船場が内装工事の1次リサイクル率94％を達成、建設業界の廃棄物問題解決に向け大きな一歩

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

船場が内装工事の1次リサイクル率94％を達成
建設廃棄物の分別を徹底し、混合廃棄物を削減
ゼロウエイストな空間づくりを目指す取り組み

船場の内装工事における廃棄物リサイクル率向上の取り組み

株式会社船場は、2024年に請け負った全ての施工案件において、1次リサイクル率の平均94％を達成したことを発表した。この成果は、2021年より掲げているミッション「未来にやさしい空間を」に基づき、人・環境・社会に配慮したエシカルデザインによる空間づくりを実践してきた結果である。施工・解体現場での廃棄物の分別や混合廃棄物の削減に積極的に取り組んできたことが、高いリサイクル率の実現につながっている。^[1]

建設・内装業界では、スクラップアンドビルド方式が長年主流であり、大量の廃棄物が毎年排出されている。令和4年度の産業廃棄物排出量において、建設業からの排出量は全体の約21％を占める8,017万トンに達しており、特に建設混合廃棄物の再資源化・縮減率は63.2%と低い水準にとどまっている。この問題に対処するため、船場は2020年にゼロウエイスト推進室を設立し、空間づくりの川上から川下までの関係企業と協力して取り組みを開始した。

船場の取り組みの中核は、工事現場での廃棄物の細かな分別排出にある。8つの重点分別品目を設定し、現場での分別を徹底することで、中間処分会社の負担軽減とリサイクル率の向上を実現している。さらに、一部の案件では中間処分以降のトレーサビリティにも取り組んでおり、「電通デジタル本社オフィス」の内装工事では1次リサイクル率100％、最終リサイクル率99％を達成するなど、具体的な成果を上げている。

船場の廃棄物リサイクル率向上の取り組みまとめ

項目	詳細
達成した1次リサイクル率	平均94％
対象案件	2024年に請け負った全ての施工案件
ミッション	「未来にやさしい空間を」（2021年より）
主な取り組み	施工・解体現場での廃棄物の分別、混合廃棄物の削減
ゼロウエイスト推進室設立	2020年
重点分別品目数	8つ
電通デジタル本社オフィス案件の成果	1次リサイクル率100％、最終リサイクル率99％

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1次リサイクル率について

1次リサイクル率とは、現場で出た全廃棄物量のうち、マニフェストの排出品目ごとに分別した割合を指す。この指標は、建設現場での廃棄物管理の効率性を測る重要な基準となっている。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

現場での分別効率を直接反映する指標
再資源化施設での処理前の段階で測定
マニフェスト情報を基に算出される

船場では、1次リサイクル率を社内でタイムリーに把握するため、素材ごとの排出数値をマニフェストから集計し、リアルタイムに閲覧できる仕組みを構築している。この取り組みにより、2020年には73.3%だった平均1次リサイクル率が、現在では94％まで上昇した。1次リサイクル率の向上は、最終的なリサイクル率の向上にも大きく寄与している。

船場の廃棄物リサイクル率向上に関する考察

船場の取り組みは、建設業界全体の廃棄物問題に一石を投じる重要な成果だ。特に、現場での細かな分別を徹底することで、中間処分場の負担軽減とリサイクル率の向上を同時に実現している点は高く評価できる。この方式が業界標準となれば、建設混合廃棄物の再資源化率が大幅に向上し、環境負荷の低減につながるだろう。

一方で、現場での分別作業の増加は、作業効率の低下や人件費の上昇を招く可能性がある。これらのコストを吸収しつつ、高いリサイクル率を維持するためには、分別作業の効率化や自動化技術の導入が今後の課題となるだろう。また、リサイクル率の向上だけでなく、使用する建材自体の再利用性や生分解性の向上など、より根本的な対策も並行して進める必要がある。

さらに、船場の取り組みを業界全体に広げていくためには、法規制の整備や経済的インセンティブの導入が不可欠だ。政府や業界団体との連携を強化し、環境配慮型の施工方法に対する優遇措置や認証制度の確立など、制度面からのサポートを充実させることが望まれる。こうした総合的なアプローチにより、建設業界全体のサステナビリティ向上が加速することを期待したい。