F&LCとウニノミクスが資本業務提携、持続可能なウニ畜養事業で海洋生態系保全へ

text: XEXEQ編集部

PR TIMES より

記事の要約

F&LCとウニノミクスが資本業務提携を締結
国産畜養ウニの開発と店舗販売体制を構築
海の磯焼け問題解決とブルーカーボン生態系保全に貢献

F&LCとウニノミクスの資本業務提携によるウニ畜養事業の展開

株式会社FOOD & LIFE COMPANIES（F&LC）とVerdant Bloom Limited（ウニノミクスグループ）は2024年7月23日に資本業務提携を締結した。この提携により、F&LCの基準に合う良質な国産畜養ウニの開発と店舗販売に向けた体制構築が進められる。同時に、天然ウニ漁獲量減少や海の磯焼け問題の解決にも取り組むことで、ブルーカーボン生態系の保全にも貢献する方針だ。^[1]

ウニノミクスグループは、世界各地で磯焼け地域のウニを買い取り、独自の陸上畜養技術と専用飼料で2か月ほどで商品化する事業を展開している。この循環型ビジネスモデルは、藻場の回復による海洋生態系の保護、CO2吸収量増加による温暖化対策、地域経済の活性化、ウニの国内自給率向上など、多方面での社会貢献を目指している。

F&LCは「水産物の持続可能な調達」実現のため、計画的な調達が可能となる養殖事業への取り組みを強化している。今回の提携により、従来の天然漁獲依存から養殖（畜養）を通じた調達基盤構築へのシフトが期待される。また、磯焼けウニの有効活用による資源循環や海藻回復への好影響も見込まれている。

	F&LC	ウニノミクスグループ
主な事業	回転すし「スシロー」等の運営	ウニの陸上畜養事業
提携の目的	良質な国産畜養ウニの調達	事業拡大と技術提供
社会貢献	持続可能な水産物調達	海洋生態系保全、地域経済活性化

ブルーカーボンについて

ブルーカーボンとは、沿岸・海洋生態系に取り込まれ、そのバイオマスやその下の土壌に蓄積される炭素のことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

藻場、干潟、マングローブ林などが主要な吸収源
CO2吸収・貯蔵による温暖化対策効果がある
海洋生態系の保全と密接に関連している

ブルーカーボンは、2009年に国連環境計画（UNEP）の報告書「Blue Carbon」で定義された比較的新しい概念だ。従来の森林などによる陸上の炭素吸収に加え、海洋生態系による炭素吸収・貯蔵にも注目が集まっている。特に藻場（海草・海藻）、塩性湿地、マングローブ林などの「ブルーカーボン生態系」は、効率的なCO2吸収源として期待されている。

ウニ畜養事業の展開に関する考察

F&LCとウニノミクスの提携によるウニ畜養事業の展開は、持続可能な水産業モデルの構築に向けた重要な一歩となる可能性がある。しかし、事業の拡大に伴い、畜養施設の環境負荷や地域社会との調和など、新たな課題が生じる可能性も考えられる。これらの課題に対しては、地域コミュニティとの密接な連携や環境モニタリングシステムの導入などが求められるだろう。

今後、ウニ畜養技術のさらなる進化が期待される。例えば、AIやIoT技術を活用した最適な飼育環境の自動制御や、ゲノム編集技術による高品質ウニの開発などが考えられる。また、ウニ以外の水産物への技術応用や、畜養過程で生じる副産物の有効利用など、事業の多角化も視野に入れるべきだ。

長期的には、この取り組みが日本の水産業全体のサステナビリティ向上のモデルケースとなることが期待される。ウニ畜養事業の成功は、他の水産物への応用可能性を示し、海洋生態系の保全と水産業の共存という課題解決への道筋を示すことになるだろう。今後は、政府や研究機関との連携強化により、より包括的な海洋資源管理システムの構築につながることを期待したい。