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三菱重工と二社がデータセンター向け二相式ダイレクトチップ冷却の実証検証を12月から開始、既存設備を活用した高性能化を実現へ

text: XEXEQ編集部
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)


記事の要約

  • 三菱重工など3社が二相式ダイレクトチップ冷却の実証実験を開始
  • 既存データセンター設備を活用し高性能サーバーの冷却を実現
  • サーバー電力の省エネ化とCO2排出低減を目指す取り組み

三菱重工など3社による二相式ダイレクトチップ冷却システムの実証検証開始

三菱重工、NTT Com、NECネッツエスアイの3社は2024年11月20日、二相式ダイレクトチップ冷却を搭載した高性能サーバーの実証検証を12月から開始することを発表した。東京都産業労働局のGX関連産業創出へ向けた早期社会実装化支援事業に採択された取り組みとして実施される予定だ。[1]

生成AI等の普及に伴いGPU等の高性能プロセッサーの利用が増加しているが、発熱量の高さから設備増強が必要となっている状況がある。既設のデータセンターでは設備入替えが必要となり投資増大が課題となっているため、既存設備を活用しながら高発熱サーバーに対応できる冷却ソリューションが求められているのだ。

二相式ダイレクトチップ冷却では、サーバー内部のプロセッサー上のコールドプレートに絶縁性冷媒を二相式で循環させて冷却を行う仕組みを採用している。水を使用しないため万が一の冷媒漏洩時も故障の心配がなく、二相式による効率的な熱排出と自律制御による冷媒循環で高い電力効率を実現できる技術である。

二相式ダイレクトチップ冷却の実証検証概要

項目 詳細
実施場所 NTT Com東京都内の稼働中空冷式データセンター
開始時期 2024年12月
実施企業の役割 三菱重工:プロジェクト統括、冷却システム提供、NECネッツエスアイ:IT機器構築・検証、NTT Com:データセンター提供
技術的特徴 絶縁性冷媒使用、二相式冷却方式、自律制御による電力効率化
期待される効果 既存設備活用、高性能サーバー導入、CO2排出低減

二相式ダイレクトチップ冷却について

二相式ダイレクトチップ冷却とは、サーバー内部の半導体チップ上のコールドプレートに絶縁性冷媒を循環させて冷却を行う技術のことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

  • 水ではなく絶縁性冷媒を使用し漏洩時のリスクを低減
  • 液体と気体の二相による効率的な熱排出を実現
  • 自律制御による冷媒循環で高い電力効率を確保

既存の空冷式データセンターでは、高性能プロセッサーの発熱対策が大きな課題となっているが、二相式ダイレクトチップ冷却技術を導入することで既存設備を活用しながら効率的な冷却が可能となる。この技術により、設備投資の抑制とエネルギー効率の向上を同時に実現することができるのだ。

二相式ダイレクトチップ冷却の実証検証に関する考察

既存データセンターの設備を大幅改造することなく高性能サーバーの導入を可能にする点は、データセンター事業者にとって大きなメリットとなるだろう。特に生成AI需要の高まりによってGPUサーバーの導入が急務となっている現状において、設備投資を抑えながら冷却能力を向上できる解決策として期待が高まる。

今後の課題として、長期運用時の冷媒循環システムの安定性や保守性の検証が重要になってくると考えられる。実証期間中に様々な負荷パターンでの検証を行い、運用ノウハウを蓄積することで、より安定した冷却システムとして確立されることが望ましいだろう。

将来的には、この技術をベースにさらなる省エネ化や運用効率の向上が期待される。データセンターのカーボンニュートラル化に向けた取り組みとしても注目度が高く、実証結果を踏まえた技術改良と普及展開が進むことで、業界全体の環境負荷低減に貢献することができるだろう。

参考サイト

  1. ^ Mitsubishi Heavy Industries Ltd.. 「三菱重工 | 空冷式データセンターにおける二相式ダイレクトチップ冷却を使った実証検証を開始 東京都産業労働局のGX関連産業創出へ向けた早期社会実装化支援事業に採択」. https://www.mhi.com/jp/news/241120.html, (参照 24-11-24).
  2. NEC. https://jpn.nec.com/

※上記コンテンツはAIで確認しておりますが、間違い等ある場合はコメントよりご連絡いただけますと幸いです。

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