ペリオセラピアが「すごいベンチャー100」2024年版に選出、難治性乳がん治療薬の開発に期待高まる

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

ペリオセラピアが「すごいベンチャー100」2024年版に選出
難治性疾患向け抗体医薬品の開発に取り組む
AMEDの創薬ベンチャー公募に採択され開発資金確保

ペリオセラピアの「すごいベンチャー100」選出と事業概要

ペリオセラピア株式会社は、週刊東洋経済の「すごいベンチャー100」2024年最新版において、創薬部門での選出を果たした。この特集は、資金調達額や事業・技術の独自性などを基準に、ユニコーンを目指す有望なベンチャー企業100社を選定し、各社のビジネスモデルや特徴を分析するものだ。^[1]

ペリオセラピアは、大阪大学医学部の谷山義明特任教授が2017年10月に設立した阪大発の創薬ベンチャーである。同社は、細胞外マトリックスタンパク質であるペリオスチンの病的変異体に着目し、乳がんや糖尿病性網膜症、心筋梗塞などの難治性疾患に対する抗体医薬品の開発を進めている。

特に注力しているのは、治療が困難なトリプルネガティブ乳がん（TNBC）を含む転移再発HER2陰性乳がんへの対応だ。TNBCは若年女性に多く発症し、5年生存率が5割以下という高い悪性度を持つため、新規治療薬の早期開発が求められている。さらに、治療薬と併せてコンパニオン診断薬の開発も行っており、治験成功確率の向上と効率的なパイプライン拡充を目指している。

ペリオセラピアの事業概要まとめ

項目	詳細
会社名	ペリオセラピア株式会社
設立	2017年10月
創業者	谷山義明（大阪大学医学部特任教授）
主要事業	難治性疾患向け抗体医薬品の開発
研究対象	病的ペリオスチン変異体
主な対象疾患	転移再発HER2陰性乳がん（TNBC含む）
開発状況	AMEDの創薬ベンチャー公募に採択、日米臨床試験開発資金確保

ペリオセラピア株式会社の公式サイトはこちら

ペリオスチンについて

ペリオスチンとは、細胞外マトリックスタンパク質の一種で、心臓弁形成や創傷治癒などの生理的プロセスに関与する重要な因子である。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

心臓弁形成や創傷治癒に関与する細胞外マトリックスタンパク質
病的変異体が様々な難治性疾患の発症に関与
乳がんや糖尿病性網膜症、心筋梗塞などの疾患との関連が解明されつつある

ペリオセラピアの研究により、ペリオスチンの病的変異体が乳がんなどの難治性疾患に深く関与していることが明らかになった。特にトリプルネガティブ乳がん（TNBC）では、この病的ペリオスチンが強く関与していることが判明し、新たな治療ターゲットとして注目されている。この発見は、従来の治療法では対応が困難だったTNBCに対する新規治療法の開発につながる可能性がある。

ペリオセラピアの創薬ベンチャーとしての展望に関する考察

ペリオセラピアの「すごいベンチャー100」への選出は、同社の革新的な研究アプローチと事業の可能性が高く評価されたことを示している。特に、病的ペリオスチンに着目した独自の創薬戦略は、従来の治療法では対応が困難だった難治性疾患に対する新たな希望となる可能性がある。さらに、治療薬とコンパニオン診断薬の同時開発は、個別化医療の実現に向けた重要なステップとなるだろう。

一方で、創薬ベンチャーとしての課題も存在する。新規医薬品の開発には長期間と莫大な資金が必要であり、臨床試験の各段階でのハードルも高い。AMEDの創薬ベンチャー公募に採択されたことで開発資金の目途が立ったものの、今後も継続的な資金調達と効率的な開発プロセスの管理が求められる。また、グローバル展開を視野に入れた場合、国際的な規制対応や大手製薬企業との連携戦略も重要になってくるだろう。

今後、ペリオセラピアには、基礎研究の深化と臨床開発の加速、そして事業化に向けた戦略的なパートナーシップの構築が期待される。特に、TNBCを含む難治性乳がんに対する新規治療法の実用化は、多くの患者にとって大きな希望となるはずだ。日本発のグローバルスペシャリティファーマとしての成長を目指す同社の今後の展開に、医療業界からの注目が集まるだろう。

参考サイト

^ PR TIMES. 「ペリオセラピア（株）が週刊東洋経済「すごいベンチャー100」2024年最新版に選出されました | ペリオセラピア株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000004.000125075.html, (参照 24-09-19).

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