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公開：2024-05-08

AppleがiPad Pro向け新チップM4を発表、3nmプロセスでAIと電力効率が大幅向上

text: XEXEQ編集部

M4チップに関する記事の要約

• AppleがiPad Pro向けの新チップM4を発表
• M4は第2世代の3nmテクノロジーを採用し電力効率を向上
• 新しいディスプレイエンジンでUltra Retina XDRディスプレイの性能を発揮
• 10コアCPUと10コアGPUを搭載しパフォーマンスが大幅に向上
• Neural Engineは毎秒38兆回の演算処理が可能でAIタスクに最適

第2世代の3nmテクノロジーを採用したM4チップを発表

Appleは2024年5月7日、まったく新しいiPad Proに驚異的なパフォーマンスをもたらす最新チップ、M4を発表した。M4は第2世代の3ナノメートルテクノロジーを使って設計されており、280億個ものトランジスタで構成されている。このチップは、Appleシリコンの電力効率をさらに高めながら、iPad Proの薄いデザインを実現するシステムオンチップ（SoC）となっている。^[1]

M4には新しいディスプレイエンジンも搭載されており、これがiPad ProのUltra Retina XDRディスプレイの驚くべき精度、色精度、輝度の均一性を可能にしている。このディスプレイは2枚のOLEDパネルの光を組み合わせる最先端のテクノロジーを採用しているのだ。

ハードウェアテクノロジー担当シニアバイスプレジデントのジョニー・スルージは、M4の電力効率の高いパフォーマンスと新しいディスプレイエンジンにより、iPad Proの薄いデザインと革新的なディスプレイを実現できたと述べている。さらにCPU、GPU、Neural Engine、メモリシステムの根本的な改良により、M4はAIを活用した最新アプリケーションに極めて適したチップになったという。

M4は10コアCPUと10コアGPUでパフォーマンスを飛躍的に向上

M4には新しい最大10コアのCPUが搭載されており、4つの高性能コアと6つの高効率コアで構成されている。これらの次世代コアには改善された分岐予測機能が備わり、高性能コアにはより幅広いデコードエンジンと実行エンジン、高効率コアにはより深い実行エンジンが搭載されている。強化された次世代のMLアクセラレータも両方のコアに組み込まれた。

このCPUにより、M4は前世代のM2よりも最大1.5倍高速なパフォーマンスを発揮する。Logic Proでの複雑なオーケストラ音楽の制作やLumaFusionでの4Kビデオへの高負荷エフェクト適用など、プロのワークフロー全体でその力を発揮するのだ。

一方、M4の新しい10コアGPUはM3の次世代アーキテクチャをもとに設計されており、GPUの平均使用率を大幅に高めるDynamic Cachingを備えている。またハードウェアレイトレーシングとメッシュシェーディングにも対応し、ゲームなどでよりリアルなグラフィックスを実現する。OctaneのようなプロCGアプリでのレンダリング性能はM2の最大4倍に達した。

最もパワフルなNeural EngineでAIの可能性を切り拓く

M4のNeural EngineはApple史上最速で、毎秒38兆回もの演算処理を行える。A11 Bionicの初代Neural Engineと比べると実に60倍のスピードだ。CPUのMLアクセラレータやGPU、高帯域メモリと連携することで、M4はAIの活用に非常に適したチップとなった。

iPad OSのライブキャプションや「画像を調べる」など、デバイス上でのAIタスクをこなす性能を備えている。Final Cut Proでの被写体の背景分離やStaffPadでのリアルタイム楽譜生成など、アプリの可能性を大きく広げるだろう。推論処理の効率とプライバシー保護のバランスにも優れているのだ。

M4のNeural Engineは業界トップクラスの性能を誇り、現在のAI対応Windowsパソコンに搭載されているニューラルプロセッサをしのぐ。AIの活用を一気に加速し、クリエイティビティを新しい次元に押し上げる原動力となることが期待される。

新しいメディアエンジンで高効率ビデオ再生を実現

M4にはiPad最先端のメディアエンジンが組み込まれており、H.264やHEVC、ProResといった主要コーデックに加え、AV1のハードウェアアクセラレーションにも新たに対応した。これによりストリーミングサービスでの高解像度ビデオを、より電力効率よく再生できるようになる。

M2からさらに進化したメディアエンジンは、iPad Proのポータブル性とバッテリー持続時間を活かしつつ、プロ品質のビデオ体験を提供する。外出先でも大画面と遜色ない臨場感を味わえるのだ。高解像度コンテンツの需要が高まる中、M4はまさにふさわしいチップと言えるだろう。

M4チップに関する考察

M4の登場はiPadの可能性をさらに広げるものであり、特にクリエイティブな用途での活躍が期待できる。3nmプロセスと新アーキテクチャによる性能と電力効率の飛躍的向上は、モバイル環境でのプロ向けワークロードを一段と快適にするだろう。同時に、Neural Engineの大幅な強化はAIの民主化に弾みをつけ、より多くの人々に機械学習の恩恵をもたらすことになるはずだ。

しかし、こうした高度なSoCの登場は、アプリ開発者にとっても新たな課題を突きつける。M4の能力を十分に引き出すには、Metal APIやCore MLといったプラットフォーム技術の深い理解と、並列処理に適したアプリ設計が不可欠となる。Appleには開発者向けのドキュメントや学習リソース、パフォーマンス解析ツールなどの充実が求められるところだ。

ハードウェアとソフトウェアの緊密な連携により真価を発揮するAppleシリコンだが、サードパーティ製アプリの対応状況によってはユーザー体験にばらつきが出る恐れもある。優れたデベロッパーエコシステムの構築と、アプリケーションプロセッサとしての汎用性の確保が、M4の成功を左右する鍵となるだろう。

電力効率と高性能を両立するM4は、モバイルコンピューティングの新たな地平を切り拓く画期的なチップだ。iPadからMacへ、そしてウェアラブルやAR/VRデバイスへと広がるAppleシリコンの未来に、大いなる期待が寄せられる。スマートフォンの枠を超えた多様なデバイスで、消費者の日常にイノベーションをもたらすことができるのか。M4はその第一歩に過ぎない。

参考サイト

1. ^ Apple. 「Apple、M4チップを発表 - Apple (日本)」. https://www.apple.com/jp/newsroom/2024/05/apple-introduces-m4-chip/, (参照 24-05-28).
2. Apple. https://www.apple.com/jp/
3. Meta. https://about.meta.com/ja/

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