基礎生物学研究所がクシクラゲの融合現象を発表、2個体が1個体のように振る舞う驚きの発見

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

基礎生物学研究所がクシクラゲの融合現象を確認
傷ついた2個体のクシクラゲが高確率で融合
融合個体は1個体のように振る舞う現象を発見

基礎生物学研究所がクシクラゲの融合現象を発表

基礎生物学研究所は2024年10月11日、海産動物の「クシクラゲ」に関する興味深い現象を発表した。体の一部が傷ついた2個体のクシクラゲを用意し一晩放置すると、高確率で融合個体を作成できることが確認されたのだ。この発見は、動物の再生能力や個体性の概念に新たな視点をもたらす可能性がある。^[1]

研究チームは、クシクラゲの一種であるMnemiopsis leidyiを用いて実験を行った。水槽内で偶然発見された2つの口を持つ大型の個体が、別々の2個体が融合した可能性があると推測し、その後の実験で高確率での融合現象を再現することに成功したのである。

融合過程の詳細な観察により、実験開始から約30分後に2個体の切除部分が徐々に癒着し始め、1時間後にはその境界がほとんど見分けがつかなくなることが明らかになった。さらに興味深いことに、融合後の個体では筋収縮が同期し始め、2時間後には同期率が9割に達するという驚くべき結果が得られたのである。

クシクラゲの融合現象の特徴

特徴	詳細
融合の条件	体の一部が傷ついた2個体を接触させる
融合の時間	一晩（約8時間）で高確率に発生
癒着開始時間	実験開始から約30分後
境界消失時間	実験開始から約1時間後
筋収縮同期率	実験開始から2時間後に9割達成
消化管の状態	融合後、つながって一体化

クシクラゲについて

クシクラゲとは、有櫛動物門に属する海産動物のことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

刺胞動物のクラゲとは全く別の動物群
地球上で最も原始的な動物群の一つ
高度な神経系や筋肉、消化器を持つ

クシクラゲは、その系統的な位置から最も原始的な動物群とされながらも、高度な生理機能を有している。今回の研究で明らかになった融合現象は、クシクラゲが自己と非自己を区別するメカニズムを持っていない可能性を示唆している。この発見は、動物の個体性や再生能力に関する従来の概念を覆す可能性を秘めており、生物学的に非常に重要な意味を持つと考えられる。