富士通とCohereが戦略的提携、企業向け日本語強化LLM「Takane」を共同開発しFujitsu Kozuchiから提供へ

text: XEXEQ編集部

記事の要約

富士通とCohereが企業向け生成AI提供で戦略的パートナーシップを締結
日本語強化版LLM「Takane」を共同開発し、Fujitsu Kozuchiから提供予定
ナレッジグラフ拡張RAGと生成AI監査技術も開発・提供へ

富士通とCohereの戦略的提携がもたらす企業向け生成AIの革新

富士通株式会社とCohere Inc.は、企業の成長と社会課題解決を支援する生成AIの提供を目指し、戦略的パートナーシップを締結した。両社は、CohereのLLMをベースとした日本語強化版「Takane」（仮称）を共同開発し、富士通が2024年9月よりAIサービス「Fujitsu Kozuchi」から提供を開始する予定だ。この提携により、企業向け生成AI市場に大きな変革がもたらされる可能性が高い。^[1]

「Takane」（仮称）は、Cohereの最新LLM「Command R+」をベースに、富士通の日本語特化技術とCohereの企業向け特化技術を組み合わせて開発される。ハルシネーションを軽減するRAG（Retrieval-Augmented Generation）の性能向上を特徴とし、多言語対応かつ安全性と透明性に優れた設計が特筆される。

富士通は、ナレッジグラフ拡張RAGと生成AI監査技術も開発し、「Fujitsu Kozuchi」から提供予定だ。ナレッジグラフ拡張RAGは2024年7月から、生成AI監査技術は2024年9月から提供開始される。これらの技術により、企業の大規模データ活用と規則準拠の生成AI実現が可能になる。

	富士通	Cohere
主な貢献	日本語特化技術、ナレッジグラフ技術	企業向けLLM技術、RAG技術
提供サービス	Fujitsu Kozuchi	Command R+
技術的特徴	ナレッジグラフ拡張RAG、生成AI監査技術	多言語対応、安全性と透明性
提供開始時期	2024年7月～9月	既存（新版は共同開発後）

Takaneとは

Takaneとは、富士通とCohereが共同開発中の日本語強化版大規模言語モデル（LLM）のことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

Cohereの最新LLM「Command R+」をベースに開発
富士通の日本語特化技術とCohereの企業向け技術を統合
ハルシネーション軽減のためのRAG性能向上
多言語対応と高い安全性・透明性
プライベート環境での社内データ活用に対応

Takaneは、企業の多様で大規模なデータを効果的に活用し、業務に適した特化型生成AIを実現することを目指している。富士通のAIサービス「Fujitsu Kozuchi」を通じて提供され、金融や官公庁、R&Dなど高いセキュリティが求められる分野での利用が期待されている。

富士通とCohereの戦略的提携に関する考察

今後、企業向け生成AIの普及に伴い、データセキュリティとAIの透明性がさらに重要な課題となる可能性がある。Takaneのようなプライベート環境で稼働するLLMは、これらの課題に対する一つの解決策となり得るが、同時にAIの判断プロセスの説明可能性や、企業特有の専門知識の適切な反映など、新たな技術的課題も浮上するだろう。

将来的には、Takaneに業界特化型の機能や、リアルタイムデータ分析との連携機能が追加されることが期待される。また、多言語対応を活かしたグローバルビジネスでの活用や、企業間でのAI知見の安全な共有機能なども、魅力的な新機能となる可能性がある。

この戦略的提携は、大企業や政府機関など、高度なセキュリティと日本語対応を必要とする組織にとって大きな恩恵をもたらすだろう。一方で、中小企業にとっては導入コストや技術的ハードルが高くなる可能性があり、格差が生じる懸念もある。