東洋インキの剥離リサイクル技術がライオンのつめかえパックに採用、2024年11月より数量限定で発売へ

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

東洋インキの剥離リサイクル技術がライオンのつめかえパックに採用
2024年11月より数量限定で発売開始予定
製品として使用されなかった積層フィルムのリサイクルを推進

東洋インキの剥離リサイクル技術がライオンのつめかえパックに採用

artienceグループの東洋インキ株式会社は、ライオン株式会社の「ルックプラスバスタブクレンジングクリアシトラスの香りつめかえ用大サイズ」に剥離リサイクル技術を採用したことを2024年10月21日に発表した。この技術を用いた製品は2024年11月より数量限定で発売される予定だ。東洋インキは素材の異なるフィルム同士を剥離し、印刷用インキをフィルムから取り除くことで、高純度な単一素材としてプラスチックを回収する技術を開発した。^[1]

この技術では、破砕したつめかえパックをアルカリ処理し接着剤を溶解することで表フィルムとリサイクル対象のポリエチレンフィルムを剥離する。さらに剥離後にフィルムの比重差を利用し分離することで、純度が高いポリエチレンフィルムを回収することが可能になった。この技術により、従来は困難であった複層構成のフィルムパッケージのリサイクルが実現可能となる。

東洋インキは、つめかえパック製造時に発生した端材など、製品として使用されなかった積層フィルムを回収し、再びつめかえパックのフィルムとして活用することを目指している。2025年中の発売を目標に、検討を推進中だ。リサイクルの社会実装の実現には、業界の垣根を越えて社会全体で取り組む必要があり、東洋インキは他業界も含めてパートナーを募り、循環型社会の実現に貢献していく方針を示している。

東洋インキの剥離リサイクル技術の特徴まとめ

	技術概要	適用製品	リサイクル対象
主な特徴	素材の異なるフィルムの剥離	ライオンのつめかえパック	製造時の端材
処理方法	アルカリ処理による接着剤溶解	2024年11月より数量限定発売	積層フィルム
回収素材	高純度ポリエチレンフィルム	バスタブクレンジング用	つめかえパックフィルムへの再利用
将来目標	他業界との協業	2025年中の発売目標	使用済みプラスチックの再資源化

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軟包装について

軟包装とは、柔軟性のある素材を用いて製造されたパッケージのことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

複層構成による用途ごとの要求性能確保
ポリオレフィンやポリエステル等のプラスチックフィルムを使用
印刷インキや接着剤など多素材を使用

軟包装は食品包装や日用品のつめかえパックなど、幅広い用途で使用されているが、その複層構造が質の高いマテリアルリサイクルを阻害する要因となっていた。東洋インキの剥離リサイクル技術は、この課題を解決し、軟包装のリサイクル性を大幅に向上させる可能性を持っている。この技術の実用化により、プラスチック廃棄物の削減と資源の有効活用が促進されることが期待される。

東洋インキの剥離リサイクル技術に関する考察

東洋インキの剥離リサイクル技術は、従来リサイクルが困難だった複層構造の軟包装に対して有効なソリューションを提供している点が評価できる。特に、アルカリ処理による接着剤の溶解と比重差を利用した分離技術は、高純度なポリエチレンフィルムの回収を可能にし、リサイクル材の品質向上に寄与するだろう。ただし、この技術の実用化にあたっては、処理コストや環境負荷、回収システムの構築など、さまざまな課題に直面する可能性がある。

今後の課題として、使用済みつめかえパックの回収システムの確立が挙げられる。現状では製造時の端材のリサイクルが中心だが、消費者が使用した後のパッケージをどのように効率的に回収し、リサイクルするかが重要になるだろう。また、アルカリ処理に使用する化学物質の安全性や、処理後の廃液の処理方法についても、環境への影響を最小限に抑える取り組みが必要になると考えられる。

今後の展開として、この技術の適用範囲を日用品以外の軟包装にも拡大することが期待される。食品包装や医薬品包装など、より厳しい品質基準が求められる分野への応用可能性を探ることで、プラスチックリサイクルの裾野が広がるだろう。また、リサイクル材を用いた製品の消費者受容性向上や、リサイクル促進のための法制度の整備など、社会全体での取り組みが技術の普及には不可欠だ。