MicrosoftがTeams VDI向け新アーキテクチャを発表、物理デスクトップとの機能格差が大幅縮小

text: XEXEQ編集部

Teams VDIの新アーキテクチャに関する記事の要約
Teams VDI最適化の大幅な進化
SlimCoreメディアエンジンとは
Teams VDI最適化の今後に関する考察
参考サイト

Teams VDIの新アーキテクチャに関する記事の要約

新しいメディアエンジンSlimCoreを導入
Azure Virtual DesktopなどVDI環境に対応
高度な会議機能や電話機能を追加
自動更新機能でメンテナンス性向上

Teams VDI最適化の大幅な進化

MicrosoftはTeams VDI環境向けに新たな最適化アーキテクチャを導入し、物理デスクトップとの機能格差を大幅に縮小させた。従来のWebRTCベースの実装に代わり、SlimCoreと呼ばれる新しいメディアエンジンを採用することで、パフォーマンスと機能の両面で大きな改善を実現したのだ。この変更により、VDI環境でのTeams利用における制限が大幅に緩和されることになる。^[1]

新アーキテクチャの特筆すべき点として、自動更新機能の実装が挙げられる。これにより、ITインフラ管理者の負担が軽減され、常に最新のTeams機能をVDI環境で利用できるようになった。さらに、Azure Virtual Desktop/Windows 365やCitrix DaaS/CVADといった主要なVDIプラットフォームへの対応も含まれており、幅広い環境での利用が可能となっている。

機能面では、3x3や7x7のギャラリービュー、カスタム会議背景、1080p解像度サポート、画面共有時のコンピューターサウンド含有機能など、高度な会議機能が追加された。また、位置情報ベースのルーティングやメディアバイパス、QoS設定といった電話機能も実装され、VDI環境でのTeams利用における制約が大幅に緩和されたことがわかる。

SlimCoreメディアエンジンとは

SlimCoreは、MicrosoftがTeams VDI環境向けに新たに開発したメディアエンジンだ。従来のWebRTCベースの実装に代わり導入されたこの技術は、ネイティブのTeamsデスクトップクライアントで使用されているものと同等の機能を提供する。SlimCoreの採用により、VDI環境でのTeams利用時のパフォーマンスや機能性が大幅に向上し、物理デスクトップとの差異が縮小されることとなった。

SlimCoreの特徴として、自動更新機能が挙げられる。この機能により、ユーザーデバイス上のSlimCoreは常に最新の状態に保たれ、新しいTeamsバージョンとの互換性が維持される。これは、VDI環境でのTeams運用における大きな課題であったバージョン不一致の問題を解決し、ITインフラ管理者の負担を大幅に軽減することにつながる。

また、SlimCoreはICE（Interactive Connectivity Establishment）プロトコルを使用してSTUNやTURN手順を処理し、リアルタイムメディア（音声、ビデオ、画面共有）をSRTP over UDPまたはTCPで伝送する。これにより、高品質な音声やビデオ通話、最大1080pの解像度での画面共有が可能となり、VDI環境でもネイティブクライアントに匹敵する通信品質を実現している。

Teams VDI最適化の今後に関する考察

Teams VDI最適化の新アーキテクチャ導入は、リモートワークの普及とVDI環境の重要性が増す現在のビジネス環境において非常に意義深い進化だと言える。従来のVDI環境でのTeams利用における制限が大幅に緩和されることで、より多くの企業がVDIを採用しやすくなり、セキュリティと柔軟性を両立したIT環境の構築が促進されるだろう。一方で、新アーキテクチャへの移行に伴う既存システムとの互換性やパフォーマンスへの影響について、慎重な検証が必要となるかもしれない。

今後期待される機能として、AIを活用したノイズキャンセリングや自動字幕生成、さらには複数のVDI環境間でのシームレスな連携などが挙げられる。これらの機能が実装されれば、VDI環境でのコラボレーションがさらに強化され、生産性の向上につながるだろう。また、セキュリティ面では、VDI環境特有の脅威に対応したTeams向けのセキュリティ機能の拡充も期待される。

フルスタックエンジニアの観点からは、新アーキテクチャの導入によりVDI環境でのアプリケーション開発やデプロイメントがより柔軟になる可能性がある。特に、SlimCoreの自動更新機能により、クライアント側のソフトウェア管理が簡素化されることで、開発者はよりアプリケーションロジックやユーザーエクスペリエンスの向上に注力できるようになるだろう。