東大など4機関が次世代AR表示技術を開発、電源不要で軽量な薄型受光系の実現に成功
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記事の要約
- 次世代AR表示技術「Beaming Display」方式の薄型受光系を開発
- 回折光学系ウェーブガイドで約20~30度の広い角度許容性を実現
- 頭部を自由に動かしながら高品質な映像を安定して受光可能に
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東大など4機関による次世代AR表示技術の開発
東京大学大学院情報学環の伊藤勇太特任准教授、大阪大学産業科学研究所の中村友哉准教授、クラスターメタバース研究所、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンによる共同研究グループは、次世代AR表示技術「Beaming Display」方式対応の薄型受光系を開発した。この成果は2025年3月8日から開催される国際学会「IEEE VR 2025」で発表される予定だ。[1]
現在普及が進むメガネ型ARデバイスは表示素子や計算ユニット、バッテリーを全て内蔵するため装着感や性能向上に限界があったが、Beaming Display方式はプロジェクター技術を応用し環境からメガネに映像を投影することで電源不要かつ軽量化を実現している。従来のBeaming Display方式向けの薄い受光系では投影光を受け取れる頭部角度に5度程度の制限があったものの、新開発の受光系では約20~30度まで広がった。
回折光学系を採用したウェーブガイドを組み込むことにより、様々な角度から光を受光できる仕組みを実現し薄く軽量型のまま頭部動作の自由度を向上させた。エンターテインメントや教育、製造業、医療など長時間装着が必要な作業において利便性と性能が発揮されることが期待されている。
次世代AR表示技術の特徴まとめ
従来のARメガネ | 新開発のBeaming Display方式 | |
---|---|---|
電源 | バッテリー内蔵が必要 | 電源不要 |
重量 | 表示素子などで重い | 軽量化を実現 |
頭部角度許容範囲 | 制限なし | 約20~30度 |
映像生成方式 | デバイス内で生成 | 環境側から投影 |
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回折光学系について
回折光学系とは、光の進む方向を制御する特殊な構造のことを指す。主な特徴として以下のような点が挙げられる。
- 光を曲げたり分けたりすることで効率的に映像を伝達
- ウェーブガイドと組み合わせることで広い角度からの光を受光
- 薄型・軽量な光学系の実現に貢献
回折光学系はウェーブガイドと組み合わせることで、従来のBeaming Display方式では5度程度だった頭部角度の制限を約20~30度まで拡大することに成功した。この技術革新により、ユーザーは頭部を自由に動かしながら安定した高品質なAR映像を体験できるようになっている。
Beaming Display方式に関する考察
Beaming Display方式の最大の利点は、ARメガネから電源や演算装置を取り除くことで実現した軽量化と装着感の向上にある。従来のARメガネが抱えていた重量やバッテリー持続時間の課題を根本的に解決する可能性を秘めており、長時間使用を前提とした産業用途での活用が期待できるだろう。
一方で、環境側に専用プロジェクターを設置する必要があることから、屋外での使用や移動を伴う用途には制限が生じる可能性がある。この課題に対しては、プロジェクターの小型化や設置場所の最適化、複数プロジェクターの連携による広範囲なカバレッジの実現などが解決策として考えられるだろう。
今後は頭部位置追跡機能の統合や装着性のさらなる向上が期待される。特に現在約20~30度である頭部角度許容範囲をさらに広げることができれば、より自然な動きでのAR体験が可能になる。医療や製造業などの専門分野での実用化に向けて、技術の進化が楽しみだ。
参考サイト
- ^ 東京大学. 「電源不要の次世代 AR ディスプレイ技術――「Beaming Display」方式による薄型 AR メガネ実現に向けて―― 」. https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400258500.pdf, (参照 25-03-08).
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