IGMPスヌーピングとは？意味をわかりやすく簡単に解説

text: XEXEQ編集部

IGMPスヌーピングとは

IGMPスヌーピングとはスイッチがマルチキャストトラフィックを効率的に転送するための技術です。IGMPスヌーピングを使用することで、スイッチはマルチキャストグループに参加しているホストを特定し、そのホストにのみマルチキャストトラフィックを転送します。

IGMPスヌーピングが無効になっている場合、スイッチはマルチキャストトラフィックを全てのポートにブロードキャストします。これにより、不要なトラフィックが発生し、ネットワークの効率が低下してしまいます。

IGMPスヌーピングを有効にすることで、スイッチはマルチキャストグループに参加しているホストを把握できるようになります。そして、そのホストが接続されているポートにのみマルチキャストトラフィックを転送するようになるのです。

IGMPスヌーピングはIGMPパケットを監視することでマルチキャストグループのメンバーシップ情報を取得します。IGMPパケットにはホストがマルチキャストグループに参加したい旨を示すIGMP Joinメッセージと、グループから脱退したい旨を示すIGMP Leaveメッセージがあります。

スイッチがIGMP Joinメッセージを受信すると、そのホストが接続されているポートをマルチキャストグループに登録し、マルチキャストトラフィックの転送を開始します。一方、IGMP Leaveメッセージを受信すると、そのポートをマルチキャストグループから削除し、トラフィックの転送を停止するのです。

IGMPスヌーピングの設定方法

IGMPスヌーピングに関して、以下3つを簡単に解説していきます。

IGMPスヌーピングの有効化
IGMPスヌーピングの動作モード
IGMPクエリアの設定

IGMPスヌーピングの有効化

IGMPスヌーピングを使用するにはまずスイッチ上で有効化する必要があります。多くのスイッチではデフォルトでIGMPスヌーピングが有効になっています。しかし、無効になっている場合はコマンドラインインターフェース(CLI)やWeb管理画面から有効化できます。

Cisco IOSスイッチの場合、グローバルコンフィギュレーションモードで以下のコマンドを実行することでIGMPスヌーピングを有効化できます。スイッチモデルやOS、ベンダーによってコマンドが異なる場合があるので、製品のマニュアルを参照することをおすすめします。

Switch(config)# ip igmp snooping

IGMPスヌーピングの動作モード

IGMPスヌーピングにはIGMPv1、IGMPv2、IGMPv3の3つのバージョンがあります。それぞれのバージョンで機能や動作が異なるため、ネットワーク環境に合わせて適切なバージョンを選択する必要があります。

IGMPv1は最も古いバージョンで、Leave機能がありません。IGMPv2ではLeave機能が追加され、グループからの脱退がスムーズになりました。IGMPv3では送信元を指定してマルチキャストグループに参加できるSource-Specific Multicast(SSM)機能が追加されています。

通常、スイッチはIGMPパケットのバージョンを自動的に検出し、適切なモードで動作します。しかし、特定のバージョンを使用したい場合はコマンドラインインターフェースから設定を変更することもできるのです。

IGMPクエリアの設定

IGMPスヌーピングを使用する際、マルチキャストルータがIGMPクエリアとして動作し、定期的にIGMPクエリメッセージを送信します。これにより、スイッチはマルチキャストグループのメンバーシップ情報を最新の状態に保つことができます。

しかし、マルチキャストルータが存在しない環境や、冗長性を確保したい場合はスイッチをIGMPクエリアとして設定することもできます。これにより、スイッチが定期的にIGMPクエリメッセージを送信するようになります。

Cisco IOSスイッチの場合、インターフェイスコンフィギュレーションモードで以下のコマンドを実行することでIGMPクエリアを有効化できます。クエリアとして動作させるVLANのインターフェイスに対して設定を行う点に注意が必要です。

Switch(config-if)# ip igmp snooping querier

IGMPスヌーピングとIGMPの関係

IGMPスヌーピングに関して、以下3つを簡単に解説していきます。

IGMPの役割
IGMPスヌーピングとIGMPの連携
IGMPスヌーピングの制限事項

IGMPの役割

IGMPはホストとマルチキャストルータ間でマルチキャストグループのメンバーシップ情報を管理するためのプロトコルです。ホストがマルチキャストグループに参加したい場合、IGMPを使用してマルチキャストルータに参加要求を送信します。

また、マルチキャストルータはIGMPを使用して、定期的にマルチキャストグループのメンバーシップ情報を確認します。これにより、不要なマルチキャストトラフィックを抑制し、ネットワークの効率化を図ることができるのです。

IGMPスヌーピングとIGMPの連携

IGMPスヌーピングはスイッチがIGMPパケットを監視することでマルチキャストグループのメンバーシップ情報を取得する技術です。つまり、IGMPスヌーピングはIGMPに依存して動作しており、両者は密接に連携しています。

具体的にはホストがIGMP Joinメッセージを送信すると、スイッチがそのメッセージを読み取り、ホストが接続されているポートをマルチキャストグループに登録します。また、マルチキャストルータがIGMPクエリメッセージを送信すると、スイッチがそのメッセージを読み取り、マルチキャストグループのメンバーシップ情報を更新するのです。