JOGMECとPETRONASがASEANメタン排出管理実証設備設立を発表、LNGバリューチェーンのクリーン化を推進

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

JOGMECとPETRONASがASEANメタン排出管理実証設備設立を発表
Southeast Asia METECでASEAN地域のメタン排出量削減を支援
LNGバリューチェーン全体のクリーン化を推進

JOGMECとPETRONASによるASEANメタン排出管理実証設備の設立

JOGMECは2024年10月15日、マレーシアで開催されたASEAN Energy Sector Methane Leadership Program 2.0の場で、マレーシア国営石油会社PETRONASとのASEANメタン排出管理実証設備設立に向けた連携を発表した。この取り組みは、ASEAN地域初となるメタン排出管理実証設備Southeast Asia METECの設立を目指すものだ。^[1]

Southeast Asia METECは、PETRONASやUTP、INSTEPと連携し、ASEAN地域の天然ガス生産設備の特徴を踏まえた排出実証設備の設立を目指している。この設備では、各地域の企業と協力してメタン排出の測定・モニタリング・報告・検証プロセスを検討し、ASEAN地域全体のメタン排出量削減を支援する予定だ。

JOGMECは、大規模なLNG輸入国である日本の立場から、生産国とのメタン排出対策の技術連携を行うことで、日本に輸入されるLNGのバリューチェーン全体のクリーン化を進めていく方針を示している。この取り組みは、CLEANイニシアティブの枠組みでも紹介され、LNG輸入国側からの連携によってLNGバリューチェーンのメタン排出の透明性向上を目指すものだ。

Southeast Asia METECの主な特徴

	目的	連携先	対象地域	主な機能
概要	メタン排出管理	PETRONAS、UTP、INSTEP	ASEAN地域	測定・モニタリング・報告・検証
特徴	ASEAN地域初の実証設備	現地企業との連携	地域特性に適した手法開発	排出量削減支援
期待効果	LNGクリーン化	技術連携強化	地域全体の排出削減	事業者の対策効率化

メタンについて

メタンは、温室効果ガスの一種であり、地球温暖化に大きな影響を与える気体だ。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

二酸化炭素の28倍程度の温室効果を持つ
LNGバリューチェーンにおける主要な排出源の一つ
排出量の正確な測定と削減が国際的な課題

メタンの排出量削減は、LNGバリューチェーンにおける低炭素化に大きく寄与すると期待されている。JOGMECとPETRONASが設立を目指すSoutheast Asia METECは、ASEAN地域の気候や海上の天然ガス生産設備に適したメタン排出管理手法を開発することで、この課題解決に貢献することが期待されている。

ASEANメタン排出管理実証設備設立に関する考察

JOGMECとPETRONASによるASEANメタン排出管理実証設備の設立は、LNGバリューチェーン全体のクリーン化を推進する上で重要な一歩だ。特に、ASEAN地域の特性を考慮した技術開発や、現地企業との連携を通じた知見の共有は、効果的なメタン排出削減策の確立につながる可能性が高い。一方で、異なる国や企業間での規制や基準の統一、技術移転の課題など、克服すべき問題も存在するだろう。

これらの課題に対しては、国際的な枠組みの構築や、透明性の高い情報共有システムの確立が解決策として考えられる。また、メタン排出削減技術の継続的な改良や、AIを活用した効率的なモニタリングシステムの開発など、革新的な技術の導入も期待される。今後、この実証設備を通じて得られた知見を他地域にも展開し、グローバルなLNGサプライチェーンのクリーン化につなげていくことが重要だ。

さらに、この取り組みを契機に、LNG生産国と消費国の協力関係がより深化することが期待される。エネルギー安全保障と環境保全の両立という観点から、JOGMECには継続的な技術支援と国際協力の推進役としての役割が求められるだろう。今後は、この実証設備の成果を基に、より包括的なLNGバリューチェーンのグリーン化戦略が展開されることが期待される。