キリンがサグリ社に出資、AIと衛星データで農業のGHG排出量削減へ

text: XEXEQ編集部

PR TIMES より

記事の要約

キリンがCVCファンドを通じてサグリ社に出資
衛星データとAIで農業課題解決に取り組む
農地由来のGHG排出量の可視化・削減を探索

KIRIN HEALTH INNOVATION FUNDによるサグリ社への出資

キリンホールディングス株式会社は、グローバル・ブレイン株式会社と共同で設立したCVCファンド「KIRIN HEALTH INNOVATION FUND」を通じて、サグリ株式会社に出資を決定した。サグリ社は、衛星データとAI技術・区画技術を組み合わせたデータプラットフォームを構築し、農業分野における課題解決に取り組むスタートアップ企業である。^[1]

サグリ社は、自治体向けに衛星データを活用した農地管理ソリューションを提供している。また、世界の農家・農協向けに土壌分析などの営農ソリューションの提供やカーボンクレジットの発行を行い、農家の所得向上と企業の気候変動対策をサポートしている。

キリングループは、サグリ社との協力を通じて、農地由来の温室効果ガス（GHG）Scope 3排出量の可視化・削減の取り組みを探索する。これにより、キリングループ環境ビジョン2050に掲げる「ポジティブインパクトで、豊かな地球を」の実現に向けて取り組んでいく。

KIRIN HEALTH INNOVATION FUNDの投資戦略まとめ

	投資対象	投資目的	期待される効果
主な特徴	ヘルスサイエンス関連の技術やビジネスモデル	中長期的な価値創出	新たな価値の創出
投資先の選定基準	革新的な技術やビジネスモデルを有する企業	キリングループの強みとの相乗効果	顧客体験の向上
投資の姿勢	短期的なシナジーにこだわらない	スタートアップの成長支援	ヘルスサイエンス領域の強化

Scope 3排出量について

Scope 3排出量とは、企業の事業活動に関連する間接的な温室効果ガス排出量のことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

自社の事業活動範囲外での排出量を含む
サプライチェーン全体での排出量を対象とする
15のカテゴリーに分類され、包括的な排出量把握が可能

Scope 3排出量は、企業の直接的な管理下にない排出源からの温室効果ガスも含むため、その把握と削減は複雑で困難な課題となっている。しかし、多くの企業にとってScope 3排出量が全体の排出量の大部分を占めることから、気候変動対策において重要な指標となっている。

サグリ社との協業に関する考察

キリンホールディングスとサグリ社の協業は、食品業界における環境負荷低減の新たなアプローチとして注目される。衛星データとAI技術を活用した農地管理は、従来の方法では困難だった広域かつ詳細な土壌分析を可能にし、より精緻な温室効果ガス排出量の把握につながるだろう。これにより、農業分野におけるScope 3排出量の可視化と削減に向けた具体的な施策の立案が期待される。

一方で、この取り組みの成功には、農家や地域コミュニティとの密接な連携が不可欠となる。データ収集や分析結果の実践的な活用には、現場の理解と協力が必要不可欠だ。キリングループには、長年培ってきた農業関連のネットワークやノウハウを活かし、技術と現場をつなぐ役割が求められるだろう。

さらに、この協業を通じて得られる知見は、キリングループの事業全体のサステナビリティ戦略にも大きな影響を与える可能性がある。農業分野での成功モデルを他の原材料調達や生産プロセスにも応用することで、グループ全体のScope 3排出量削減につながる新たな施策の開発が期待できる。今後、この取り組みがキリングループの環境ビジョン2050の実現にどのように貢献していくか、継続的な観察が必要だ。

参考サイト

^ PR TIMES. 「CVCファンド「KIRIN HEALTH INNOVATION FUND」が衛星データとAI技術で農業課題の解決に取り組むサグリ社へ出資を決定 | キリンホールディングス株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001024.000073077.html, (参照 24-08-10).

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