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公開：2024-08-31

キリンがCVCファンドを通じてAI細胞分析技術のシンクサイト社へ出資、ヘルスサイエンス領域での価値創出を目指す

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

• キリンがCVCファンドを通じシンクサイト社に出資
• シンクサイト社のAI細胞分析技術に注目
• ヘルスサイエンス領域での価値創出を目指す

キリンがAI細胞分析技術のシンクサイト社へ出資

キリンホールディングス株式会社は、コーポレートベンチャーキャピタルファンド「KIRIN HEALTH INNOVATION FUND」を通じて、AIを用いた次世代細胞分析・分離技術の実用化を進めるシンクサイト株式会社へ2024年8月22日に出資を決定した。この出資により、キリングループの発酵・バイオ技術とシンクサイト社の細胞分析技術を融合し、ヘルスサイエンス領域での新たな価値創出を目指すことになる。^[1]

シンクサイト社は、東京大学および大阪大学発のスタートアップ企業で、独自のAI技術を活用したゴーストサイトメトリー（GC技術）の研究開発と実用化を行っている。GC技術は、1つの細胞からより豊富な情報を高速に取得し分析・分離することが可能で、遺伝子治療や再生医療の実現、検査診断プロセスの効率化に貢献すると期待されている。

キリングループは長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027」において、「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV先進企業となる」ことを目指している。この出資を通じて、既存の食領域（酒類・飲料事業）と医領域（医薬事業）に加え、ヘルスサイエンス領域での事業立ち上げ・育成を加速させる狙いがある。

キリンとシンクサイト社の出資概要

ゴーストサイトメトリーについて

ゴーストサイトメトリー（GC技術）とは、細胞のイメージングから得た信号を機械学習で処理し、高速かつ高精度に細胞分析する技術のことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

• 1つの細胞から豊富な情報を高速に取得可能
• AI技術を活用した高精度な細胞分析・分離
• 遺伝子治療・再生医療の実現に貢献

GC技術は、シンクサイト社が開発した独自のAI技術を駆使した次世代の細胞分析・分離技術である。この技術により、従来の方法よりも効率的に細胞の分析・分離が可能となり、医療分野における研究や診断の進展に大きく貢献することが期待されている。キリングループの持つ発酵・バイオ技術との融合により、さらなる技術革新や新たな応用分野の開拓が見込まれる。

キリンのヘルスサイエンス領域進出に関する考察

キリングループのヘルスサイエンス領域への進出は、同社の長年培ってきた発酵・バイオ技術を新たな分野で活用する試みとして評価できる。特に、AIを活用した先端技術を持つシンクサイト社への出資は、キリンの技術力と新興企業の革新性を組み合わせることで、医療分野における画期的な進展をもたらす可能性がある。ただし、ヘルスサイエンス分野は規制が厳しく、既存の大手企業も多数存在するため、市場参入や事業化には慎重なアプローチが必要となるだろう。

今後、キリングループがこの分野で成功を収めるためには、自社の強みである発酵・バイオ技術とシンクサイト社のAI技術を効果的に融合させ、独自性の高い製品やサービスを開発することが重要だ。また、医療機関や研究機関との連携を強化し、実用化に向けた臨床試験や実証実験を積極的に推進することも求められる。さらに、ヘルスサイエンス分野特有の法規制や倫理的課題にも適切に対応できる体制を整えることが不可欠となるだろう。

キリングループのこの取り組みは、食品・飲料業界から医療・ヘルスケア分野へと事業領域を拡大する新たなモデルケースとなる可能性がある。今後は、GC技術を活用した具体的な製品開発や、キリングループの既存事業とのシナジー効果の創出など、より具体的な成果が期待される。この挑戦が成功すれば、日本企業の新たな成長モデルとして注目を集めることになるだろう。

参考サイト

1. ^ PR TIMES. 「CVCファンド「KIRIN HEALTH INNOVATION FUND」がAIを用いた次世代細胞分析・分離技術の実用化を進めるシンクサイト社へ出資を決定 | キリンホールディングス株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001041.000073077.html, (参照 24-08-31).

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