BPMNとは?意味をわかりやすく簡単に解説

text: XEXEQ編集部


BPMNとは

BPMNはビジネスプロセスを視覚的に表現するための標準的な記法です。ビジネスプロセスの流れや関係者の役割、情報の流れなどを図式化することで、プロセスの全体像を把握しやすくします。

BPMNではアクティビティ、イベント、ゲートウェイ、シーケンスフロー、メッセージフローなどの要素を使用してプロセスを表現します。これらの要素を組み合わせることで、複雑なビジネスプロセスも明確に表現できるようになっています。

BPMNはビジネスアナリストやプロセス設計者、開発者など、様々な関係者間でのコミュニケーションを円滑にするツールとしても活用されています。共通の記法を使用することで、関係者間での認識の齟齬を防ぎ、効率的なプロセス改善を実現できます。

また、BPMNで作成されたモデルはビジネスプロセス管理システム(BPMS)などのソフトウェアで実行可能なプロセスとして自動化することも可能です。これにより、モデリングから実行までのプロセスを一貫して管理し、ビジネスの効率化を図ることができるでしょう。

BPMNは国際的な標準化団体であるObject Management Group(OMG)によって策定された記法であり、現在ではバージョン2.0までリリースされています。ビジネスプロセスのモデリングに携わる人はBPMNの基本的な概念や記法を理解しておくことが重要です。

BPMNの主要な構成要素

BPMNの主要な構成要素に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • BPMNにおけるアクティビティの種類と役割
  • BPMNのイベントの種類と用途
  • BPMNのゲートウェイの種類と使い方

BPMNにおけるアクティビティの種類と役割

BPMNにおけるアクティビティはプロセスの中で実行される作業や手順を表す要素です。アクティビティにはタスクとサブプロセスの2種類があります。タスクはさらに細分化できない単一の作業を表し、サブプロセスは複数のタスクや他のサブプロセスを含む、より大きな作業単位を表します。

アクティビティはプロセスの実行に必要な具体的な作業内容を明示するために使用されます。各アクティビティには担当者や実行に必要なリソース、入力と出力などの情報を付与することができ、プロセスの詳細を明確に表現できます。アクティビティを適切に配置し、関連付けることで、ビジネスプロセスの流れを正確に表現することが可能となります。

また、アクティビティにはループや条件分岐、並列実行などの制御構造を適用することもできます。これにより、現実のビジネスプロセスに存在する複雑な処理の流れを、BPMNで的確にモデル化することが可能になります。アクティビティはBPMNにおいてプロセスの実行内容を表現する上で欠かせない要素だと言えるでしょう。

BPMNのイベントの種類と用途

BPMNのイベントはプロセスの開始、終了、中間で発生する出来事を表す要素です。イベントには開始イベント、中間イベント、終了イベントの3種類があり、それぞれプロセスの特定の時点で発生する事象を表現します。開始イベントはプロセスの開始トリガー、終了イベントはプロセスの終了条件、中間イベントはプロセスの途中で発生する事象を表します。

イベントはプロセスの流れを制御したり、外部からの入力を受け取ったり、プロセスの状態を通知したりするために使用されます。例えば、メッセージの受信を表す受信イベントや、タイマーを表すタイマーイベント、エラーの発生を表すエラーイベントなどがあります。これらのイベントを適切に配置することで、プロセスの実行条件や例外処理を明確に表現できます。

また、イベントを使用することで、プロセス間の連携や同期も表現できます。例えば、あるプロセスの終了イベントと、別のプロセスの開始イベントを関連付けることで、プロセス間の情報の受け渡しや、実行の順序を制御することが可能となります。イベントはBPMNでプロセスの動的な側面を表現する上で重要な役割を果たしています。

BPMNのゲートウェイの種類と使い方

BPMNのゲートウェイはプロセスの分岐や合流を表す要素です。ゲートウェイには排他ゲートウェイ、包含ゲートウェイ、並行ゲートウェイ、イベントベースゲートウェイなどの種類があり、それぞれ異なる制御構造を表現します。排他ゲートウェイは条件に基づいて一つのパスを選択する分岐を表し、包含ゲートウェイは複数の条件が真となるパスを全て実行する分岐を表します。

並行ゲートウェイは複数のパスを同時に実行する並列処理を表し、イベントベースゲートウェイは複数のイベントのうち最初に発生したイベントに基づいてパスを選択する分岐を表します。これらのゲートウェイを使い分けることで、様々な制御構造をBPMNで表現できます。ゲートウェイはプロセスの実行ルールを明示する上で欠かせない要素の一つです。

