【CVE-2024-50195】Linux kernelのposix-clockモジュールに脆弱性、timespec64構造体のチェック処理を強化
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記事の要約
- Linux kernelにtimespec64のチェック漏れを修正
- pc_clock_settime()関数の脆弱性対策を実施
- PTPドライバーのセキュリティ強化を実現
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Linux kernelのposix-clock脆弱性対策【CVE-2024-50195】
Linux kernel開発チームは2024年11月8日、posix-clockモジュールにおけるtimespec64構造体のチェック処理に関する脆弱性対策パッチをリリースした。PTPコアにおいてtimespec64構造体のtv_secおよびtv_nsecの範囲チェックが実装されておらず、ptp->info->settime64()呼び出し時に想定外の値が渡される可能性が存在している。[1]
今回の対策では、pc_clock_settime()関数内でtimespec64_valid_strict()関数を使用して事前チェックを実施し、無効な値が渡された場合は-EINVALを返すように改善された。この実装により、hclge_ptp_settime()やigb_ptp_settime_i210()などの各種ドライバーにおける安全性が大幅に向上している。
また影響を受けるバージョンは、Linux kernel 2.6.39から複数のバージョンに及んでおり、修正パッチは各メンテナンスブランチに適用されている。この脆弱性は【CVE-2024-50195】として識別され、セキュリティ上の重要な更新として位置付けられている。
Linux kernelの影響を受けるバージョンまとめ
項目 | 詳細 |
---|---|
影響を受けるバージョン | Linux kernel 2.6.39以降 |
修正済みバージョン | 4.19.323、5.4.285、5.10.228、5.15.169、6.1.114、6.6.58、6.11.5、6.12以降 |
脆弱性ID | CVE-2024-50195 |
修正対象モジュール | posix-clock、PTPコア、各種PTPドライバー |
対策内容 | timespec64構造体の値チェック実装、無効な値の検知機能追加 |
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timespec64構造体について
timespec64構造体とは、Linuxカーネルにおける時刻管理のために使用される基本的なデータ構造体であり、秒とナノ秒の精度で時刻を表現することができる。主な特徴として、以下のような点が挙げられる。
- 64ビット整数を使用した高精度な時刻表現が可能
- 秒単位の値をtv_secメンバーで管理
- ナノ秒単位の値をtv_nsecメンバーで管理
timespec64構造体はPTPドライバーなど高精度な時刻同期が必要なコンポーネントで広く使用されており、今回の脆弱性では値の範囲チェックが不十分であった。各種ドライバーがtv_secとtv_nsecを直接レジスタに書き込む際のバリデーション処理が不足していたため、セキュリティリスクが存在していた。
Linux kernelのposix-clock脆弱性対策に関する考察
Linux kernelにおけるtimespec64構造体の値チェック実装は、システム全体のセキュリティ向上に大きく寄与する重要な改善策となっている。特にPTPドライバーが直接レジスタに値を書き込む際のバリデーション強化は、ハードウェアレベルでの不正な動作を防ぐ効果的な対策として評価できるだろう。
今後の課題として、各種ドライバーにおける独自のチェック処理の実装方針を統一化することが挙げられる。現状では一部のドライバーが独自のチェックを実装しているため、コードの重複や保守性の低下につながる可能性があるため、共通化されたバリデーション機構の提供が望まれる。
また将来的には、timespec64構造体に関連する他のコンポーネントについても、同様の脆弱性が存在する可能性を考慮した包括的な見直しが必要になってくる。特にPTP関連の新機能追加時には、今回の教訓を活かした入念なセキュリティレビューの実施が望まれるだろう。
参考サイト
- ^ CVE. 「CVE Record | CVE」. https://www.cve.org/CVERecord?id=CVE-2024-50195, (参照 24-12-03).
※上記コンテンツはAIで確認しておりますが、間違い等ある場合はコメントよりご連絡いただけますと幸いです。
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