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IT基本法とは?意味をわかりやすく簡単に解説

text: XEXEQ編集部


IT基本法とは

IT基本法は、正式名称を「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」といい、2000年11月29日に公布・施行された日本の法律です。この法律は、情報通信技術(IT)の活用により世界的規模で生じている急激かつ大幅な社会経済構造の変化に対応することを目的としています。

IT基本法の前文では、情報通信技術の活用が我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展、国民の生活の質の向上、国際社会の平和と発展に貢献することが期待されると述べられています。そのために、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関し、基本理念や国及び地方公共団体の責務等を明らかにし、施策の策定に係る基本方針を定めることとしているのです。

この法律は全6章、35条から構成されており、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部や重点計画の作成など、国を挙げてITを推進するための体制や方針が規定されています。さらに、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策の策定に係る基本方針として、人材の育成、教育及び学習の振興、情報通信技術を活用した行政の効率化等々、9つの分野における15の方針が定められているのです。

加えて、ITの革新的な技術の研究開発の推進や、情報通信技術の利用の促進に必要な措置を講ずること、年次報告等の作成と公表を行うことなどが、国の責務として明記されています。地方公共団体も、基本理念にのっとり、ITネットワーク社会の形成に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の特性に応じた施策を策定し、実施する責務を有すると定められているのです。

以上のように、IT基本法は日本におけるIT戦略の根幹をなす法律であり、21世紀の我が国の発展にとって極めて重要な意味を持つものなのです。この法律に基づき、5年ごとに様々な計画が策定され、日本のIT政策が進められてきました。社会のIT化が急速に進展する中、その基本的な枠組みを定めたIT基本法の理解は不可欠だと言えるでしょう。

IT基本法の基本理念

「IT基本法の基本理念」に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • 高度情報通信ネットワーク社会の形成が我が国の重要課題であること
  • 高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策の迅速な策定と重点的な推進の必要性
  • 高度情報通信ネットワーク社会の形成に当たっての国及び地方公共団体の責務

高度情報通信ネットワーク社会の形成が我が国の重要課題であること

IT基本法では、高度情報通信ネットワーク社会の形成を我が国の重要な課題と位置付けています。その理由は、このような社会の形成が国民の生活の質の向上、経済社会の活力の向上及び持続的発展、国際社会の平和と発展に資するものだからです。

具体的には、情報通信技術の活用により、多様な分野における創造的かつ活力ある発展が可能となること、ゆとりと豊かさを実感できる国民生活の実現に寄与すること、世界的規模での交流の進展による国際平和に資することなどが期待されているのです。このようにIT基本法は、高度情報通信ネットワーク社会の形成を国家的な重要課題として明確に位置付けているのです。

さらに、急速な情報化の進展に伴う社会経済構造の変化に適確に対応するためにも、IT政策の戦略的な推進が不可欠だとしています。国を挙げて取り組むべき課題として、高度情報通信ネットワーク社会の形成を捉えているところに、IT基本法の基本的な考え方があると言えるでしょう。

高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策の迅速な策定と重点的な推進の必要性

IT基本法では、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策について、迅速に策定し、重点的に推進する必要性が強調されています。その背景には、情報通信技術の活用により世界的規模で生じている急激かつ大幅な社会経済構造の変化に適確に対応しなければならないという認識があります。

このような変化に対応するためには、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策を可及的速やかに策定し、国の関係行政機関相互の密接な連携の下に、重点的に推進することが肝要だとしているのです。言い換えれば、スピード感を持って、関係機関が連携しながら集中的にIT施策を進めていくことが求められているのです。

施策の策定と推進に当たっては、高度情報通信ネットワークの安全性及び信頼性の確保、国際的な協調等に留意すべきだとされています。安全で信頼できるネットワークの構築と、国際社会との協調を図りながら、戦略的にIT政策を展開していく必要性をIT基本法は説いているのです。

