーティング情報の収束が遅いという問題があります。ネットワークトポロジーに変更が生じた場合、その情報が全てのゲートウェイに伝播するまでに時間がかかります。
この収束の遅さはネットワークの安定性に影響を与えます。ルーティング情報が不安定な状態が長く続くと、通信が途絶えたり、ループが発生したりする可能性があるのです。
ポリシーベースルーティングの欠如による柔軟性の欠如
EGPにはポリシーベースルーティングの機能がないため、ルーティングの柔軟性に欠けます。各ASは自身のポリシーに基づいてルーティングを制御することができません。
現在のインターネットでは各組織がそれぞれの要件に合わせてルーティングを最適化する必要があります。しかし、EGPではそれが不可能なのです。この柔軟性の欠如が、EGPからBGPへの移行を促す大きな要因の一つになりました。
BGPはポリシーベースルーティングを実現し、各ASがルーティングを自由に制御できるようにしています。これにより、インターネットは各組織の要求に柔軟に対応できるようになったのです。
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