ゲートウェイを効果的に使用することで、プロセスのルールや条件をわかりやすく表現できます。例えば、ある条件に基づいて処理を振り分ける場合は排他ゲートウェイを使用し、複数の条件を全て満たす必要がある場合は包含ゲートウェイを使用するなど、適切なゲートウェイを選択することが重要です。ゲートウェイはBPMNにおいてプロセスの制御構造を表現する上で中心的な役割を担っています。

BPMNの利点とビジネスへの適用

BPMNの利点とビジネスへの適用に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • BPMNがビジネスプロセスの可視化に与える効果
  • BPMNを活用したプロセス改善の進め方
  • BPMNとビジネスプロセス管理システムの連携

BPMNがビジネスプロセスの可視化に与える効果

BPMNを使用してビジネスプロセスをモデル化することで、プロセスの全体像を視覚的に捉えることができます。プロセスの流れや関係者の役割、情報の流れなどを図式化することで、複雑なプロセスも容易に理解できるようになります。この可視化により、プロセスに関わる全ての関係者が共通の理解を持つことができ、コミュニケーションが円滑になります。

また、プロセスの可視化は問題点や改善の機会を明らかにする上でも効果的です。BPMNのモデルを分析することで、プロセスのボトルネックや非効率な部分を特定し、改善策を検討することができます。さらに、プロセスの可視化はナレッジの共有や継承にも役立ちます。BPMNのモデルはプロセスに関する知識を明示的に表現するため、組織内での知識の継承や新しい人材の教育に活用できるでしょう。

BPMNを活用したプロセス改善の進め方

BPMNを活用してプロセス改善を進める際はまずプロセスの現状をBPMNでモデル化することから始めます。現状のプロセスを可視化し、関係者間で共有することで、改善の機会や問題点を特定しやすくなります。次に、特定した問題点や改善の機会に対して、解決策を検討し、プロセスのあるべき姿をBPMNで表現します。

改善後のプロセスをBPMNで明示することで、関係者間で目指すべき方向性を共有できます。そして、BPMNで表現した改善後のプロセスを実際に適用し、運用します。適用後は定期的にプロセスのパフォーマンスを測定し、さらなる改善の機会がないか検討を続けることが重要です。BPMNは一連のプロセス改善サイクルを支援するツールとして活用できるでしょう。

また、BPMNを活用したプロセス改善では関係者の巻き込みも重要なポイントです。BPMNのモデルを使って、関係者間で積極的にコミュニケーションを取り、改善への理解と協力を得ることが求められます。BPMNはプロセス改善のための共通言語として、関係者の巻き込みを促進する役割も果たします。

BPMNとビジネスプロセス管理システムの連携

BPMNで作成したプロセスモデルはビジネスプロセス管理システム(BPMS)と連携することで、実行可能なプロセスとして自動化することができます。BPMSはBPMNのモデルを実際のアプリケーションやサービスと結び付け、プロセスの実行を制御するためのプラットフォームです。BPMNとBPMSを組み合わせることで、モデリングから実行までのプロセスを一貫して管理できます。

BPMNとBPMSの連携には大きく分けて2つのアプローチがあります。一つはBPMNのモデルからBPMS用の実行可能なプロセス定義を生成する方法です。もう一つはBPMSのプロセスデザイナー上でBPMNの記法を直接使用する方法です。どちらのアプローチを選択するかは組織のニーズや環境に応じて決定する必要があります。

BPMNとBPMSを連携させることで、プロセスの自動化や効率化を実現できます。例えば、BPMNのモデルに基づいてタスクの割り当てや通知を自動化したり、ビジネスルールに基づいてプロセスの分岐を制御したりすることが可能となります。また、BPMSを通じて収集されたプロセスの実行データを分析することで、継続的なプロセス改善にも役立てられるでしょう。

BPMNの適用事例と今後の展望

BPMNの適用事例と今後の展望に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • BPMNの適用事例と導入効果
  • BPMNの最新動向と拡張モデル
  • BPMNのこれからの展望と課題

BPMNの適用事例と導入効果

BPMNは様々な業種や業務領域で適用されています。例えば、製造業における生産プロセスの管理、金融機関における融資審査プロセスの効率化、医療機関における患者の診療プロセスの標準化などが挙げられます。BPMNを導入することで、プロセスの可視化による業務の効率化や、関係者間のコミュニケーション改善、ナレッジの共有と継承などの効果が報告されています。

また、BPMNとBPMSを組み合わせることで、プロセスの自動化による大幅な効率化を実現した事例も多数あります。例えば、ある企業では受注から出荷までのプロセスをBPMNでモデル化し、BPMSで自動化することで、リードタイムを50%以上短縮することに成功しました。このように、BPMNは様々な業種や業務領域で適用され、大きな導入効果を上げています。

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