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公開：2024-07-18

イオンリテールがAI端末「スマイルくん」を240店舗に導入、従業員の笑顔と挨拶の実施率が1.6倍に向上

text: XEXEQ編集部

記事の要約

• イオンリテールがAI端末「スマイルくん」を約240店舗に導入
• 従業員の笑顔・発声をエッジAIでリアルタイム分析
• 実証実験で笑顔と挨拶の実施率が1.6倍に向上
• 接客応対とサービスの質の向上を目指す

イオンリテールがAI端末「スマイルくん」を導入し従業員教育を革新

イオンリテールは2024年7月より、「イオン」「イオンスタイル」約240店舗において、従業員の接客教育にInstaVR株式会社が提供する笑顔・発声トレーニングAI端末「スマイルくん」を導入する。この取り組みは、店舗においてエッジAIを従業員の笑顔・発声の教育に活用する世界初の試みだ。従業員の笑顔や声量、滑舌、調子をリアルタイムにAI分析してスコアリングし、即座にフィードバックを提供することで、効果的な教育を実現する。^[1]

イオンリテールは現場を起点とした接客人材の育成に注力しており、人材育成においてもデジタルトランスフォーメーションを推進している。従来の課題として、笑顔・発声の基準が人によって異なり、目標とする水準に十分に達していない点があった。「スマイルくん」の導入により、笑顔・発声基準の全社での標準化を図り、さらなる接客応対とサービスの質の向上につなげることを目指している。

2023年7月から一部店舗で実施された実証実験では、3カ月間のミステリーショッパー調査を行い、「スマイルくん」導入による従業員の笑顔・発声の変化を追跡した。その結果、実験店舗では従業員からお客さまへの笑顔と挨拶の実施率が導入前と比べて約1.6倍に向上したことが明らかになった。この成果を受け、新入社員配属店舗を中心とした240店舗への導入拡大が決定した。

エッジAIとは？

エッジAIとは、サーバーと通信することなくデバイスに搭載されたAIチップを使ってデバイス内で直接AI処理を行う形態のことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

• サーバーとの通信が不要で処理が高速
• ネットワーク環境に依存せず安定した動作が可能
• 個人情報をより強固に保護できる
• リアルタイム処理に適している
• エネルギー効率が高く、省電力化に貢献

エッジAIは、通常のAIがサーバーと通信してサーバー側でAI処理を行うのに対し、デバイス内で完結するため、より高速かつセキュアな処理が可能となる。イオンリテールの「スマイルくん」導入事例のように、リアルタイムでのフィードバックが求められる場面で特に力を発揮する技術だ。

AI活用による従業員教育に関する考察

イオンリテールによるAI端末「スマイルくん」の導入は、小売業界における従業員教育の新たな可能性を示唆している。リアルタイムでのフィードバックにより、従業員は自身の接客スキルを客観的に把握し、即座に改善することが可能となる。一方で、AI評価に過度に依存することで、人間味のある接客が失われる懸念もあるだろう。

今後は、AIによる定量的評価と人間の上司や同僚による定性的評価を組み合わせたハイブリッドな教育システムの構築が期待される。また、「スマイルくん」の機能拡張として、接客の言葉遣いや態度、商品知識の正確さなどもAIが評価できるようになれば、より包括的な従業員教育が実現するだろう。さらに、顧客の反応データとの連携により、より効果的な接客方法の分析も可能になると考えられる。

この取り組みは、イオンリテールの従業員だけでなく、顧客にとっても大きな恩恵をもたらす可能性がある。接客品質の向上により、顧客満足度が高まり、リピート率の向上や口コミによる新規顧客の獲得につながるだろう。一方で、従業員にとっては評価の透明性が高まる反面、常に監視されているような心理的プレッシャーを感じる可能性もあり、メンタルヘルスケアの重要性が増すと予想される。

参考サイト

1. ^ PR TIMES. 「世界初！エッジＡＩ※１）を従業員の笑顔・発声トレーニングに導入 従業員の笑顔と挨拶の実施率が１.６倍に | イオン株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000004441.000007505.html, (参照 24-07-18).

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