JEITAデザイン部会と三島市がデザインエコシステム形成プロジェクトでパートナーシップ締結、地域課題解決に向けた新たな取り組みを開始

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

記事の要約
JEITAデザイン部会と三島市が地域課題解決に向けたパートナーシップを締結
デザインエコシステム形成プロジェクトの概要
デザインエコシステムについて
デザインエコシステム形成プロジェクトに関する考察
参考サイト

記事の要約

JEITAデザイン部会と三島市がパートナーシップ締結
デザインエコシステム形成プロジェクトを実施
地方自治体との初の共同事業

JEITAデザイン部会と三島市が地域課題解決に向けたパートナーシップを締結

一般社団法人電子情報技術産業協会（JEITA）のデザイン部会は、静岡県三島市と「デザインエコシステム形成プロジェクト」の実現に向けたパートナーシップを2024年10月7日に締結した。デザイン部会が地方自治体と共同の事業を実施するのは今回が初めてであり、Society 5.0の推進に基づき、企業のデザイン資源を地域に還元し、課題解決に向けた産官民のエコシステムを形成することを目指している。^[1]

このプロジェクトでは、デザイン部会に所属するインハウスデザイナーがサポーターとなり、地域の関係者が共通で抱くありたい未来像を可視化し、これまで気が付かなかった地域の魅力や解決したい社会課題を明確にすることで、産官民のパートナーシップをより一層強化していくことを目的としている。デザイナーの持つユーザーへの共感から生まれる本質的課題解決手法と、目指したい姿の可視化という強みを街づくりの場で活用する試みだ。

三島市は"せせらぎと緑と活力あふれる幸せ実感都市・三島"を将来都市像として掲げており、移住定住の促進や子育てしやすい街づくりに取り組んでいる。しかし、ライフスタイルの多様化に伴い、市民と市職員の効果的なコミュニケーションをデザインする必要性が高まっていた。本プロジェクトを通じて、多様なステークホルダーを巻き込み、トライ&エラーを繰り返しながら解決案を改善できる場を構築することを目指している。

デザインエコシステム形成プロジェクトの概要

	目的	実施主体	対象地域
主な特徴	地域課題の可視化と解決	JEITAデザイン部会	静岡県三島市
期待される効果	産官民パートナーシップの強化	インハウスデザイナーの知見活用	持続可能な自治体運営の実現
取り組み内容	未来像の可視化	社会課題の明確化	解決策の検討と実施

デザインエコシステムについて

デザインエコシステムとは、デザインアプローチによる、オープンな社会課題解決の仕組みのことを指しており、主な特徴として以下のような点が挙げられる。

複雑な社会課題に対する解決策を提供
本質的な課題の特定と公開を重視
あらゆる立場の人が同じ課題に向き合える環境を創出

JEITAデザイン部会が推進するデザインエコシステムは、技術中心の解決策や個別の取り組みから脱却し、本当に解くべき課題は何かを特定し公開することで、あらゆる立場の人が同じ課題に向き合うことのできる社会を目指している。このアプローチは、複雑化・多様化する社会課題に対する産業界の社会的な責務を果たすための新たな試みとして注目されている。

デザインエコシステム形成プロジェクトに関する考察

JEITAデザイン部会と三島市のパートナーシップは、デザインの力を活用した地域課題解決の新たなモデルケースとなる可能性を秘めている。特に、インハウスデザイナーの知見を地域社会に還元する取り組みは、企業の社会貢献と地域活性化を両立させる画期的な試みだと言えるだろう。一方で、異なる組織文化や価値観を持つ企業と自治体が協働することによる意思決定の遅れや、具体的な成果の測定方法など、実務面での課題も予想される。

今後の課題として、プロジェクトの持続可能性と成果の横展開が挙げられる。一時的な取り組みで終わらせないためには、地域住民や地元企業を巻き込んだ継続的な活動基盤の構築が不可欠だ。また、三島市での成功事例を他の自治体に展開していくためには、汎用性の高いプロセスモデルの確立と、地域特性に応じたカスタマイズ手法の開発が求められるだろう。

期待される新機能としては、デジタルツールを活用した市民参加型のアイデア創出プラットフォームや、AIによる地域データ分析システムなどが考えられる。これらの技術を活用することで、より多くの市民の声を集約し、データに基づいた効果的な施策立案が可能になるはずだ。JEITAデザイン部会には、IT・エレクトロニクス産業の知見を活かした革新的なソリューションの提案を期待したい。