QtがVisual Studio Code向け拡張機能「Qt All Extensions Pack」v1.0をリリース、QML開発とC++デバッグ機能を統合

text: XEXEQ編集部
(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)


記事の要約

  • QtがVS Code向け拡張機能をリリース
  • Qt All Extensions Packがv1.0に到達
  • QML開発とC++デバッグ機能を統合

QtがVisual Studio Code向け拡張機能をリリース

フィンランドのQt Groupは2024年9月10日(現地時間)、Visual Studio Code向けの拡張機能「Qt All Extensions Pack」v1.0をリリースした。この拡張機能は、QMLのシンタックスハイライト、リファクタリング、コード補完などの機能を提供し、Qt 6プロジェクトでのQMLアプリケーション開発をよりスムーズにする。CMakeとの統合により、Qtプロジェクトのビルドとデバッグが容易になっている。[1]

Qt All Extensions PackはQt Language Serverを利用して、QML言語のサポートを提供する。Qt 6.8から導入されたQt Language Serverは、古いバージョンのQt 6プロジェクトにも対応しており、拡張機能は自動的に最新のQt Language Serverを検出して使用する。これにより、開発者はプロジェクトのバージョンに関わらず、最新のツールサポートを受けられるようになった。

Visual Studio Codeでのデバッグ機能も強化され、Qt固有のC++型のデバッグが可能になった。また、.uiファイルのシンタックスハイライトや、Qt Widgets Designerを使用した.uiファイルの視覚的な編集オプションも提供されている。これらの機能により、QtとVisual Studio Codeを組み合わせた開発環境がより充実し、開発者の生産性向上が期待される。

Qt All Extensions Pack v1.0の主な機能まとめ

QML開発 C++サポート UI開発
主な機能 シンタックスハイライト、リファクタリング、コード補完 CMake統合、Qt固有型のデバッグ .uiファイルのハイライト、Qt Widgets Designer統合
使用技術 Qt Language Server (6.8以降) Visual Studio Code デバッガー Qt Widgets Designer
互換性 Qt 6全バージョン対応 Qt 6プロジェクト Qt Widgetベースのプロジェクト

Qt Language Serverについて

Qt Language Serverとは、統合開発環境(IDE)やコードエディタにQtとQML言語のサポートを提供するためのツールである。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

  • QMLコードの解析と意味理解
  • コード補完、定義へのジャンプ、リファクタリング支援
  • 異なるIDEやエディタ間での一貫したQtサポート

Qt Language ServerはQt 6.8から導入された新しいコンポーネントで、Visual Studio Code向けのQt All Extensions Packでも中核的な役割を果たしている。このサーバーは、Qt 6の全バージョンのプロジェクトに対応しており、最新のLanguage Serverを使用することで、古いバージョンのQt 6プロジェクトでも最新の開発支援機能を利用できる。QtインストーラーのAdditional Librariesセクションからインストール可能だ。

Qt All Extensions Pack v1.0のリリースに関する考察

Qt All Extensions Pack v1.0のリリースは、QtとVisual Studio Codeの統合を深化させ、開発者の選択肢を広げる重要な一歩である。特にQML開発のサポートが強化されたことで、モバイルやデスクトップアプリケーションの開発がより効率的になると予想される。一方で、Visual Studio Codeの拡張機能エコシステムの中で、Qtの機能をどこまでシームレスに統合できるかが今後の課題となるだろう。

将来的には、Qt CreatorとVisual Studio Code間でのプロジェクト設定やビルド構成の互換性向上が望まれる。これにより、チーム開発において異なるIDEを使用する開発者間での協業がさらに円滑になる可能性がある。また、Qt Quick DesignerのようなビジュアルデザインツールをVisual Studio Code内に統合することで、UIデザインからコーディングまでのワークフローがよりシームレスになることが期待される。

Qt All Extensions Packの今後の発展に期待したい点として、AIを活用したコード補完やリファクタリング提案機能の追加が挙げられる。また、Qtのクロスプラットフォーム開発の強みを活かし、Visual Studio Code上でのマルチプラットフォームデバッグや、モバイルデバイスへの直接デプロイメント機能の実装も魅力的だ。これらの機能強化により、QtとVisual Studio Codeの組み合わせがさらに強力な開発環境として確立されることが期待される。

参考サイト

  1. ^ Qt. 「New Qt Extension for Visual Studio Code 1.0 published」. https://www.qt.io/blog/new-qt-extension-for-visual-studio-code-1.0-published, (参照 24-09-13).

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