NECが小型の顔・虹彩マルチモーダル生体認証技術を開発、PCやタブレットで数千万人規模の高速認証が可能に

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

NECが小型の顔・虹彩マルチモーダル生体認証技術を開発
既存のPCやタブレットで数千万人規模の認証が可能に
2026年内のサービス提供を目指し開発を推進

NECが開発した顔・虹彩マルチモーダル生体認証技術の詳細

NECは小型で幅広い用途へ展開可能な顔・虹彩マルチモーダル生体認証技術を2024年11月21日に発表した。この技術は既存のPCやタブレット端末にカメラモジュールを接続するだけで数千万人規模の認証を高速かつ高精度に実現し、屋内外を問わず利用できる画期的なソリューションとなっている。^[1]

高品質と低品質の画像を複数セット用意し学習することで、高品質画像から抽出できる虹彩の特徴量を低品質画像からでも推定可能な技術を世界で初めて開発することに成功した。この革新的な技術により、顔認証用のカメラで撮影したノイズを多く含む低解像度の画像でも虹彩認証が可能になった。

同技術は1台のカメラで顔・虹彩の両方の認証が可能で、利用者の目の位置に合わせたカメラの位置調整が不要なため高速な認証を実現できる。小型なカメラモジュールにより、POSレジやATMへの組み込みの他、タブレット端末への取り付けによる持ち運びも可能になった。

顔・虹彩マルチモーダル生体認証技術の特徴

項目	詳細
技術名称	顔・虹彩マルチモーダル生体認証技術
開発企業	日本電気株式会社（NEC）
発表日	2024年11月21日
提供開始予定	2026年内
対象市場	金融、リテール、エンターテイメント業界
主な用途	決済、入退管理

マルチモーダル生体認証について

マルチモーダル生体認証とは、複数の生体情報を組み合わせて個人を認証する技術のことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

単一の生体認証と比較して高い認証精度を実現
複数の生体情報による多要素認証で高いセキュリティを確保
異なる環境下でも安定した認証が可能

NECが開発した顔・虹彩マルチモーダル生体認証技術は、世界No.1の認証精度を持つ顔認証技術と虹彩認証技術を組み合わせている。同技術により、既存のPCやタブレット端末で数千万人規模の認証を高速かつ高精度に実現することが可能になった。

顔・虹彩マルチモーダル生体認証技術に関する考察

NECの新技術は、カメラモジュールの小型化と高度な画像処理技術の組み合わせにより、従来は専用端末が必要だった高精度な生体認証を一般的なデバイスでも実現可能にした点が画期的である。この技術革新により、セキュリティと利便性を両立した本人確認手段がより身近なものとなり、社会のデジタル化を加速させる可能性が高い。

一方で、生体認証技術の普及に伴うプライバシー保護の課題や、大規模なデータベース運用におけるセキュリティリスクへの対応が重要になってくるだろう。特に数千万人規模のデータを扱う場合、情報の適切な管理と保護が不可欠となる。

今後は、金融やリテールなどの分野での実証実験を通じて、実用性と安全性の両面での検証が進められることが期待される。NECには、世界No.1の認証精度を持つ技術をさらに進化させ、より安全で便利な社会の実現に貢献することが求められるだろう。