GoogleがCloud FunctionsをCloud Runに統合、サーバーレス開発の新時代へ

text: XEXEQ編集部
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)


記事の要約

  • Google CloudがCloud FunctionsをCloud Runに統合
  • Cloud Run functionsとして一元化された開発環境を提供
  • GPUサポートなど、新機能へのアクセスが可能に

Google CloudがCloud FunctionsをCloud Runに統合し新たなサーバーレス環境を提供

Google Cloudは2024年8月22日、Cloud FunctionsをCloud Runに統合し、Cloud Run functionsとして提供することを発表した。この統合により、開発者はCloud Runの柔軟性とスケーラビリティを活かしつつ、Cloud Functionsの使い慣れたイベント駆動型プログラミングモデルを利用できるようになる。サーバーレスプラットフォームの一元化により、開発者は両者の選択に悩む必要がなくなったのだ。[1]

Cloud Run functionsへの移行は単なる名称変更以上の意味を持つ。Cloud FunctionsのインフラストラクチャがCloud Runと統合されたことで、Cloud Functions (2nd gen)の開発者は即座にNVIDIA GPUを含むCloud Runの新機能にアクセスできるようになった。これにより、AIや機械学習を活用したアプリケーション開発の可能性が大きく広がるだろう。

さらに、Cloud Run functionsでは関数の直接デプロイが可能になり、開発者はサービス設定を完全にコントロールできるようになった。例えば、gcloud CLIを使用して関数をデプロイする際、ソース、関数名、ベースイメージなどを柔軟に指定できる。この柔軟性により、開発者は自身のワークフローに合わせてカスタマイズしやすくなったのである。

Cloud Run functionsの主な特徴まとめ

Cloud Functions (2nd gen) Cloud Run functions
プラットフォーム 独立したサービス Cloud Runに統合
機能アクセス 限定的 Cloud Run全機能へのアクセス可能
GPUサポート なし NVIDIA GPUサポート
デプロイ方法 既存のCloud Functions API Cloud Run APIを使用した直接デプロイ
設定の柔軟性 限定的 サービス設定の完全なコントロール

サーバーレスプラットフォームについて

サーバーレスプラットフォームとは、開発者がインフラストラクチャの管理を意識せずにアプリケーションを構築・実行できる環境のことを指す。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

  • インフラ管理の自動化によるコード開発への集中
  • 使用リソースに応じた課金モデル
  • 自動的なスケーリング機能

Cloud Run functionsは、このサーバーレスの概念をさらに進化させたものだ。開発者はコードの記述に専念し、インフラストラクチャの管理はGoogle Cloudに任せることができる。チーム内のコーディング知識を持つメンバーであれば、誰でも簡単にソリューションを作成できる。7つの主要プログラミング言語をサポートしているため、例えばデータサイエンティストでもインフラの知識が限られていてもPythonスクリプトをクラウド上で実行できるのである。

Cloud Run functionsに関する考察

Cloud Run functionsへの統合は、Google Cloudのサーバーレス戦略において重要なマイルストーンとなるだろう。開発者は単一のプラットフォームで多様なワークロードを扱えるようになり、生産性の向上が期待できる。特にGPUサポートの追加は、AI/ML分野での応用可能性を大きく広げ、クラウドネイティブな開発の新たな地平を開く可能性がある。

一方で、既存のCloud Functions利用者にとっては移行作業が発生する可能性がある。Google Cloudは既存のAPIやgcloudコマンド、Terraformモジュールのサポートを継続すると述べているが、完全な互換性が保たれるかは注視が必要だ。また、新機能の学習コストや、既存のワークフローの見直しなど、短期的には開発者の負担が増える可能性もあるだろう。

長期的には、Cloud Run functionsがサーバーレスコンピューティングの標準となる可能性がある。イベント駆動型プログラミングの簡便さと、コンテナベースの柔軟性を兼ね備えた本サービスは、多くの開発者にとって魅力的な選択肢となるだろう。今後、他のクラウドプロバイダーがどのように対応するか、業界全体の動向も興味深い点である。

参考サイト

  1. ^ Google Cloud. 「Google Cloud Functions is now Cloud Run functions | Google Cloud Blog」. https://cloud.google.com/blog/products/serverless/google-cloud-functions-is-now-cloud-run-functions?hl=en, (参照 24-08-26).
  2. NVIDIA. https://www.nvidia.com/ja-jp/
  3. Google. https://blog.google/intl/ja-jp/

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