【CVE-2024-50233】Linuxカーネルのad9832コンポーネントに除算by zero脆弱性、複数バージョンに影響
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記事の要約
- Linuxカーネルにad9832_calc_freqreg()での除算by zero脆弱性
- clk_get_rate()が0を返す可能性のある実装の問題
- Linux 2.6.39から複数バージョンに影響
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Linuxカーネルのad9832コンポーネントに発見された除算by zero脆弱性
Linuxカーネルのメンテナーは2024年11月9日、staging: iio: frequency: ad9832コンポーネントにおける除算by zeroの脆弱性を公開した。この脆弱性は【CVE-2024-50233】として識別されており、ad9832_write_frequency()関数内でclk_get_rate()が0を返す可能性がある実装上の問題が指摘されている。[1]
ad9832_write()関数を通じてテキストバッファから導出されるfout値が0の場合、if (fout > (clk_get_rate(st->mclk) / 2))による保護が機能せず、ad9832_calc_freqreg()での除算by zeroが発生する可能性がある。この問題はLinux 2.6.39以降の複数のバージョンに影響を及ぼしている。
この脆弱性に対する修正パッチが複数のLinuxカーネルバージョンに対してリリースされており、5.4.285以降や5.10.229以降、5.15.171以降、6.1.116以降などのバージョンでは既に対策が施されている。また6.6.60以降や6.11.7以降、6.12-rc6などの最新バージョンでも同様の対策が実施されている。
影響を受けるLinuxカーネルのバージョン一覧
バージョン区分 | 影響状況 |
---|---|
2.6.39 | 影響あり |
2.6.39以前 | 影響なし |
5.4.285以降 | 修正済み |
5.10.229以降 | 修正済み |
5.15.171以降 | 修正済み |
6.1.116以降 | 修正済み |
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除算by zeroについて
除算by zeroとは、コンピュータプログラムにおいて0による除算を試みた際に発生する重大なエラー状態のことを指す。主な特徴として以下のような点が挙げられる。
- プログラムのクラッシュや異常終了を引き起こす可能性
- システムの安定性に重大な影響を及ぼす
- 入力値の適切な検証により防止可能
この脆弱性はad9832_write_frequency()関数内でclk_get_rate()が0を返す可能性がある実装上の問題から発生している。特にad9832_calc_freqreg()での除算処理において、分母が0となる可能性があることから、システムの安定性に重大な影響を及ぼす可能性がある。
Linuxカーネルの脆弱性対応に関する考察
Linuxカーネルの開発チームによる迅速な脆弱性対応と修正パッチの提供は、オープンソースコミュニティの強みを示している。複数のバージョンに対して同時に修正パッチを提供することで、システム管理者は自身の環境に適したアップデートを選択することが可能となっている。
今後は入力値の検証をより厳密に行い、予期せぬ値による問題を未然に防ぐための仕組みを強化する必要があるだろう。特にステージング領域のコードについては、本番環境への移行前により厳密なテストと検証が求められる。
Linuxカーネルの品質向上には、継続的なコードレビューとセキュリティテストの強化が不可欠である。特にデバイスドライバーやハードウェア制御に関わるコンポーネントについては、より厳密な入力値の検証と例外処理の実装が求められるだろう。
参考サイト
- ^ CVE. 「CVE Record | CVE」. https://www.cve.org/CVERecord?id=CVE-2024-50233, (参照 24-11-16).
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