岡山大学が文部科学省のオープンアクセス加速化事業に採択、研究成果の管理公開体制の強化へ

text: XEXEQ編集部

PR TIMES より

記事の要約

岡山大学が文部科学省のオープンアクセス加速化事業に採択
研究成果の管理公開体制の充実・強化を図る
APC支援制度の立ち上げや機関リポジトリシステムの機能強化を実施

岡山大学のオープンアクセス加速化事業採択の詳細

国立大学法人岡山大学は2024年7月5日、文部科学省「オープンアクセス加速化事業（令和5年度補正予算：人工知能等社会実装研究拠点事業補助金）」に採択された。本事業は、大学等による研究成果の管理公開に関する体制の充実・強化を図り、産業界等にも開かれた知へのアクセスを担保することで、研究成果の発信力を強化し、我が国の競争力を高めることを目的としている。^[1]

岡山大学では、この事業においてAPC支援制度の立ち上げ、機関リポジトリシステムや学内研究データベースの機能強化、その他オープンアクセスを推進する環境整備等の実施を通して、研究成果の管理公開に関する体制の充実・強化を図る。これにより、サスティナブルな実施基盤を構築し、オープンアクセスを進めていく予定だ。

本事業の背景には、我が国のオープンアクセスに関する議論の進展がある。令和6年2月に決定された「学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針」では、令和7年度から新たに公募を行う競争的研究費を受給する者に対し、論文及び根拠データの学術誌への掲載後、即時に機関リポジトリ等への掲載を義務づける方針が示された。

	オープンアクセス加速化事業	岡山大学の取り組み	期待される効果
主な目的	研究成果の管理公開体制の強化	APC支援制度の立ち上げ	研究成果の発信力強化
実施内容	産業界へのアクセス担保	機関リポジトリシステムの機能強化	我が国の競争力向上
実施体制	大学等の研究機関	全学的マネジメント体制の構築	サスティナブルな基盤構築

機関リポジトリについて

機関リポジトリとは、大学や研究機関が生産する研究成果物を電子的に保存し、無料で公開するためのデジタルアーカイブシステムのことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

学術論文や研究データなどの研究成果を収集・保存
インターネットを通じて誰でも無料でアクセス可能
機関の知的生産物を一元管理し、可視性を向上

機関リポジトリは、オープンアクセス運動の一環として、学術情報の自由な流通と利用を促進する重要な役割を果たしている。研究者にとっては自身の研究成果の可視性と影響力を高める手段となり、一般市民にとっては最新の研究成果に自由にアクセスできる機会を提供する。

オープンアクセス加速化事業に関する考察

オープンアクセス加速化事業の推進により、研究成果の公開と共有が促進されることで、学術研究の発展に大きな影響を与える可能性がある。しかし、この取り組みを成功させるためには、研究者の理解と協力が不可欠だ。特に、論文投稿料（APC）の負担増加や著作権の問題など、研究者が直面する課題に対する適切な支援策を講じる必要があるだろう。

今後、機関リポジトリの利便性向上や、異なる機関のリポジトリ間でのデータ連携機能の強化が求められる。また、研究データの長期保存や再利用を促進するためのデータ管理計画（DMP）の策定支援など、研究データマネジメントに関する包括的なサポート体制の構築も重要だ。これらの取り組みにより、研究成果の可視性と再現性が向上し、オープンサイエンスの実現に向けた大きな一歩となるだろう。

さらに、オープンアクセスの推進は、産学連携や国際共同研究の活性化にもつながる可能性がある。研究成果へのアクセス障壁が低くなることで、企業や海外の研究機関との協力が促進され、イノベーションの創出や社会課題の解決に向けた取り組みが加速することが期待される。岡山大学をはじめとする研究機関には、このような波及効果を見据えた戦略的な取り組みが求められるだろう。