PUEとは？意味をわかりやすく簡単に解説

text: XEXEQ編集部

PUE(Power Usage Effectiveness)とは

PUE(Power Usage Effectiveness)は、データセンターのエネルギー効率を測定するための指標です。データセンター全体の消費電力を、IT機器の消費電力で割った値で表されます。

PUEの値が小さいほど、データセンターのエネルギー効率が高いことを示します。理想的なPUEの値は1.0ですが、現実的には1.2～1.5程度が一般的とされています。

PUEは、データセンターの設計・運用・管理における重要な指標の一つとなっています。PUEを改善することで、データセンターの電力コストを削減し、環境負荷を低減することができます。

PUEの算出には、データセンター全体の消費電力量と、IT機器の消費電力量を正確に測定する必要があります。測定方法や測定範囲によって、PUEの値は変動する可能性があります。

PUEは、データセンターのエネルギー効率を評価・比較する上で有用な指標ですが、単独では十分ではありません。他の指標と組み合わせて総合的に評価することが重要です。

PUEの算出方法と注意点

PUEの算出方法と注意点に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

PUEの計算式とその意味
PUE算出における消費電力量の測定方法
PUE値の限界と他の指標との組み合わせ

PUEの計算式とその意味

PUEは、データセンター全体の消費電力量をIT機器の消費電力量で割った値で表されます。計算式は「PUE = データセンター全体の消費電力量 ÷ IT機器の消費電力量」となります。

この計算式から、PUEの値が1.0に近づくほど、データセンターのエネルギー効率が高いことがわかります。つまり、IT機器以外の設備(空調、照明など)の消費電力が少ないことを意味しているのです。

ただし、PUEの値が1.0になることは現実的ではありません。IT機器の稼働に必要な空調や電源設備などの消費電力を完全にゼロにすることは不可能だからです。

PUE算出における消費電力量の測定方法

PUEを正確に算出するためには、データセンター全体とIT機器の消費電力量を適切に測定する必要があります。測定には、電力量計や管理システムを用いるのが一般的です。

測定の範囲や方法によって、PUEの値は変動する可能性があります。例えば、測定期間や測定間隔、IT機器の範囲の取り方などによって、結果が異なる場合があります。

PUEの算出にあたっては、測定方法を統一し、一貫性のある数値を用いることが重要です。また、測定結果の妥当性を検証し、必要に応じて測定方法の改善を図ることも必要不可欠と言えるでしょう。

PUE値の限界と他の指標との組み合わせ

PUEは、データセンターのエネルギー効率を評価する上で有用な指標ですが、単独では十分ではありません。PUEの値だけでは、データセンターの全体的な性能や運用状況を把握することは難しいのです。

例えば、PUEの値が良好でも、IT機器の稼働率が低かったり、冗長性が不十分だったりする場合があります。そのため、PUEと併せて、他の指標も考慮する必要があります。

PUEと組み合わせて用いられる代表的な指標には、DCIE(Data Center Infrastructure Efficiency)やWUE(Water Usage Effectiveness)などがあります。これらの指標と組み合わせることで、データセンターの総合的な評価が可能となるでしょう。

PUEの改善策と事例

PUEの改善策と事例に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

PUEを改善するための設備面での取り組み
PUEを改善するための運用面での取り組み
PUE改善の成功事例と効果

PUEを改善するための設備面での取り組み

PUEを改善するためには、データセンターの設備面での最適化が重要です。具体的には、高効率な空調設備の導入や、自然エネルギーの活用などが挙げられます。

例えば、外気を利用したフリークーリングシステムを導入することで、空調設備の消費電力を大幅に削減できます。また、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを活用することで、データセンター全体の消費電力を抑制することも可能です。

設備面での改善には、初期投資が必要となる場合もありますが、長期的には運用コストの削減につながります。PUE改善のための設備投資は、データセンターの競争力強化に寄与すると言えるでしょう。

PUEを改善するための運用面での取り組み

PUEの改善には、設備面だけでなく、運用面での取り組みも重要です。具体的には、IT機器の適切な配置や、消費電力の見える化などが挙げられます。

IT機器の配置を最適化することで、空調の効率を高め、無駄な消費電力を削減できます。また、消費電力の見える化により、電力使用状況を把握し、改善点を特定することが可能となります。

運用面での改善は、設備投資を必要としない場合も多く、比較的短期間で効果を得られる可能性があります。日々の運用における小さな改善の積み重ねが、PUEの大幅な改善につながるのです。

PUE改善の成功事例と効果

PUE改善の取り組みにより、多くのデータセンターがエネルギー効率の向上を実現しています。例えば、ある大手データセンター事業者は、設備と運用の両面から改善を進めることで、PUEを1.5から1.2まで低減させることに成功しました。

この改善により、年間の電力コストを数億円規模で削減するとともに、CO2排出量を大幅に抑制することができました。また、エネルギー効率の高さは、環境意識の高い顧客からの評価にもつながっています。

PUE改善の成功事例は、データセンター業界全体の目標となっています。今後も、PUEの改善に向けた取り組みが加速していくことが期待されます。

PUEの今後の展望

PUEの今後の展望に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

PUEのさらなる改善に向けた技術動向
PUEと他の指標の統合に向けた動き
PUEがデータセンター業界に与える影響

PUEのさらなる改善に向けた技術動向

PUEのさらなる改善に向けて、様々な技術開発が進められています。特に注目されているのが、AIやIoTを活用した最適化技術です。

AIを用いることで、データセンターの運用状況をリアルタイムで分析し、最適な制御を行うことが可能となります。また、IoTセンサーを活用することで、より詳細な消費電力データを収集し、きめ細やかな改善策を立案できるようになるでしょう。

これらの技術を駆使することで、PUEの値を1.1以下にまで引き下げることも夢ではなくなりつつあります。技術革新がPUE改善の鍵を握っていると言えます。

PUEと他の指標の統合に向けた動き

PUEは、データセンターのエネルギー効率を評価する上で重要な指標ですが、単独では十分ではありません。そのため、PUEと他の指標を統合し、総合的な評価を行う動きが活発化しています。

例えば、PUEとDCIE(Data Center Infrastructure Efficiency)を組み合わせることで、エネルギー効率と設備の稼働率を同時に評価することが可能となります。また、WUE(Water Usage Effectiveness)を加えることで、水資源の有効活用の観点からも評価できるようになります。

今後は、PUEを中心とした複数の指標を統合的に用いることが主流になっていくと予想されます。各指標の特性を理解し、バランスの取れた評価を行うことが重要となるでしょう。