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ブイアール

公開：2024-10-18

東京国立博物館とTOPPANがバイヨン寺院VRを再上演、20年前のデジタルアーカイブ技術の先見性に注目

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

• 東京国立博物館とTOPPANがVR作品を上演
• バイヨン寺院を完全再現したデジタルアーカイブ
• 10月16日から12月22日まで東洋館で公開

東京国立博物館とTOPPANによるVRバイヨン寺院の再上演

東京国立博物館とTOPPANホールディングス株式会社は、世界遺産「バイヨン寺院」を再現したVR作品『アンコール遺跡バイヨン寺院 尊顔の記憶』を2024年10月16日から12月22日まで東京国立博物館 東洋館内で再上演すると発表した。このVR作品は約20年前に製作されたデジタルアーカイブの先駆的作品であり、当時の最先端技術を駆使してバイヨン寺院の巨大な文化遺産を後世に伝えるべく製作されたものだ。^[1]

VR作品では、100万㎥におよぶ石造遺跡や石塔の4面に彫られた「尊顔」をバーチャルリアリティ技術で再現している。製作当時、ドローンやIoT機器が限られていた中、気球にセンサーを吊り下げて上空から計測するなど、独自の方法で巨大な遺跡を記録した。このリバイバル上演を通じて、文化財をデジタルデータとして保存し継承することの意義について、理解を深める機会を提供する。

上演に合わせて、ミュージアムシアター前ではデジタルアーカイブの仕組みや、VR作品製作時の技術的な取り組みについて紹介が行われる。また、上演終了後には高精細データを活用した「尊顔」の実物大投影による記念撮影タイムも実施される。これらの取り組みにより、来場者はデジタルアーカイブの意義をより深く理解し、バイヨン寺院の魅力を体感できるだろう。

VR作品『アンコール遺跡バイヨン寺院 尊顔の記憶』の概要

ミュージアムシアターの詳細はこちら

バイヨン寺院について

バイヨン寺院とは、12世紀後半にカンボジアのアンコール遺跡群内に建造された仏教寺院であり、以下のような特徴を持つ。

• アンコール・トムの中心に位置する巨大な石造建築
• 50近い石塔の4面に「クメールの微笑」と呼ばれる尊顔が彫刻
• 東西160m、南北140m、高さ45mの壮大な規模

バイヨン寺院は、その巨大な規模と精緻な彫刻技術により、クメール芸術の最高傑作の一つとして知られている。VR作品『アンコール遺跡バイヨン寺院 尊顔の記憶』では、この壮大な建築物を詳細にデジタル化し、現地では体験できない視点から寺院の全貌を体験できる。さらに、東京国立博物館所蔵の関連文化財もVR内で再現されており、実物展示と合わせて鑑賞することで、より深くバイヨン寺院の魅力を理解することができる。

VRによる文化財デジタルアーカイブに関する考察

VR技術を用いた文化財のデジタルアーカイブは、保存と継承の新たな可能性を開くものだ。バイヨン寺院のような巨大で複雑な構造を持つ文化遺産を、高精度にデジタル化することで、物理的な劣化や災害のリスクから独立した形で後世に伝えることが可能となる。また、VRによる再現は、通常では立ち入ることのできない場所や、すでに失われた部分の復元など、現地訪問では体験できない視点を提供し、文化財への理解を深める新たな手段となるだろう。

一方で、デジタルアーカイブの長期保存と更新には課題も残る。技術の進歩に伴い、データ形式の陳腐化や再生環境の変化に対応していく必要がある。また、デジタル技術に頼りすぎることで、実物の保存や修復技術の継承がおろそかになる危険性も指摘されている。これらの課題に対しては、デジタルと実物の両面からのアプローチを継続的に行い、相互補完的な保存・継承システムを構築していくことが重要だ。

今後は、AIやAR技術との融合により、よりインタラクティブで教育効果の高いデジタルアーカイブの開発が期待される。例えば、ユーザーの興味に応じて詳細な解説を提供したり、異なる時代の姿を重ね合わせて表示したりするなど、多層的な体験を可能にする技術の実現が望まれる。さらに、世界中の文化財をネットワーク化し、バーチャル空間で横断的に学べるプラットフォームの構築も、グローバルな文化理解を促進する上で重要な取り組みとなるだろう。

参考サイト

1. ^ PR TIMES. 「東京国立博物館とTOPPAN、世界遺産バイヨン寺院を完全再現したVRを上演 | TOPPANホールディングス株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001526.000033034.html, (参照 24-10-18).

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