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BEMS(Building Energy Management System)とは?意味をわかりやすく簡単に解説

text: XEXEQ編集部


BEMS(Building Energy Management System)とは

BEMSとはBuilding Energy Management Systemの略称で、ビルのエネルギー管理を行うシステムのことを指します。電力、ガス、水道などのエネルギー使用量をリアルタイムで計測し、データを収集・分析することで、ビルの省エネルギー化を図ることができます。

BEMSはビルの設備機器を制御し、最適な運転を行うことで、エネルギー消費量を削減します。空調設備、照明設備、給湯設備などを対象に、室内の温度や照度、人の在室状況などを考慮して、きめ細かな制御を行うのです。

また、BEMSは収集したデータを見える化することで、ビルのエネルギー使用状況を把握し、無駄な部分を特定することができます。エネルギー使用量の推移やピーク時間帯、設備機器の稼働状況などを分析し、改善点を見つけ出すことが可能となります。

BEMSを導入することで、ビルのエネルギーコストを削減し、CO2排出量を抑制することができます。加えて、設備機器の長寿命化や、室内環境の快適性向上など、様々なメリットが期待できるのです。

今後、環境問題への関心の高まりとともに、BEMSの重要性はますます高まっていくと考えられます。ビルのエネルギー管理を最適化し、持続可能な社会の実現に貢献していくことが求められているのです。

BEMSの導入により得られる効果

BEMSの導入により得られる効果に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • エネルギー消費量の削減とコスト削減
  • CO2排出量の削減と環境負荷の低減
  • 設備機器の最適制御と長寿命化

エネルギー消費量の削減とコスト削減

BEMSを導入することで、ビルのエネルギー消費量を大幅に削減することができます。空調設備や照明設備などを最適に制御し、無駄なエネルギー消費を抑制するためです。

例えば、室内の温度や照度を適切に管理することで、過剰な冷暖房や照明の使用を防ぐことができます。また、人の在室状況に応じて、設備機器を自動的に制御することで、無駄な運転を避けられるのです。

エネルギー消費量の削減は直接的なコスト削減につながります。電力料金やガス料金などのエネルギーコストを大幅に抑えることができ、ビルの運営費用を最適化できるのです。

CO2排出量の削減と環境負荷の低減

BEMSの導入はCO2排出量の削減にも大きく貢献します。エネルギー消費量を削減することで、化石燃料の使用量を抑制し、温室効果ガスの排出を抑えることができるためです。

ビルのエネルギー消費は日本全体のCO2排出量の約1/3を占めると言われています。BEMSを活用し、ビルのエネルギー効率を高めることは地球環境保護の観点からも非常に重要なのです。

また、環境負荷の低減は企業のイメージアップにもつながります。環境に配慮した取り組みを行うことで、社会的責任を果たし、ステークホルダーからの信頼を得ることができるでしょう。

設備機器の最適制御と長寿命化

BEMSは設備機器の最適制御を実現し、機器の長寿命化にも寄与します。エネルギー消費データを分析し、機器の稼働状況を把握することで、適切なメンテナンスを行うことができるためです。

例えば、空調設備の運転データを分析し、フィルターの交換時期を予測することができます。また、照明設備の点灯時間を管理し、ランプの交換サイクルを最適化することも可能となるのです。

設備機器を適切に管理することで、故障や不具合を未然に防ぎ、機器の寿命を延ばすことができます。結果として、設備投資コストの削減や、ビルの安定運用にもつながるでしょう。

BEMSのシステム構成と主な機能

BEMSのシステム構成と主な機能に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • センサーとデータ収集システム
  • エネルギー管理ソフトウェア
  • 設備機器の制御システム

センサーとデータ収集システム

BEMSの中核となるのが、センサーとデータ収集システムです。ビル内の各所に設置されたセンサーが、温度や湿度、照度、人の在室状況などを計測し、リアルタイムでデータを収集します。

収集されたデータはネットワークを通じて中央のサーバーに送信されます。サーバーではデータを蓄積し、分析するための基盤となるのです。

センサーの種類や設置箇所はビルの用途や規模によって異なります。オフィスビルであれば、執務エリアや会議室、共用部などに、適切なセンサーを配置することが求められるでしょう。

エネルギー管理ソフトウェア

BEMSの中心的な役割を担うのが、エネルギー管理ソフトウェアです。収集されたデータを分析し、ビルのエネルギー使用状況を可視化する機能を持っています。

エネルギー管理ソフトウェアは電力やガス、水道などのエネルギー使用量をグラフや表で表示します。また、過去のデータと比較することで、エネルギー消費の傾向や変化を把握することができるのです。

さらに、AIや機械学習の技術を活用し、エネルギー消費の予測や最適化を行う高度なソフトウェアも登場しています。エネルギー管理の自動化や効率化が進んでいるのです。

設備機器の制御システム

BEMSは設備機器の制御システムと連携し、エネルギー消費の最適化を図ります。空調設備や照明設備、給湯設備などを、センサーデータやエネルギー管理ソフトウェアの分析結果に基づいて制御するのです。

例えば、室内の温度が設定値を超えた場合、空調設備の運転を自動的に調整することができます。また、人が不在の場所の照明を自動的に消灯するなど、きめ細かな制御が可能となります。

設備機器の制御は専用のコントローラーやゲートウェイを介して行われます。各機器との通信プロトコルに対応し、円滑な制御を実現するための機器選定が重要となるでしょう。

BEMSの課題と今後の展望

BEMSの課題と今後の展望に関して、以下3つを簡単に解説していきます。

  • 初期コストと導入効果の見極め
  • データの活用とセキュリティ対策
  • スマートビルディングとの連携

初期コストと導入効果の見極め

BEMSの導入には一定の初期コストがかかります。センサーやソフトウェア、制御機器などの導入費用に加え、システム設計や設置工事などの費用も必要となるためです。

BEMS導入の効果を最大限に発揮するためにはビルの特性や用途に合わせて、適切なシステム構成を検討する必要があります。コストと効果のバランスを見極め、最適な投資判断を行うことが求められるでしょう。

また、BEMS導入後の運用コストについても考慮が必要です。システムの保守・メンテナンスや、データ分析に要する人件費などを適切に見積もり、長期的な視点で投資効果を評価することが重要となります。

データの活用とセキュリティ対策

BEMSは大量のデータを収集・蓄積します。このデータを効果的に活用することが、エネルギー管理の高度化につながります。

収集したデータを分析し、エネルギー消費の傾向や無駄な部分を特定することで、より精度の高い改善策を立案することができます。また、AIによる予測や最適化を行うことで、エネルギー管理の自動化や効率化を進めることも可能となるでしょう。

一方で、データの取り扱いには十分な注意が必要です。個人情報の保護やセキュリティ対策を徹底し、データ漏洩やシステムへの不正アクセスを防ぐことが求められます。

スマートビルディングとの連携

今後、BEMSはスマートビルディングとの連携が進んでいくと考えられます。スマートビルディングとはIoTやAIなどの技術を活用し、ビルの管理・運営を最適化する建物のことを指します。

BEMSとスマートビルディングが連携することで、エネルギー管理だけでなく、セキュリティ管理や設備管理、室内環境の最適化など、ビル管理の様々な側面で効果を発揮することができるでしょう。

また、複数のビルをネットワーク化し、エネルギーの需給バランスを調整するバーチャルパワープラント(VPP)との連携も期待されます。BEMSが、スマートシティの実現に向けた重要な要素となっていくのです。

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