那須塩原市がネイチャーポジティブ推進の連携協定を締結、持続可能な環境都市と地域ブランド力向上を目指す

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

那須塩原市がネイチャーポジティブ推進の連携協定を締結
東急不動産とNational Park Solutionsが協定に参加
持続可能な環境都市と地域ブランド力向上を目指す

那須塩原市におけるネイチャーポジティブの推進に向けた連携協定

栃木県那須塩原市は、株式会社National Park Solutionsと東急不動産株式会社と共に、2024年10月4日付でネイチャーポジティブの推進に向けた連携協定を締結した。この協定は、那須塩原市が宣言した「2050 Sustainable Vision 那須塩原〜環境戦略実行宣言〜」に基づき、生物多様性の損失を回復に向かわせる自然再興を軸とした取り組みを推進するものだ。^[1]

連携協定の主な内容には、国立公園の保護と利活用の好循環創出、重要里地里山の価値の再認識、地域における生物多様性の増進活動の促進、野生動物との共生社会の実現などが含まれている。これらの取り組みを通じて、脱炭素社会の実現（カーボンニュートラル）や循環社会への移行（サーキュラーエコノミー）との相乗効果を発揮し、持続可能な環境都市の実現と地域のブランド力向上を目指すものとなっている。

那須塩原市は、豊かな自然環境と多様な産業が共存する都市として知られている。市内には塩原温泉郷や板室温泉郷などの温泉観光地があり、四季折々の風景を楽しめる観光名所やスキー場、キャンプ場などのアクティビティ施設も充実している。また、生乳産出額本州一を誇る酪農業も盛んであり、地元産品を活用したグルメイベントなども開催されている。

連携協定の主な内容まとめ

連携事項	具体例
国立公園の保護と利活用	清掃活動、外来種駆除活動等の実施
重要里地里山の価値再認識	体験イベント（ツアー）等の共同開催
生物多様性の増進活動促進	企業等の自然共生サイト登録や活動支援
野生動物との共生社会実現	野生鳥獣の被害防止活動に関する支援
3つの柱の連携によるシナジー創出	企業版ふるさと納税等を活用した人材派遣、那須塩原TEE等のアパレル製作・販売

那須塩原市の環境戦略実行宣言の詳細はこちら

ネイチャーポジティブについて

ネイチャーポジティブとは、生物多様性の損失を止め、回復に向かわせる取り組みのことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

自然環境の保護と回復を積極的に推進する考え方
生態系サービスの維持と向上を目指す取り組み
経済活動と自然保護の両立を図る新しいアプローチ

那須塩原市の連携協定では、ネイチャーポジティブの概念を中心に据えている。国立公園の保護と利活用、重要里地里山の価値再認識、生物多様性の増進活動など、具体的な取り組みを通じて自然環境の回復と地域の持続可能な発展を目指している。この協定は、環境保護と経済発展の両立を図る先進的な取り組みの一例として注目されている。

那須塩原市のネイチャーポジティブ推進に関する考察

那須塩原市のネイチャーポジティブ推進に向けた連携協定は、地方自治体と民間企業が協力して環境保護と地域振興を両立させる先進的な取り組みとして評価できる。特に、国立公園の保護や里地里山の価値再認識など、地域の特性を活かした具体的な施策が盛り込まれている点が注目に値する。しかし、今後は施策の実効性や継続性の確保が課題となるだろう。

想定される問題点としては、地域住民や事業者との合意形成や、長期的な資金確保が挙げられる。これらの課題に対しては、地域コミュニティとの対話を重視し、企業版ふるさと納税などの制度を活用した継続的な資金調達の仕組みづくりが重要となるだろう。また、取り組みの成果を定量的に測定し、PDCAサイクルを回すことで、施策の効果検証と改善を行うことも必要不可欠だ。

今後は、この連携協定をモデルケースとして、他の地方自治体にも同様の取り組みが広がることが期待される。特に、観光業と環境保護の両立や、地域ブランドの確立など、那須塩原市の事例から得られる知見は多いだろう。さらに、国レベルでの政策支援や、他の自治体とのネットワーク構築など、より広範囲でのネイチャーポジティブの推進に向けた動きにも注目したい。