高度情報通信ネットワーク社会の形成に当たっての国及び地方公共団体の責務

IT基本法では、高度情報通信ネットワーク社会の形成に当たって、国と地方公共団体がそれぞれ果たすべき責務について定めています。国は、施策を迅速に策定し重点的に推進する責務を有するとともに、地方公共団体が施策を策定し実施するために必要な助言その他の援助を行う責務を有するとされています。

一方、地方公共団体は、基本理念にのっとり、国との適切な役割分担を踏まえて、その地方公共団体の区域の特性に応じた施策を策定し、実施する責務を有すると規定されているのです。つまり、国と地方が役割分担をしながら、それぞれの特性を活かした形でIT施策を推進していくことが期待されているのです。

加えて、国及び地方公共団体は、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策の策定と実施に当たっては、国民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならないとも定められています。国民の声を聴きながら、官民一体となってIT社会の形成を進めていく姿勢がうかがえます。

IT基本法に基づく計画と施策

「IT基本法に基づく計画と施策」に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • 高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部によるIT戦略の策定
  • 重点計画の作成と実施状況の公表
  • ITの活用による行政の効率化、教育の振興等に関する施策

高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部によるIT戦略の策定

IT基本法では、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策を集中的かつ重点的に推進するため、内閣に高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)を置くことが定められています。本部長は内閣総理大臣が、副本部長は内閣官房長官及びIT政策担当大臣が務めることとされています。

IT総合戦略本部は、重点計画の作成や施策の実施の推進に関する事項などの審議を行います。IT基本法に基づき、これまでにe-Japan戦略、IT新改革戦略、i-Japan戦略、新IT戦略などの国家戦略が策定されてきました。現在は、「世界最先端IT国家創造宣言・官民データ活用推進基本計画」が、我が国のIT戦略の基本方針となっています。

IT総合戦略本部が司令塔となって、省庁横断的にIT施策を推進する体制が整えられているのです。デジタル庁の発足など、時代の変化に応じて体制の見直しも図られています。IT基本法に基づく国家戦略の策定と、その着実な実行が、我が国のIT政策の根幹をなしていると言えるでしょう。

重点計画の作成と実施状況の公表

IT基本法では、政府は、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部が作成する重点計画に基づき、高度情報通信ネットワーク社会の形成に関する施策を迅速かつ重点的に推進しなければならないとされています。この重点計画は、概ね5年以内の期間について定めるものとされ、施策の具体的な目標や計画期間が示されます。

政府は、毎年度、重点計画に基づく施策の実施状況を IT総合戦略本部に報告し、これを公表しなければならないとも定められています。計画の進捗管理を行い、その結果を広く国民に明らかにすることで、施策の着実な推進と透明性の確保が図られているのです。

IT基本法の制定以降、重点計画は数次にわたって策定され、日本のIT政策の指針となってきました。IT環境の急速な変化を踏まえつつ、中長期的な視点から重点的に取り組むべき施策を定め、その実施状況を適切に管理・公表していくことが肝要だと言えます。

ITの活用による行政の効率化、教育の振興等に関する施策

IT基本法では、高度情報通信ネットワーク社会形成に関する重点施策分野の一つとして、電子政府の実現が掲げられています。行政のIT化を推進し、国民の利便性の向上と行政運営の簡素化、効率化を図ることが国や地方公共団体の責務とされているのです。

また、ITを活用した教育の振興も重要な施策分野の一つです。IT基本法では、学校教育及び生涯学習における情報通信技術の活用を図るとともに、情報通信技術に係る人材の育成に必要な措置を講ずることが、国及び地方公共団体の責務だと定めています。ITリテラシーの向上と専門人材の育成が、我が国の重要課題として位置付けられているのです。

さらに、ITを活用した福祉の向上、中小企業の経営の向上、情報通信技術に関する研究開発の推進、生活様式・働き方の変革など、幅広い分野にわたる施策の方針がIT基本法には示されています。ITの利活用を通じて、社会のあらゆる側面の改革を進めていくことが期待されているのです。

参考サイト

  1. デジタル庁. https://www.digital.go.jp/

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