キヤノンMJがマイクロX線CT顕微鏡ApexXCT-150を日産アークに導入、大型サンプルの高精細観察を実現

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

日産アークがマイクロX線CT顕微鏡ApexXCT-150を国内初導入
大型サンプルの高解像かつ迅速な非破壊観察が可能に
全固体電池や半導体の詳細な内部観察を実現

マイクロX線CT顕微鏡ApexXCT-150の国内初導入

キヤノンマーケティングジャパンは、Sigray社製マイクロX線CT顕微鏡ApexXCT-150が株式会社日産アークに国内で初めて導入されたことを2024年11月26日に発表した。同装置は最大300mmφのサンプルまで0.5μm分解能での観察を可能にし、全固体電池や半導体基板の非破壊での高精細な解析を実現するものだ。^[1]

従来のCT装置では0.5μmの分解能で撮像するために1mm程度までサンプルを小さくする必要があったが、ApexXCT-150は大型サンプルでもサブミクロンの空間分解能での観察が可能となった。この技術革新により、全固体電池内部の微細な亀裂観察や半導体基板における微小欠陥の検出が格段に容易になるだろう。

本装置の導入により、日産アークによる非破壊分析の性能が大幅に向上している。特に電気自動車用バッテリーとして注目される全固体電池や次世代半導体の需要増加に伴う故障解析や研究開発において、より詳細な内部構造の観察が可能となった。

ApexXCT-150の性能比較まとめ

	従来装置	ApexXCT-150
最大サンプルサイズ	1mm程度	300mmφ
空間分解能	0.5μm（小サンプルのみ）	0.5μm（大型サンプル可）
測定時間	従来比	約15倍短縮

非破壊観察について

非破壊観察とは、対象物を破壊せずに内部構造を観察・分析する手法のことを指す。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。

サンプルの物理的な損傷を与えることなく内部構造を確認可能
同一サンプルの経時変化の追跡が可能
製品の品質管理や不具合解析に有効

全固体電池や半導体デバイスの開発において、非破壊観察は製品の信頼性評価や故障解析に不可欠な技術となっている。ApexXCT-150の導入により、より大型のサンプルに対しても高精度な非破壊観察が可能となり、製品開発の効率化とクオリティ向上に大きく貢献することが期待できるだろう。

マイクロX線CT技術に関する考察

マイクロX線CT技術の進化により、従来は不可能だった大型サンプルの高精細観察が実現可能となった点は、材料研究分野における重要な転換点となるだろう。特に全固体電池開発において、実用化に向けた大型セルの内部構造解析が可能となったことで、性能向上や信頼性確保に向けた研究開発が加速すると考えられる。

一方で、高分解能での観察には依然として技術的な課題が存在している可能性がある。例えば、より複雑な多層構造を持つデバイスの観察や、動作中のリアルタイム観察などへの対応が今後の課題として挙げられるだろう。装置の更なる進化により、これらの課題が解決されることが期待される。

今後は非破壊観察技術のさらなる発展により、電気自動車や次世代半導体分野での技術革新が加速すると予測される。特にAI技術との組み合わせによる自動欠陥検出や、より高速な3次元イメージング技術の開発が期待されるところだ。

参考サイト

^ PR TIMES. 「マイクロＸ線CT顕微鏡 “ApexXCT-150”を日産アークが国内初導入　大型サンプルの高解像かつ迅速な非破壊観察を実現 | キヤノンマーケティングジャパン株式会社のプレスリリース」. https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001206.000013943.html, (参照 24-11-27).

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