帝国データバンクが生成AI活用調査結果を発表、企業の17.3%が活用中で課題も明らかに

text: XEXEQ編集部
（記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります）

PR TIMES より

記事の要約

生成AI活用企業は17.3%にとどまる
半数以上が人材・ノウハウ不足に懸念
5割以上の企業がガイドライン策定に前向き

帝国データバンクの生成AI活用調査結果が明らかに

帝国データバンクは2024年8月1日、企業における生成AI活用状況に関する調査結果を発表した。調査によると、生成AIを活用している企業は17.3%にとどまり、活用していないが検討中の企業は26.8%となっている。一方で、活用しておらず予定もない企業は48.4%と半数近くに上った。^[1]

従業員数別の活用状況を見ると、1000人以上の企業では36.9%が活用しているのに対し、100人未満の企業では10%台にとどまっている。業種別では、サービス・その他業種が28.0%でトップとなり、小売業が20.4%で続いた。一方、運輸・通信業や建設・不動産業では活用が進んでいない実態が明らかになった。

生成AIを活用している企業の9割近くが一定の効果を感じており、主な活用用途としては情報収集が59.9%でトップとなっている。しかし、AI運用の人材・ノウハウ不足を懸念する企業が54.1%と最も多く、課題となっている。また、5割以上の企業がガイドライン策定に前向きな姿勢を示している。

生成AI活用状況調査の結果まとめ

	活用状況	効果実感	主な活用用途	課題
割合	17.3%	86.7%	59.9%	54.1%
内容	活用中	効果あり	情報収集	人材・ノウハウ不足
業種別トップ	サービス・その他(28.0%)	-	-	-
規模別トップ	1000人以上(36.9%)	-	-	-

生成AIについて

生成AIとは、人工知能技術の一種で、新しいデータやコンテンツを自動的に生成する能力を持つAIシステムのことを指している。主な特徴として以下のような点が挙げられる。

大量のデータから学習し、新たなコンテンツを生成
テキスト、画像、音声など多様な形式のデータを扱える
人間の創造性を補完し、業務効率化に貢献

生成AIは、企業の様々な業務で活用可能だが、本調査結果によると現状では情報収集や文章の要約・校正、企画立案時のアイデア出しなどが主な用途となっている。一方で、AI運用の人材・ノウハウ不足が大きな課題となっており、多くの企業が活用に向けた体制整備や教育に取り組む必要性に直面している。

生成AI活用に関する考察

生成AIの活用が一部の大企業やIT関連企業にとどまっている現状は、技術の普及初期段階としては自然な傾向だと言える。しかし、9割近くの企業が効果を実感していることから、今後急速に普及が進む可能性が高い。特に、人手不足が深刻化する中小企業にとっては、業務効率化や生産性向上のための重要なツールとなり得るだろう。

一方で、AI運用の人材・ノウハウ不足が最大の課題として浮き彫りになったことは、今後の普及に向けた重要な示唆を含んでいる。企業がAI人材の育成や外部リソースの活用を積極的に進めると同時に、AIベンダー側も導入や運用のハードルを下げる取り組みが求められる。また、ガイドライン策定に前向きな企業が多いことは、適切な利用と管理への意識の高まりを示している。

今後、生成AIの技術進化とユースケースの蓄積が進むにつれ、より多くの企業が具体的な導入メリットを見出せるようになるだろう。同時に、AIの倫理的利用や著作権問題など、新たな課題への対応も求められる。産学官が連携し、AI活用の環境整備を進めることが、日本企業の競争力強化につながると考えられる。