日立とレゾナックが大分コンビナートでデジタル化基盤を構築、WIGARESでプラント操業の効率化を実現

text: XEXEQ編集部

PR TIMES より

記事の要約
日立とレゾナックによるプラント操業デジタル化の詳細
WIGARESについて
プラント操業デジタル化に関する考察
参考サイト

記事の要約

日立とレゾナックが大分コンビナートでデジタル化基盤構築
WIGARESを活用し熟練ノウハウを蓄積・共有
アラーム対応時間が約半分に短縮

日立とレゾナックによるプラント操業デジタル化の詳細

株式会社日立製作所とレゾナック・ホールディングスは、レゾナック大分コンビナートにおいてプラント操業の安定化と技術伝承を支えるデジタル化基盤の構築を行い、2024年5月から本格運用を開始した。本基盤では、日立のLumadaソリューションの一つである情報一元管理プラットフォーム「WIGARES」を活用し、製造業における業務ノウハウのデジタル化や既存システムに散在するデータの統合的管理を実現している。^[1]

本格運用の対象となったのは、石油化学製品の基礎原料であるエチレン製造の運転業務に関する約3,000のアラームである。WIGARESの導入により、熟練運転員の経験やノウハウを蓄積し、プラントの異常予兆に対する運転員の行動を効果的に支援することが可能となった。具体的には、異常予兆に対して解決に必要なマニュアルや図面などの情報を短時間でユーザーに表示する機能が実装されている。

さらに、日立の異常予兆検知システム「ARTiMo」の信号活用により、レゾナックのプラント運転員は同じ情報をこれまでの約半分の時間で取得できるようになった。この成果により、業務効率の大幅な向上が実現し、プラント操業の安定性と技術伝承の両立が図られている。日立とレゾナックは今後も、大分コンビナートにおいてWIGARESを活用し、業務ノウハウの継承や安全・安定操業の追求、さらなる業務効率化を進めていく方針だ。

	デジタル化基盤	主な効果	対象業務	今後の展開
特徴	WIGARES活用	アラーム対応時間半減	エチレン製造運転	業務効率化推進
技術要素	Lumadaソリューション	ノウハウのデジタル化	約3,000アラーム	安全・安定操業追求
連携システム	ARTiMo	異常予兆早期検知	情報表示の迅速化	技術伝承の促進

WIGARESについて

WIGARESとは、日立製作所が提供する情報一元管理プラットフォームのことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

製造業の業務ノウハウをデジタル化
既存システムのデータを統合的に管理
異常予兆に対する迅速な情報提供が可能

WIGARESは、製造現場に散在する様々なデータや知識を一元化し、効率的な業務遂行を支援するプラットフォームである。熟練作業員の暗黙知をデジタル化し、組織全体で共有可能な形式知に変換する機能を持ち、プラント操業の安定化や技術伝承に大きく貢献する。また、異常予兆の検知と連動して、関連する情報を即座に提供することで、運転員の迅速かつ適切な対応を可能にしている。

プラント操業デジタル化に関する考察

プラント操業のデジタル化が進む中、セキュリティリスクの増大が懸念される。デジタル化により、サイバー攻撃の標的となる可能性が高まり、重要なプラント情報や運転データが外部に漏洩するリスクが生じる。そのため、今後はデジタル化と同時に、強固なサイバーセキュリティ対策の導入が不可欠となるだろう。

今後追加してほしい機能として、AIを活用した予測保全システムの導入が挙げられる。機器の故障や性能低下を事前に予測し、最適なタイミングでメンテナンスを行うことで、プラントの稼働率向上とコスト削減を両立できる可能性がある。また、バーチャルリアリティ(VR)技術を用いた訓練システムの導入も、運転員の技能向上に大きく寄与するだろう。

プラント操業のデジタル化は、今後さらに進化を遂げ、より高度な自動化と効率化を実現すると期待される。人工知能(AI)や機械学習技術の発展により、プラントの自己診断や自動最適化が可能になり、人間の介入をさらに減らしつつ、安全性と生産性を向上させることができるだろう。同時に、デジタル技術と人間の専門知識を融合させた新たな運転モデルの確立も重要な課題となる。