全国自治体の51％がリ・スキリング事業を計画、人口規模で取り組み格差

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

全国自治体のリ・スキリング事業調査を実施
51％の自治体が事業計画・検討中
人口規模が大きいほど取り組みが活発

全国自治体のリ・スキリング事業への取り組み状況が明らかに

株式会社イマクリエは、2024年3月27日から8月28日にかけて全国1,747自治体を対象にリ・スキリング事業に関するヒアリング調査を実施し、1,584自治体から回答を得た。この調査結果を2024年9月に集計・分析し、レポートとしてまとめ公開した。調査の主な目的は、各自治体のリ・スキリング事業への取り組みや傾向を把握することであった。^[1]

調査結果によると、回答した1,584自治体のうち、約半数に当たる801自治体（51％）がリ・スキリング事業を計画または検討していることが明らかになった。自治体の人口規模別に見ると、人口100万人以上の自治体では90％以上、50万人以上では80％以上、10万人以上では70％以上が事業を計画・検討しているのに対し、人口1万人未満の自治体ではわずか5％にとどまっている。

地域別の分析では、リ・スキリング事業の計画・検討状況に大きな地域差は見られず、全国的に約半数の自治体が取り組みを進めている傾向が確認された。この結果は、リ・スキリング事業への関心が全国的に高まっていることを示唆しており、今後の人材育成や地域経済の活性化に向けた重要な指標となるだろう。

リ・スキリング事業の対象と具体的な施策内容

	対象	割合	主な施策内容
住民全般	279自治体	76％	起業支援（38％）、就職支援（22％）
女性	79自治体	22％	就職支援（27％）、テレワーク・個人事業主支援（27％）
企業	112自治体	17％	-
庁舎内職員	78自治体	12％	-
シニア	9自治体	1％	-

リ・スキリングについて

リ・スキリングとは、既存の職業スキルを再開発し、新しい技術や知識を習得することで、変化する労働市場のニーズに適応する取り組みのことを指す。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

既存の労働力の再教育・再訓練を通じた人材育成
デジタル化やAI化に対応するための新しいスキル習得
産業構造の変化に合わせた職業能力の向上・転換

今回の調査結果から、多くの自治体がリ・スキリング事業を通じて地域住民の就業支援や起業支援に力を入れていることがわかる。特に、人口規模の大きな自治体ほどリ・スキリング事業に積極的であり、これは都市部における産業構造の変化や技術革新のスピードが速いことを反映していると考えられる。地域経済の活性化と人材育成の両面で、リ・スキリングの重要性が認識されつつある。

全国自治体のリ・スキリング事業調査に関する考察

全国自治体のリ・スキリング事業への取り組みが明らかになったことは、日本の労働市場の変革に向けた重要な一歩だ。特に人口規模の大きな自治体で取り組みが進んでいる点は、都市部での産業構造の変化やデジタル化の加速に対応しようとする姿勢の表れであろう。一方で、人口1万人未満の小規模自治体での取り組みが少ない点は、地域間格差を生む可能性があり、今後の課題となるだろう。

リ・スキリング事業の対象として「住民全般」が最も多い点は、幅広い層へのスキルアップ機会の提供を目指す姿勢として評価できる。しかし、高齢化社会を迎える日本において、シニア層を対象とした取り組みが少ない点は懸念材料だ。今後は、シニア層の経験や知識を活かしつつ、新たなスキルを習得できるプログラムの開発が求められる。

自治体によるリ・スキリング事業の成功には、地域の産業ニーズと住民のスキルのマッチングが不可欠だ。今後は、地域の特性を活かしたプログラムの開発や、民間企業との連携強化が期待される。また、オンライン学習プラットフォームの活用やAIを用いた個別最適化学習など、テクノロジーを活用した効果的なリ・スキリング手法の導入も検討すべきであろう。