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IBMとNASAが気象・気候AI基盤モデルを公開、Hugging Faceで利用可能に

text: XEXEQ編集部
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)


記事の要約

  • IBMとNASAが気象・気候AI基盤モデルを公開
  • Hugging Faceで利用可能なオープンソースモデル
  • 短期気象予測と長期気候予測に対応

IBMとNASAによる気象・気候AI基盤モデルの公開

IBMは2024年9月23日、NASAとの共同開発による新しい気象および気候AI基盤モデルを発表した。このオープンソースモデルは、科学者や開発者、ビジネスコミュニティー向けに設計され、短期的な気象予測と長期的な気候予測に関する課題に柔軟に対応できる。オークリッジ国立研究所の協力を得て開発されたこのモデルは、既存の気象AIモデルよりも幅広い応用が可能だ。[1]

新しい基盤モデルは、NASAのMERRA-2による40年間の地球観測データを使用して事前学習されている。グローバル、地域、ローカルの規模にファイン・チューニング可能な独自のアーキテクチャーを備えており、さまざまな気象研究に適している。モデルの潜在的な応用例には、局地的な観測に基づいたターゲットを絞った予報作成、異常気象パターンの検出と予測、地球規模の気候シミュレーションの空間解像度向上などが含まれる。

この基礎モデルはHugging Faceでダウンロード可能であり、さらに特定の科学的・産業的応用に対応する2つのファイン・チューニング・モデルも提供されている。これらは気候と気象データのダウンスケーリングと重力波パラメタリゼーションに特化しており、それぞれIBM GraniteページとNASA-IBM Prithviモデル・ファミリーの一部としてHugging Faceで公開されている。

気象・気候AI基盤モデルの特徴まとめ

基本モデル ダウンスケーリングモデル 重力波パラメタリゼーションモデル
主な特徴 幅広い気象・気候応用 高解像度データ生成 重力波の正確な推定
学習データ MERRA-2 40年分 基本モデルからファインチューニング 基本モデルからファインチューニング
スケール グローバル・地域・ローカル 最大12倍の解像度 気候プロセス全体
主な用途 予測・検出・シミュレーション 局地的予報・気候予測 数値気象・気候モデルの精度向上
公開場所 Hugging Face IBM Granite Hugging Faceページ NASA-IBM Prithvi Hugging Faceページ
IBMのプレスリリースはこちら

ダウンスケーリングについて

ダウンスケーリングとは、低解像度の気象・気候データから高解像度の出力を推測する手法のことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

  • 大規模データから局所的な予測を可能にする
  • 気温、降水量、地上風などの変数を高解像度化
  • 局地的な気象予報と長期気候予測の精度向上に貢献

IBMとNASAが公開した気象・気候AI基盤モデルのダウンスケーリング機能は、入力データの解像度を最大12倍に向上させることができる。これにより、広域の気象データから特定地域の詳細な予報を生成したり、全球気候モデルの結果を地域スケールに落とし込んだりすることが可能になる。このようなダウンスケーリング技術の進歩は、局地的な気象予報の精度向上や気候変動の地域別影響評価に大きく貢献するだろう。

気象・気候AI基盤モデルに関する考察

IBMとNASAによる気象・気候AI基盤モデルの公開は、気象予測と気候研究の分野に革新をもたらす可能性がある。従来のモデルと比較して幅広い応用が可能な点や、オープンソースで提供されている点は高く評価できる。特に、ダウンスケーリングや重力波パラメタリゼーションなどの専門的なタスクに特化したモデルが提供されていることは、研究者や実務者にとって大きな利点となるだろう。

一方で、このようなAI基盤モデルの精度や信頼性については、今後さらなる検証が必要となる。気象や気候のような複雑なシステムをAIで模倣する際には、モデルのバイアスや誤差の問題が生じる可能性がある。また、大量の計算リソースが必要となるため、モデルの運用コストや環境負荷についても考慮する必要があるだろう。

今後は、このAI基盤モデルを既存の数値予報モデルと組み合わせたハイブリッドアプローチの開発や、リアルタイムデータを効率的に取り込む手法の確立が期待される。さらに、気候変動の影響評価や適応策の策定など、社会的に重要な課題への応用も進めるべきだ。AI技術と気象・気候科学の融合が進むことで、より精度の高い予測と的確な意思決定支援が可能になることを期待したい。

参考サイト

  1. ^ PR TIMES. 「IBMとNASA、気象・気候への応用に適したオープンソースのAIモデルをHugging Faceで公開 | 日本アイ・ビー・エム株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000545.000046783.html, (参照 24-09-29).
  2. IBM. https://www.ibm.com/jp-ja

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