【CVE-2024-6787】Moxa Inc.のmxview oneにTOCTOU競合状態の脆弱性、産業用ネットワーク管理ソフトウェアのセキュリティに警鐘

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約

Moxa Inc.のmxview oneに脆弱性発見
Time-of-check Time-of-use競合状態の問題
CVSS基本値5.9の警告レベルの脆弱性

Moxa Inc.のmxview oneにおけるTOCTOU脆弱性の発見

Moxa Inc.は、同社のネットワーク管理ソフトウェアmxview oneにおいて、重大な脆弱性が発見されたことを2024年9月21日に公開した。この脆弱性は、Time-of-check Time-of-use（TOCTOU）競合状態に関するもので、CVE-2024-6787として識別されている。NVDによる評価では、CVSS v3基本値が5.9と警告レベルの脆弱性とされている。^[1]

この脆弱性の影響を受けるのはmxview one 1.4.1未満のバージョンであり、攻撃者によって情報の改ざんが行われる可能性がある。攻撃の成功には高度な条件が必要とされるものの、攻撃に必要な特権レベルは不要であり、また利用者の関与も必要としない点が懸念される。完全性への影響が高いと評価されており、システムの信頼性に重大な影響を及ぼす可能性がある。

Moxa Inc.は、この脆弱性に対処するためのベンダアドバイザリやパッチ情報を公開している。影響を受ける可能性のあるユーザーは、Moxaの公式サイトや関連文書を参照し、適切な対策を実施することが強く推奨される。また、ICS-CERTもこの脆弱性に関する勧告（ICSA-24-268-05）を発表しており、産業制御システムのセキュリティに関する重要な情報源となっている。

mxview oneの脆弱性詳細

項目	詳細
脆弱性の種類	Time-of-check Time-of-use (TOCTOU) 競合状態
影響を受ける製品	mxview one 1.4.1未満
CVE識別子	CVE-2024-6787
CVSS基本値	5.9（警告）
攻撃元区分	ネットワーク
攻撃条件の複雑さ	高
完全性への影響	高

Time-of-check Time-of-use (TOCTOU)競合状態について

Time-of-check Time-of-use（TOCTOU）競合状態とは、ソフトウェアにおけるセキュリティ上の脆弱性の一種で、リソースの状態を確認した時点と実際に使用する時点の間にリソースの状態が変化することで発生する問題を指す。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

リソースの状態確認と使用の間に時間差が生じる
マルチスレッド環境や非同期処理で発生しやすい
権限昇格や不正アクセスにつながる可能性がある

mxview oneの脆弱性では、このTOCTOU競合状態により、攻撃者が情報を改ざんする可能性が生じている。CVSS基本値が5.9と警告レベルであることから、この脆弱性の影響は無視できず、特に産業用制御システムなど重要インフラで使用される可能性のあるソフトウェアにおいては、早急な対策が求められる。Moxa Inc.が提供するパッチの適用や、最新バージョンへのアップデートが推奨される対策となるだろう。

mxview oneの脆弱性に関する考察

Moxa Inc.のmxview oneにおけるTOCTOU競合状態の脆弱性は、産業用ネットワーク管理ソフトウェアのセキュリティ上の課題を浮き彫りにしている。この脆弱性が攻撃者に悪用された場合、重要なシステム情報の改ざんが可能となり、産業制御システム全体の信頼性と安全性が脅かされる可能性がある。特に、攻撃に特別な権限が不要で、ユーザーの関与も必要としない点は、攻撃の敷居を下げ、潜在的な脅威を増大させる要因となっているだろう。

今後、同様の脆弱性を防ぐためには、ソフトウェア開発プロセスにおけるセキュリティ設計の強化が不可欠だ。特に、並行処理や非同期処理を扱う際のリソース管理に関して、より厳密な検証と対策が求められる。また、ユーザー企業側でも、定期的なセキュリティアセスメントや、最新のセキュリティパッチの適用を徹底することが重要となるだろう。

Moxa Inc.には、今回の脆弱性対応を契機に、より堅牢なセキュリティ体制の構築が期待される。同時に、産業用ソフトウェア業界全体として、セキュリティ意識の向上と、脆弱性情報の迅速な共有体制の確立が求められる。これらの取り組みを通じて、産業用ネットワークの安全性と信頼性が向上し、重要インフラのサイバーセキュリティ強化につながることが期待される。