FAT16とは？意味をわかりやすく簡単に解説

text: XEXEQ編集部

FAT16とは

FAT16はファイルアロケーションテーブル(File Allocation Table)の一種で、ディスクドライブ上のファイルの場所を管理するためのファイルシステムです。FAT16は最大2GBまでのディスクパーティションをサポートし、MS-DOSやWindows 95などの古いオペレーティングシステムで広く使用されていました。

FATファイルシステムはディスク上の各クラスターにファイルデータを格納し、FATと呼ばれるテーブルでクラスターの使用状況を管理します。FAT16ではクラスターアドレスを16ビットで表現するため、最大65,536個のクラスターを扱うことができます。

FAT16のクラスターサイズはディスクパーティションのサイズによって異なります。例えば、512MBのパーティションではクラスターサイズは32KBになります。クラスターサイズが大きいほど、ディスク容量の無駄が増えますが、ファイルアクセスの速度は向上します。

FAT16はシンプルで軽量なファイルシステムであり、幅広いデバイスで使用されてきました。しかし、現在ではより大容量のディスクに対応したFAT32やNTFSなどの新しいファイルシステムに置き換えられつつあります。

FAT16は長年にわたって使用されてきた信頼性の高いファイルシステムですが、現代のストレージ容量の増大に伴い、徐々にその役割を終えつつあるのです。しかし、組み込みシステムなどの小容量ストレージを使用する環境では今でもFAT16が活用されています。

FAT16のクラスターサイズとディスク容量の関係

FAT16のクラスターサイズとディスク容量の関係に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

FAT16のクラスターサイズはディスク容量に応じて変化する
クラスターサイズが大きいとディスク容量の無駄が増える
クラスターサイズとファイルアクセス速度の関係

FAT16のクラスターサイズはディスク容量に応じて変化する

FAT16ではディスクパーティションのサイズに応じてクラスターサイズが自動的に決定されます。例えば、256MBのパーティションではクラスターサイズは16KBになります。パーティションサイズが大きくなるほど、クラスターサイズも大きくなる傾向にあります。

クラスターサイズはFAT16がサポートする最大クラスター数(65,536個)と、パーティションサイズによって決まります。FAT16ではクラスターアドレスを16ビットで表現するため、クラスターサイズとパーティションサイズのバランスを取る必要があるのです。

FAT16のクラスターサイズはパーティションサイズに応じて4KB～32KBの範囲で変化します。パーティションサイズが小さい場合はクラスターサイズも小さくなり、大きい場合はクラスターサイズも大きくなるのです。

クラスターサイズが大きいとディスク容量の無駄が増える

FAT16では1つのファイルが少なくとも1つのクラスターを占有します。そのため、クラスターサイズが大きいと、小さなファイルを多数保存する場合にディスク容量の無駄が増えてしまいます。例えば、32KBのクラスターサイズでは1KBのファイルを保存しても、31KBの空き領域が無駄になってしまうのです。

クラスターサイズが大きいと、ディスク容量の利用効率が下がる一方で、ファイルアクセスの速度は向上します。これはクラスターサイズが大きいほど、1回のディスクアクセスで読み書きできるデータ量が増えるためです。

FAT16のクラスターサイズはディスク容量の利用効率とファイルアクセス速度のバランスを考慮して決定されます。クラスターサイズが大きすぎると、ディスク容量の無駄が増えますが、小さすぎると、ファイルアクセス速度が低下してしまうのです。

クラスターサイズとファイルアクセス速度の関係

FAT16のクラスターサイズはファイルアクセス速度に影響を与えます。クラスターサイズが大きいほど、1回のディスクアクセスで読み書きできるデータ量が増えるため、ファイルアクセス速度が向上します。これはディスクヘッドの移動回数が減るためです。

一方、クラスターサイズが小さいと、1回のディスクアクセスで読み書きできるデータ量が減るため、ファイルアクセス速度が低下します。特に、大きなファイルを扱う場合、クラスターサイズが小さいと、ディスクヘッドの移動回数が増え、アクセス速度が大幅に低下してしまいます。

FAT16のクラスターサイズはファイルアクセス速度とディスク容量の利用効率のバランスを取るように設定されています。一般的に、クラスターサイズが大きいほどファイルアクセス速度は向上しますが、ディスク容量の無駄も増えてしまうのです。

FAT16のファイル名の制限

FAT16のファイル名の制限に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

8.3形式のファイル名制限
使用できる文字の制限
ロングファイルネームのサポート

8.3形式のファイル名制限

FAT16では伝統的に8.3形式のファイル名制限が適用されています。これはファイル名を8文字以内、拡張子を3文字以内に制限するものです。例えば、「document.txt」は有効なファイル名ですが、「long_file_name.txt」は8文字を超えているため、無効になります。

8.3形式の制限はMS-DOSの時代から継承されたもので、当時のシステムの制限に起因しています。現在でも、FAT16を使用する場合、この制限に従う必要があります。ただし、Windows 95以降ではロングファイルネームをサポートする拡張機能が追加されています。

8.3形式のファイル名制限はFAT16を使用する上での大きな制約となります。長いファイル名を付けられないため、ファイルの管理が難しくなる場合があるのです。

使用できる文字の制限

FAT16ではファイル名に使用できる文字に制限があります。使用できる文字は英数字とその他の一部の記号($、%、'、-、_、@、~、'、`、!、(、)、{、}、^、#、&)のみです。スペースも使用できますが、ファイル名の最後に置くことはできません。

FAT16ではファイル名に使用できない文字があります。例えば、「/」、「」、「:」、「*」、「?」、「"」、「<」、「>」、「|」などの特殊記号はファイル名に使用できません。これらの文字はシステムで特別な意味を持つため、予約されているのです。

FAT16のファイル名に使用できる文字の制限はファイルの命名に注意が必要です。使用できない文字を含むファイル名はシステムによって拒否されてしまいます。

ロングファイルネームのサポート

Windows 95以降、FAT16はロングファイルネームをサポートするようになりました。ロングファイルネームは最大255文字までのファイル名を使用できる機能です。この機能により、8.3形式の制限を超えて、より長く説明的なファイル名を付けられるようになりました。

ロングファイルネームは8.3形式のファイル名と共存できるように設計されています。ロングファイルネームはディレクトリエントリに特殊な形式で格納され、8.3形式の短いファイル名にマッピングされます。これにより、ロングファイルネームをサポートしないシステムでも、短いファイル名でアクセスできるようになっています。

FAT16でロングファイルネームを使用する場合、いくつかの制限があります。例えば、ロングファイルネームに使用できる文字はUnicodeの一部に限定されます。また、ロングファイルネームは大文字と小文字が区別されますが、8.3形式の短いファイル名では区別されません。