ランクセスがLFPバッテリー用高品質酸化鉄を開発、ICISイノベーションアワード2024を受賞し欧米LFPバリューチェーン構築に貢献

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

ランクセスがLFPバッテリー用高品質酸化鉄を開発
ICISイノベーションアワード2024を受賞
欧米LFPバリューチェーン開発の取り組みを評価

ランクセスのLFPバッテリー材料開発とICISイノベーションアワード受賞

ドイツの特殊化学品メーカーであるランクセスは、リン酸鉄リチウム（LFP）バッテリー用の高品質な酸化鉄を新たに開発し、2024年9月24日に「ICISイノベーションアワード2024」を受賞したことを発表した。この受賞は、欧米におけるLFPのバリューチェーン開発におけるランクセスの取り組みが評価されたものだ。^[1]

ランクセスは「バイオキサイド®」ブランドのもと、LFPの合成用にカスタマイズされた複数の高品質な電池グレード酸化鉄を提供している。これらの製品は、LFPメーカーのニーズに特化して設計されており、品質、性能、効率の高いバッテリーの製造を可能にするものだ。ランクセスの目標は、欧州および北米の顧客に対して、現在LFPのサプライチェーンとして主流であるアジアに代わる、競争力を備えた環境に優しい製品を提供することにある。

さらにランクセスは、LFPの前駆体としてのリン酸鉄の提供も計画している。欧州でのLFP生産に使用できるリン酸鉄の生産能力が不足している現状を踏まえ、ランクセスは既存の工場設備に自社生産能力を導入する可能性を検討中だ。ドイツ拠点で実績のある設備を活用できることから、ランクセスは欧州で唯一の、また世界でも数少ない主要メーカーとなる可能性がある。

ランクセスのLFPバッテリー材料開発の特徴まとめ

	製品	目標市場	環境面の特徴	生産計画
主な特徴	高品質酸化鉄	欧州・北米	持続可能な製造プロセス	リン酸鉄前駆体の生産検討
ブランド名	バイオキサイド®	アジア依存からの脱却	塩分負荷の低い廃水	既存設備の活用
用途	LFP正極材料合成	競争力のある代替品提供	気候影響の少ない排出物	欧州唯一の主要メーカーへ

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リン酸鉄リチウム（LFP）について

リン酸鉄リチウム（LFP）とは、リチウムイオン電池の正極材料の一種であり、主に電気自動車や定置型蓄電システムに使用されている。LFPバッテリーの主な特徴として以下のような点が挙げられる。

高いサイクル安定性と熱安定性
安全性が高く、費用対効果に優れている
希少金属を使用しないため、原材料コストが低い

LFPバッテリーは、ニッケル、マンガン、コバルト（NMC）またはニッケル、コバルト、アルミニウム（NCA）を使用する従来のリチウムイオン電池と比較して、原材料および生産の両面で費用対効果が高い。正極材料はバッテリーのコストの60%以上を占めるため、LFPバッテリーの採用は車両コストの削減にも大きく寄与する。また、LFPバッテリーは充電サイクル数が多く、耐用年数が長いことも特徴的だ。

ランクセスのLFPバッテリー材料開発に関する考察

ランクセスのLFPバッテリー材料開発は、電気自動車市場の拡大と持続可能なエネルギー貯蔵ソリューションの需要増加に合わせた戦略的な動きだといえる。特に、欧米市場でのLFPバリューチェーン構築を目指す姿勢は、地政学的リスクの分散とサプライチェーンの強靭化という観点から評価できるだろう。一方で、アジア、特に中国の既存LFP生産能力との価格競争力の確保が課題となる可能性がある。

この課題に対しては、高品質かつ環境に配慮した製造プロセスによる差別化が一つの解決策となりうる。ランクセスが開発した塩分負荷の低い廃水処理や気候影響の少ない排出物を特徴とする製造方法は、環境規制が厳しくなる欧米市場において強みとなるだろう。さらに、自動車メーカーのESG要求に応える製品として、付加価値を高められる可能性もある。

今後、ランクセスには単なる材料供給者としてだけでなく、バッテリー技術の進化を支える研究開発パートナーとしての役割も期待される。例えば、LFPバッテリーのさらなるエネルギー密度向上や充電速度の改善などに貢献する新材料の開発が考えられる。また、リサイクル技術の確立も重要な課題となるだろう。持続可能な循環型経済の実現に向けて、使用済みLFPバッテリーからの材料回収とその再利用プロセスの開発にも期待がかかる。

参考サイト

^ PR TIMES. 「ランクセス、高品質なリン酸鉄リチウムバッテリー材料を開発し、ICISイノベーションアワードを受賞 | ランクセス株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000038.000034656.html, (参照 24-09-26).

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