Semantic KernelがAzure.AI.OpenAIとOpenAI v2をサポート、.NET開発者のAI機能アクセスが向上

text: XEXEQ編集部
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)


記事の要約

  • Semantic Kernel v1.18.0-rcがAzure.AI.OpenAIとOpenAI v2をサポート
  • 新SDKで.NETユーザーが最新OpenAI機能にアクセス可能に
  • アップグレードにはいくつかの重要な変更点が存在

Semantic Kernel v1.18.0-rcのAzure.AI.OpenAIとOpenAI v2サポート

Microsoftは2024年8月13日、Semantic Kernel v1.18.0-rcリリース候補版でAzure.AI.OpenAIとOpenAI v2 .NET SDKのサポートを発表した。このリリースは、Build 2024カンファレンスで発表された.NET用の公式OpenAIライブラリをサポートしている。新しいSDKにより、.NET開発者は他のプログラミング言語ライブラリと同等にAzure OpenAIモデルにアクセスできるようになった。[1]

この更新により、開発者はOpenAIとAzure OpenAI間で統一された体験を得られ、GPT4oやAssistants v2など最新のOpenAI機能やモデルを即座にサポートできるようになる。Microsoftは、この新リリースへのアップグレード手順を説明する「OpenAI Connector Migration Guide」をMicrosoft Learnで公開しており、開発者はこのガイドを参照してアップグレードを行うことができる。

ただし、Azure.AI.OpenAI SDKがv1からv2へメジャーバージョンアップしたことで、基盤となるAPIに大きな更新があった点に注意が必要だ。Semantic Kernelの抽象化により、コードの大部分はこれらの変更から保護されているが、一部の高度なユースケースでは避けられない破壊的変更が存在する。開発者はこれらの変更点を十分に理解した上でアップグレードを検討する必要がある。

Semantic Kernel v1.18.0-rcの主な変更点まとめ

ライブラリ名の変更 OpenAIClient変更 AzureOpenAIClient導入 機能の非推奨化
変更内容 Azure OpenAI用ライブラリ名変更 OpenAI SDK名前空間型に変更 Azure専用クライアント導入 TextGeneration等の非推奨化
影響 インポート文の修正が必要 既存コードの更新が必要 Azure利用時のコード変更 代替機能への移行が必要
対応方法 新ライブラリ名に更新 新しいOpenAIClient型を使用 AzureOpenAIClientを使用 ChatCompletion等へ移行

Azure.AI.OpenAI SDKについて

Azure.AI.OpenAI SDKとは、MicrosoftがAzure OpenAIサービスへのアクセスを提供する.NET用ライブラリのことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

  • Azure OpenAIモデルへの統一されたアクセスを提供
  • 最新のOpenAI機能やモデルを迅速にサポート
  • OpenAIとAzure OpenAI間で一貫した開発体験を実現

このSDKは、Semantic Kernel v1.18.0-rcでサポートされ、.NET開発者がAzure OpenAIの機能を最大限に活用できるようになった。v2へのアップデートにより、GPT4oやAssistants v2などの最新機能にもアクセスできるようになり、AI開発の可能性が大きく広がっている。ただし、v1からv2への移行には一部破壊的変更が含まれるため、開発者は慎重にアップグレードを行う必要がある。

Semantic Kernel v1.18.0-rcに関する考察

Semantic Kernel v1.18.0-rcのAzure.AI.OpenAIとOpenAI v2サポートは、.NET開発者にとって大きな前進だ。この更新により、最新のAI機能へのアクセスが容易になり、開発の幅が大きく広がる可能性がある。特に、GPT4oやAssistants v2などの最新モデルをすぐに利用できるようになることは、イノベーションを加速させる重要な要素となるだろう。

しかし、この更新に伴う課題も存在する。特に、既存のプロジェクトを新バージョンに移行する際には、破壊的変更への対応が必要となる。開発者は、コードの大規模な修正や再テストが必要になる可能性があり、これにはかなりの時間とリソースが必要になるかもしれない。また、非推奨となった機能の代替手段を見つける必要もあり、一時的に開発効率が低下する可能性もある。

今後、Microsoftにはよりシームレスなアップグレードパスの提供が期待される。例えば、自動的に古いコードを新しい構文に変換するツールの開発や、より詳細なマイグレーションガイドの提供などが考えられる。また、AIモデルの進化に合わせてSDKも継続的に更新されることが重要だ。開発者コミュニティとの密接な連携を通じて、ユーザーのニーズに応じた機能拡張や改善が行われることを期待したい。

参考サイト

  1. ^ Microsoft Visual Studio. 「Support for Azure.AI.OpenAI and OpenAI v2 is here | Semantic Kernel」. https://devblogs.microsoft.com/semantic-kernel/support-for-azure-ai-openai-and-openai-v2-is-here/, (参照 24-08-14).
  2. Microsoft. https://www.microsoft.com/ja-jp

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